ゾラと近代フランス

歴史から物語へ

新刊

百貨店、炭鉱、そして近代市場。資本主義が立ち上がってくるパリを支配していたものは何か?自然主義文学と欲望の力学の鮮やかな交錯

著者 小倉 孝誠
ジャンル 新刊
一般書 > 世界史
おすすめ
出版年月日 2017/07/21
ISBN 9784560095584
判型・ページ数 4-6・358ページ
定価 本体3,200円+税
在庫 在庫あり

内容説明

資本主義と自然主義のあいだ

百貨店、炭鉱、そして近代市場。資本主義が立ち上がってくる近代フランスを支配していたものは何か? 自然主義文学と〈欲望の力学〉の鮮やかな交錯。

「自然主義は限られた期間に一気に文学運動としての輪郭を整え、数多くの傑作を生み出し、国境を越えての作家同士の連帯感を生じさせたと言ってよい。これは世界の文学史上、おそらく最初の現象であり、二十世紀ではシュルレアリスムが類似した輪郭を示す。そして民衆や下層階級の生態を描くこと、個人よりも環境や集団の力学を重視すること、性、欲望、狂気、逸脱などそれまでタブー視されていた主題を積極的に取り上げたことは、すべての国の自然主義文学に共通していた。」
(序章より)

「クーデタから現在に至るまでの第二帝政全体を研究する。さまざまな人物類型をつうじて現代社会を、極悪人と英雄たちを描く。事実と感情をとおしてひとつの時代全体を描き、その時代の習俗と事件のあらゆる細部を語る」
のちに「自然主義文学の領袖」と呼ばれることになるエミール・ゾラは1869年、全20巻に及ぶ『ルーゴン=マッカール叢書』の構想ノートにこう記した。
この叢書は、「バルザックがルイ=フィリップの治世に関して行なったことを、より体系的に第二帝政期に関して行なう」という壮大な構想の下に執筆されたが、私小説批判やマルクス主義の影響が強かった近代日本では長らく関心が『居酒屋』と『ナナ』に限定されてきた。
本書は『革命と反動の図像学』(白水社)に続く、近代フランスにおける反動の動向を探る試みである。反動の時代は明るかったのか、それとも暗かったのか? 前著で残された重い問いの回答は、まさに『ルーゴン=マッカール叢書』の中に見出されるだろう。
百貨店、炭鉱、そして近代市場。資本主義が立ち上がってくる近代フランスを支配していたものは何か? 自然主義文学と欲望の力学の鮮やかな交錯!

[目次]
序章 新たなゾラ像の構築に向けて 
 大統領の来訪/二つの調査/世界現象としての自然主義
 ゾラをめぐる認識の変遷/ゾラの多層性/本書の構成

Ⅰ 〈問い〉としての歴史と社会 

第一章 『ルーゴン=マッカール叢書』の起源 
 「四つの世界」と「特殊な世界」/バルザックとの差異化
 自然科学のモデルと十九世紀小説/ゾラは医学理論から何を得たか
 叢書を支える社会観/『ルーゴン=マッカール叢書』の射程

第二章 歴史からユートピアへ 
 作家と歴史/歴史認識と物語の構図/近代空間の構築/民衆の出現
 帝政を糾弾する/読者の批判とゾラの応答/ユートピアに向けて

第三章 歴史の始まりと終焉――『ルーゴン家の繁栄』から『壊滅』へ
 『ルーゴン家の繁栄』のあらすじ/歴史小説としての次元/共和政の寓意
 起源の物語/戦争をいかに語るか――『壊滅』/パリ・コミューンの表象
 再生の物語に向けて

Ⅱ 女・芸術・パリ 

第四章 『ナナ』から『夢の女』へ――作品はどのように生成するか 
 作品成立の過程への関心/ゾラの執筆スタイル/『ナナ』の基本テーマ
 執筆の進捗状況/取材ノートの価値/ロマン主義神話の解体
 永井荷風とゾラ/『女優ナナ』からゾラ論へ

第五章 『制作』あるいは芸術家の殉教 
 ある手紙の発見/ゾラとセザンヌの交流/ゾラの執筆方法
 芸術と愛の相克/パリの表象
 芸術家小説の系譜――バルザックからゾラへ

第六章 ゾラとパリの創出  
 首都パリの特権性/ゾラの位置/初期作品/なぜパリが必要だったのか
 パリへのオマージュ

Ⅲ ゾラの眼差し、ゾラへの眼差し 

第七章 書簡の言説とレトリック 
 作家と手紙/十九世紀作家の書簡集の特徴/ゾラの書簡集を編む
 ゾラは誰に手紙を書いたか
 作家としての手紙――そのカテゴリーと言説の戦略/文壇の年代記
 社会と政治へのコミット/普段着の作家

第八章 時代に切り込む視線――ジャーナリスト・ゾラ 
 十九世紀の文学とジャーナリズム/ジャーナリスト・ゾラの射程
 社会と習俗を読む/女性/教育/ジャーナリズム/文学/宗教/パリ
 風俗と社会

第九章 ゾラはどう読まれてきたか 
 一  ゾラと同時代人たち 
  ギュスターヴ・フロベール/ステファヌ・マラルメ
  ギ・ド・モーパッサン
 二  ゾラと二十世紀の作家たち 
  ヘンリー・ジェイムズ/ハインリヒ・マン/アンドレ・ジッド
  ルイ=フェルディナン・セリーヌ/ミシェル・ビュトール
 三  現代の批評装置はゾラをどう読んだか 
  マルクス主義批評とゾラ/アウエルバッハ『ミメーシス』
  テーマ研究の系譜――バシュラールとミシェル・セール
  ジル・ドゥルーズ/ジュリア・クリステヴァ/ブルデューの芸術社会学
 四  歴史家たちの視線 
  感性の空間――アラン・コルバン/政治空間――モーリス・アギュロン
  経済空間――ル・ロワ・ラデュリとジャンヌ・ガイヤール
  イデオロギー空間――ミシェル・ヴィノックとモナ・オズーフ
 五  二十一世紀の現状 

補遺 『ルーゴン=マッカール叢書』各巻のあらすじ

 あとがき 
 初出一覧
 参考文献 
 註

[著者略歴]
小倉 孝誠(おぐら・こうせい)
1956年生まれ。東京大学大学院博士課程中退。現在、慶應義塾大学文学部教授。専門は近代フランスの文学と文化史。著書に『歴史と表象』(新曜社)、『『感情教育』歴史・パリ・恋愛』(みすず書房)、『身体の文化史』(中央公論新社)、『パリとセーヌ川』(中公新書)、『犯罪者の自伝を読む』(平凡社新書)、『愛の情景』(中央公論新社)、『革命と反動の図像学』(白水社)、『写真家ナダール』(中央公論新社)ほか。訳書に〈ゾラ・セレクション〉全十一巻(責任編集、藤原書店)、フロベール『紋切型辞典』(岩波文庫)、バルザック『あら皮』(藤原書店)、ユルスナール『北の古文書』(白水社)など。

*略歴は刊行時のものです

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