キマイラの原理

記憶の人類学

新刊

非西洋圏の「記憶」の問題に着目し、口承文化と文字文化の中間段階にあるイメージの機能に光を当てる。

著者 カルロ・セヴェーリ
水野 千依
ジャンル 新刊
一般書 > 哲学・思想
一般書 > 世界史
おすすめ
出版年月日 2017/06/27
ISBN 9784560095553
判型・ページ数 A5・414ページ
定価 本体7,300円+税
在庫 在庫あり

内容説明

無文字社会における記憶の実践は、口承的でしかないのか?
レヴィ=ストロースの衣鉢を継ぐ人類学者の主著

文字なき社会において「記憶」はいかに継承されるのか。 西洋文化のかなたに息づく「記憶術」から人間の「思考形式の人類学」へと未踏の領域を切り拓くレヴィ゠ストロースの衣鉢を継ぐ人類学者による記念碑的著作。【本邦初紹介】

埋もれたヴァールブルクの遺産
来たるべき《イメージ人類学》へ


オセアニアの装飾、ホピ族の壺絵、アメリカ先住民やクナ族の絵文字、アパッチ族の蛇=十字架、スペイン系入植者末裔のドニャ・セバスティアーナ――言葉とイメージのはざまに記憶のキマイラが結晶する。

「これまで「口承的」と呼ばれてきた無文字社会において、「記憶」はいかに生み出され、継承されるのか。記憶、コミュニケーション、そして人間の思考そのものに、言葉とイメージはいかなる役割を果たしているのか。記憶が社会的に共有される「儀礼」という場に焦点を定め、西洋文化のかなたに息づく記憶技術の解明に捧げた本書は、特定の地域研究の枠を超えて、哲学、民族学、心理学、精神医学、言語学、美術史、物語論の成果を縦横に応用しながら、広く人間一般の記憶、認識、想像力をめぐる理論研究として、独創的かつ発展性のある新しい視座を私たちに提起している。〔……〕同一の文化のなかに、そしてあらゆる文化のなかに、イメージに依拠する思考実践に結びついた複数の存在論的次元の共存を照射する。セヴェーリの構築する「記憶の人類学」は、「思考実践の諸形式の一般人類学」へと至る。本書はその新たな歩みの端緒でもある。」(「訳者あとがき」より)

本書を貫くキー概念のひとつである「パラレリズム」とは、反復される定型表現と規則正しい一連のヴァリエーションから構成される形式をさす。この特殊な形式を付与されることにより、物語の連続は記憶を補助する力を獲得する。だがパラレリズムは、テクストの構造に加え、それに関連する「絵文字」というイメージの構造をも統御する。セヴェーリは、アマゾニアから北米大平原に至るまでアメリカ大陸を縦断しながら、先住民の絵文字に、様式的差異を超えて時間的にも地理的にも広大に普及しつつ持続する驚くべき特徴や内的一貫性を浮かび上がらせる。

[目次]
記憶から思考へ――日本語版への序文
緒言
謝辞

序論――儀礼、物語、記憶

第一章 人類学者ヴァールブルク、あるいはあるユートピアの解読――イメージの生物学から記憶の人類学へ
    ヴァールブルク――視覚的象徴とキマイラ/忘却された根/形態と観念――ピット・リヴァースと過去の予言/
    ヤルマル・ストールペ――原型と暗号/「雷鳴としての蛇」への回帰/ヴァ―ルブルクの人類学/
    連続性とキマイラ/連続としてのイメージ/キマイラとしての物

第二章 アメリカ先住民の記憶術の形――絵文字とパラレリズム
    絵文字の解読――ダコタ聖書/絵文字とシャーマンの歌――クナ族の例/
    アメリカ先住民の他の例/絵文字と記憶表象

第三章 記憶、投射、信念、あるいは話者の変容
    複雑な話者/投射と信念/音と意味――音楽として聴くこと

第四章 分かちえぬキリスト
    アパッチ族のキリスト/ドニャ・セバスティアーナ/イメージ、葛藤、パラドクス

結論
訳者あとがき
文献一覧
図版一覧
索引

[原題]Il percorso e la voce:Un’antropologia della memoria

[著者略歴]
カルロ・セヴェーリ(Carlo Severi)
1952年生まれ。ミラノ国立大学で哲学を修めたあと、パリの社会科学高等研究院(EHESS)にて人類学を学び、クロード・レヴィ=ストロースのもとで博士号を取得。現在、同研究院社会人類学講座教授、フランス国立科学研究センター(CNRS)教授を務めるほか、社会人類学研究所メンバー、パリのケ・ブランリ美術館研究・教育部門協力者を務める。主著にLa memoria rituale (1993)、Naven ou le donner à voir (1994、M. Housemanとの共著)などがあり、監修を担った国際学術雑誌や論集も数多い。最新刊のL’objet-personne(2017)では、本書で構想した「記憶の人類学」からさらに「思考実践の人類学」へと新たな研究の境地を開いている。

[訳者略歴]
水野千依(みずの・ちより)
1967年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。現在は、青山学院大学文学部教授。専門はイタリア・ルネサンス美術史。主著に『イメージの地層――ルネサンスの図像文化における奇跡・分身・予言』(名古屋大学出版会、2011年、第34回サントリー学芸賞ほか受賞)、『キリストの顔――イメージ人類学序説』(筑摩選書、2014年、地中海学会ヘレンド賞受賞)、主要訳書にディディ=ユベルマン『残存するイメージ――アビ・ヴァールブルクによる美術史と幽霊の時間』(共訳、人文書院、2005年)がある。

*略歴は刊行時のものです

7,300円+税

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