内容説明
『台湾生まれ 日本語育ち』の著者、鮮烈なデビュー作。
日本語、台湾語、中国語が奏でる新しい文学
台湾生まれ、日本育ちの主人公は、三つの母語の狭間で格闘する――。
すばる文学賞佳作受賞の鮮烈なデビュー作「好去好来歌」を収録。
『台湾生まれ 日本語育ち』の著者の鮮烈なデビュー作、Uブックス版で登場!
台湾人の両親のもと、台湾で生まれ、日本で育った19歳の楊縁珠は、大学の中国語クラスで出会った麦生との恋愛をきっかけに、3つの言語が交錯する家族の遍歴を辿り、自分を見つめ直すが――。すばる文学賞佳作の「好去好来歌」に、希望の光がきざす表題作を併録。『台湾生まれ 日本語育ち』とあわせて読むと、著者の成長の過程も辿ることができる。
「ニホンゴ、中国語、台湾語、ママ語、すべて音として同等に混ざって生きている言葉たちを、温さんが文字として示していくそのありさまが、日本社会の中で自明ではない存在の人たちの生きざまそのものを表現している。そのほとばしるような熱い生の感覚が、この小説の言葉からはあふれてくる」(解説・星野智幸)
[目次]
好去好来歌
来福の家
Uブックス版あとがき
解説 移民の子どもたちの凱歌 星野智幸
[著者略歴]
作家。1980年台湾・台北市生まれ。
3歳の時に家族と東京に引っ越し、台湾語混じりの中国語を話す両親のもとで育つ。
2006年法政大学大学院・国際文化専攻修士課程修了。
2009年「好去好来歌」ですばる文学賞佳作を受賞。11年『来福の家』(集英社)を刊行。
同年9月白水社のHPで「失われた〝母国語〟を求めて」の連載スタート。(15年5月まで)
2013年音楽家・小島ケイタニーラブと共に朗読と演奏によるコラボレーション活動<言葉と音の往復書簡>を開始。同年、ドキュメンタリー映画『異境の中の故郷――リービ英雄52年ぶりの台中再訪』(大川景子監督)に出演。
2015年12月、『台湾生まれ 日本語育ち』(白水社)を刊行。同書で第64回日本エッセイスト・クラブ賞受賞。