内容説明
名店の知られざる歴史
伝統を受け継ぐ者たち
2018年、創業100周年を迎える洋酒バー「サンボア」。大阪、京都、東京に14軒を構える由緒ある酒場の知られざる歴史を辿る。
山口瞳も愛した「酒場らしい酒場」。本物のバーには物語がある。
人と酒が紡いだ、この百年の稀有な物語にいま一度、乾杯。
サントリーホールディングス副会長・マスターブレンダー
鳥井信吾
[大阪]堂島サンボア/北サンボア/南サンボア/島之内サンボア/梅田サンボア/サンボア・ザ・ヒルトンプラザ/北新地サンボア/天神橋サンボア
[京都]京都サンボア/祇園サンボア/木屋町サンボア
[東京]銀座サンボア/数寄屋橋サンボア/浅草サンボア
「古き良き サンボアのかおり 今もなお」
――14店に受け継がれる名門の伝統と心意気
受け継がれる伝統のDNA
1918年に創業した洋酒バー「サンボア(SAMBOA BAR)」。独自の暖簾分け制度により大阪、京都、東京に14店を展開する稀有なバーの100年史を辿る初の1冊。
サンボアの前身は1918年、神戸・花隈の地に開業した「岡西ミルクホール」。オーナーの岡西繁一が北原白秋の編んだ文芸誌「ザムボア(朱欒)」から名前を拝借し、店名を「サンボア」に改称、そこからサンボアの歴史が始まった。この命名には、関東大震災に遭い、神戸に居を移していた谷崎潤一郎が一役買ったという説もある。
その後、岡西の下で修業を積み、店を受け継いだ者たちが大阪、京都にそれぞれのサンボアを出店、独立を果たす。戦時中、家屋疎開に遭ったり、出征時の休業を余儀なくされながらも店は奇跡的に守り抜かれた。
現在、創業者・岡西繁一から直接暖簾を継いだ3つの家系の3代目と、それぞれのサンボアで修行した者たちの計12名のマスターが「サンボア」を名乗り、14店の「サンボア」を営んでいる。残された貴重な資料と関係者への取材に基づき、それぞれのサンボアの歴史、店を立ち上げ、店を背負ったマスターたちの思い、著者の半生を辿るなかで、京阪神の戦前・戦後史、日本のバー文化史が見えてくる。
[目次]
プロローグ
一 サンボア創業
二 戦後の再出発
三 サンボアのDNA
エピローグ
サンボア主要人物一覧/サンボア年表/サンボア系図/サンボア各店案内
[著者略歴]
新谷尚人(しんたに・なおと)
1961年大阪生まれ。関西大学在学中、83年「南サンボア洋酒店」にアルバイトとして入店。大学卒業後、高校の英語科の講師として教壇に立つ傍ら、86年「サンボア・ザ・ヒルトンプラザ」の開業と同時に入店。94年、独立を果たし、「北新地サンボア」を開業。2003年、東京に「銀座サンボア」を開業、2011年には「浅草サンボア」を開業し、現在に至る。