内容説明
「毒」のある笑いと遊びに満ちた初期傑作長篇
アフリカの架空の国の政変と報道合戦の狂奔を、辛辣なユーモアたっぷりに描く。英国で「古今の名作小説100」にも選ばれた、巨匠ウォーの初期傑作長篇。待望の本邦初訳。
初期傑作長篇、待望の本邦初訳!
英国の巨匠ウォーは、代表作『黒いいたずら』、『ピンフォールドの試練』(以上、白水社)をはじめ、ベストセラーとなった『ブライヅヘッドふたたび』など、依然として高い人気を誇る。本書は、アフリカの架空の国の政変と報道合戦の狂奔を、辛辣な諷刺とユーモアたっぷりに描く、初期傑作長篇。本邦初訳。
新聞で「田園便り」を担当する独身男ウィリアムは、手違いから、突如外国特派員に任命される。派遣されたのは、政変が噂されるアフリカの独裁国家。怪しいスパイや政商が暗躍し、ライバル記者たちが報道合戦を繰り広げるなか、ウィリアムは人生初の恋に落ち、思いがけずスクープをものにするのだが……。
ウォーは新聞記者としてアフリカに派遣され、実際に報道合戦を体験しており、本書を「ジャーナリズムに対する軽い諷刺」と述べている。1938年に発表され、今なお「現代の古典」として不動の地位を占めている作品だ。2003年、『ガーディアン』紙上で「古今の名作小説100」に選出され、2014年、『テレグラフ』紙上でも「絶対必読の小説100」に選出されている。
【原題】SCOOP:A Novel about Journalists
【著者プロフィール】
イーヴリン・ウォー
EVELYN WAUGH(1903-1966)
ロンドン郊外のハムステッドに生まれる。オックスフォード大学では放蕩生活を送りながら学内文芸誌に関わる。大学中退後、画家を志すも断念。パブリック・スクール進学予備校の教師となる。22歳の時、自殺未遂。1928年、教師時代の体験を基にした『大転落』を発表。『卑しい肉体』(1930)では第一次大戦後の「陽気な若者たち」を取り上げ注目される。同年、カトリックに改宗。『黒いいたずら』(32)、『一握の塵』(34)、『スクープ』(38)など、辛辣な諷刺とユーモアに溢れた作品で人気を博す。作風を一変、貴族の生活を描いた『ブライヅヘッドふたたび』(45)はアメリカでベストセラーになる。戦後の代表作に第二次大戦を描いた『戦士』『士官と紳士』『無条件降伏』の『名誉の剣』三部作(52-61。合本改訂版65)がある。
【訳者略歴】
高儀進(たかぎ・すすむ)
1935年生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了。翻訳家。日本文藝家協会会員。訳書に、ロッジ『大英博物館が倒れる』『どこまで行けるか』『小さな世界』『楽園ニュース』『恋愛療法』『胸にこたえる真実』『考える…』『作者を出せ!』『ベイツ教授の受難』『改訳 交換教授』『絶倫の人 小説H・G・ウェルズ』、トマリン『チャールズ・ディケンズ伝』(以上、白水社)ほか多数ある。