はるかな星

軍政下のチリ、複数の名をもつ前衛詩人にして殺人鬼……『アメリカ大陸のナチ文学』最終章の主人公をめぐるもうひとつの戦慄の物語。

著者 ロベルト・ボラーニョ
斎藤 文子
ジャンル 一般書 > 海外文学 > 小説
シリーズ 一般書 > ボラーニョ・コレクション
出版年月日 2015/11/25
ISBN 9784560092668
判型・ページ数 4-6・184ページ
定価 本体1,900円+税
在庫 在庫あり

内容説明

ボラーニョ文学の結節点となる初期の重要作

軍政下のチリ、奇抜な空中詩パフォーマンスでその名を馳せた飛行詩人カルロス・ビーダー。複数の名をもつ彼の驚くべき生涯とは――。『アメリカ大陸のナチ文学』から飛び出したもうひとつの戦慄の物語。
[解説]鴻巣友季子

「彼は不屈で、何も持たず、あるいはほとんど何も持たないにもかかわらず、そのことをたいして気に留めていないようだった。不運な時期を過ごしているように見えた。冷静さを失うことも、抑えきれずに夢を見はじめることもなく、待つことのできる人間の顔をしていた。詩人には見えなかった。チリ空軍の元将校には見えなかった。伝説の殺人鬼には見えなかった。南極大陸に飛び、空中に詩を書いた男には見えなかった。少しも。」
――本書より


語り手がその男に初めて出会ったのは1971年か72年のこと。当時はルイス=タグレと名乗り、詩の創作ゼミに出入りしていた。どこかよそよそしくとらえどころのない雰囲気で女子学生たちの心を征服し、男子学生たちは羨望と不信感を抱く。
やがて1973年にクーデターが勃発。若い詩人たちまでもが血なまぐさい事件に直面させられたこの時代、語り手は拘留先でふたたび彼の姿を目撃する。だがそのときはまだ、収容所の空に飛行機雲で聖書の言葉を綴ったパイロットがルイス=タグレと同一人物だとは知らない。パイロットの名はカルロス・ビーダー、クーデター後、政権側に与し、数々の忌まわしい所業に手を染めていたことが判明する……
『アメリカ大陸のナチ文学』に登場するラミレス=ホフマンの物語を下敷きに、前衛詩人、写真家にして恐怖の殺人者ビーダーの物語が、ひとつの小説の形をとって新たに立ち上がる。後年の作品の萌芽が随所に感じ取れる、ボラーニョ文学の要。


[原題]Estrella distante

[著者略歴]
ロベルト・ボラーニョ Roberto Bolaño(1953―2003)

1953年、チリのサンティアゴに生まれる。1968年、一家でメキシコに移住。1973年、チリに一時帰国し、ピノチェトによる軍事クーデターに遭遇したとされる。翌74年、メキシコへ戻る。その後、エルサルバドル、フランス、スペインなどを放浪。77年以降、およそ四半世紀にわたってスペインに居を定める。1984年に小説家としてデビュー。1996年、『アメリカ大陸のナチ文学』と本書『はるかな星』を刊行。1997年に刊行された第一短篇集『通話』でサンティアゴ市文学賞を受賞。その後、長篇『野生の探偵たち』、短篇集『売女の人殺し』(いずれも白水社刊)など、精力的に作品を発表するが、2003年、50歳の若さで死去。2004年、遺作『2666』が刊行され、バルセロナ市賞、サランボー賞などを受賞。ボラーニョ文学の集大成として高い評価を受け、10以上の言語に翻訳された。

[訳者略歴]
斎藤文子(さいとう・あやこ)
1956年生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業。ライス大学大学院修士課程修了。東京大学大学院教授。訳書にL・バレンスエラ『武器の交換』(現代企画室)、A・ルイ=サンチェス『空気の名前』(白水社)、共訳書にA・ラモネダ『ロルカと二七世代の詩人たち』(土曜美術社出版販売)など。

*略歴は刊行時のものです

1,900円+税

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