内容説明
フェアリーテイルの名作、本邦初訳の完全版。
レア・セドゥやエマ・ワトソン主演の映画版と比べて読みたい!
ディズニー映画で有名な「おとぎ話」は、本当はこんな物語だった!
森の奥深く、バラに囲まれた魔法の宮殿を舞台に、16歳のベルと守護妖精たちがくりひろげる華麗なるファンタジー。フェアリーテイルの名作をはじめて日本語に訳した完全版。
美女(ベル)と野獣(ベット)の「めぐりあわせ」に秘められた、いくつもの謎がついに明かされる。
[ウォルター・クレインの挿絵付]
「恋愛論」としてのフェアリーテイル
「わからないじゃありませんか」とベルはつとめて平然としたふりをして言いました。「もしかすると、私に与えられた恐ろしい運命には、それが恐ろしく見えるのと同じくらい幸福なもう一つの運命が隠れているのかもしれませんわ」(本書より)
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ディズニー映画で有名な「おとぎ話」は、本当はこんな物語だった! 美女と野獣との「めぐりあわせ」に秘められたいくつもの謎が明かされてゆく……森の奥深く、バラに囲まれた魔法の宮殿を舞台に、16歳の美少女ベルと守護妖精たちがくりひろげる華麗なるファンタジー。
本書は、フランスの作家・ヴィルヌーヴ夫人が書いたオリジナル版にもとづいた、本邦初訳の完全版です(1740年の初版に挿絵はありませんが、今回は、ウォルター・クレインの作品を特別収録しました)。世界的に有名なフェアリーテイルであると同時に、醜さと美貌、愚かさと才気、邪悪と善良さなどがキャラクターに属性として与えられ、愛をめぐる考察が行なわれる文学作品。いわゆる民話としてではなく、意識的に恋愛心理を追究した「恋愛論」としても楽しめる一冊です。ヤングアダルト小説の読者にも配慮したルビつき。
[目次]
第一部
第二部
訳者あとがき
[原題]La Belle et la Bête
[著者略歴]
Gabrielle-Suzanne de Villeneuve(1685-1755)
ヴィルヌーヴ夫人は、フランスの作家。プロテスタント系貴族の子どもとして生まれながらも、弁護士だった父親の死後、母親に財産の多くを奪われてしまい、不幸な結婚・離婚を経て困窮し、職業作家となるべくパリに出る。劇作家クレビヨンの家に身を寄せ、家政婦兼秘書として働きつつ文筆活動をし、クレビヨンが引き取った捨て犬や捨て猫に囲まれて暮らした。
[訳者略歴]
藤原真実(ふじわら・まみ)
1959年、東京生まれ。首都大学東京人文科学研究科教授。18世紀フランス文学専攻。
関係論文
「「恋愛地図」で読む『美女と野獣』——連作的読解の試み」(『人文学報』第四六六号、2012年)、「怪物と阿呆——「美女と野獣」の生成に関する一考察」( 『人文学報』第三九一号、2007年)
主要訳書
ロベール・シャール『宗教についての異議』『軍人哲学者』『啓蒙の地下文書Ⅱ』所収(法政大学出版局、2011年)
*略歴は刊行時のものです