内容説明
カフカ小説全集完結。本全集の成立によって、20世紀初頭に生まれたカフカの文学は、旧全集版の編者M・ブロートの手から解放され、21世紀に生き続ける新しい文学へと生まれ変わる。 【訳者解説より】 カフカがのこしたノート・草稿類をたどってきて、思わずにはいられない。驚くべき勤勉さと生産性――とともに、その驚くべき秘匿性だ。おそらくカフカの最大のパラドックスだろう。これほど書き、これほど公表を拒んだ小説家も珍しい。 最初の長篇『失踪者』のうち、発表したのは第一章のみだった。二作目の『審判』では、三頁に足