内容説明
あらゆる知識の編纂を試みた一大事業の概要
ルネサンスでまいた知識の種が実を結ぶまで
本文・図版をあわせ全28巻におよぶ『百科全書』。出版に携わる人々、時代背景、数々の告発事件、各版の内容などをまとめた入門書。
18世紀における驚異的事業の概要
本文・図版あわせ全28巻におよんだ『百科全書』。七万を超える項目の多くが先行する文献からの引用、改編、要約であり、その事業はまさしく知識再創造の一大実験場といえよう。本書は、ディドロをはじめとする主要人物のみならず、図版に関する情報を充実させ、後世に名を残さなかった市井の職人たちにも目を向ける。運動に身を投じた人々、編纂史、数々の告発事件、後続版本の内容をまとめた入門書。
[目次]
第一章 『百科全書』の起源と歴史
Ⅰ 『百科全書』の起源
Ⅱ 『百科全書』の歴史
第二章 『百科全書』本文と執筆者
Ⅰ ドニ・ディドロ
Ⅱ ジャン・ル・ロン・ダランベール
Ⅲ ルイ・ド・ジョクール
Ⅳ ポール=アンリ・ティリ・ドルバック
Ⅴ そのほかの百科全書派たち
Ⅵ 作品構成
Ⅶ 『百科全書』本文一覧
Ⅷ 項目執筆者一覧
第三章 『百科全書』図版
Ⅰ ディドロの果たした役割
Ⅱ 素描家について
Ⅲ 版画家について
Ⅳ 『百科全書』図版一覧
Ⅴ 素描家と版画家一覧
第四章 『百科全書』の『補遺』および『目録』について
Ⅰ 『補遺』について
Ⅱ 『分析的・体系的目録』について
第五章 ヨーロッパで刊行された『百科全書』の諸版について
Ⅰ ルッカ版(フォリオ判)
Ⅱ リヴォルノ版(フォリオ判)
Ⅲ ジュネーヴ版(フォリオ判)
Ⅳ ジュネーヴおよびヌーシャテル版(四つ折り判)
Ⅴ ベルンおよびローザンヌ版(八つ折り判)
Ⅵ イヴェルドン版
Ⅶ 『テーマ別百科全書』
Ⅷ 縮約版および翻訳版
訳者あとがき
本書に登場する書誌一覧
参考文献
[原題]L’Encyclopédie
[著者略歴]
マドレーヌ・ピノー Madeleine Pinault
元ルーヴル美術館研究員。ルーヴル美術館、フランス国立図書館他、ヨーロッパの数多くの展覧会に携わる。『百科全書』と諸アカデミーの図像を中心とした、西洋17、18世紀の思想史、科学技術史、書物史研究に従事。主要著書に Le Livre de Botanique, Bibliothèque nationale de France, Paris, 2009.主要論文に« Fabrique de l’Encyclopédie » dans Tous les savoirs du monde, Bibliothèque nationale de France, Paris, 1996, 他多数。
[訳者略歴]
小嶋竜寿(こじま りゅうじ)
埼玉県生まれ。慶應義塾大学文学部博士課程単位取得退学。
現在、慶應義塾大学、中央大学非常勤講師。
『「百科全書」―情報の玉手箱をひもとく―』(共著,慶應義塾大学図書館,2013年)。
*略歴は刊行時のものです