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足立さん、ここはどこですか

第二回 「谷在家から、西新井大師へ」 -2009.05.21

まず、手始めにあるもの:広い街道、その上をはしる高架線路。まっすぐ。左右への延長。
手始めにまず、ないもの:うねり・くねり、雑然さ、商店街、視界を遮るもの。

「ここか…おお。何もない。というか、ラーメン屋がある。「武蔵」系かな。焼き鳥屋も。おお、コンビニは、ある。なんか買おう。おお。見よ、やはり、何にもない。住宅街と、団地にあふれている。人口はたくさんみたいだ。そして、何もない、おお、『鳶…土建工業』と大書された看板がある。サラサラヘアの、女の子が前を歩いている。後を追っては、いけない。きっと彼女は、このどこまでもつづく住宅街の、どこかの果てに住んでいて、私をいざない迷わせようとしているの、かもしれない。おお。見よ、大衆割烹「いきなり(仮名)」があらわれた。それにしても、もう3~40分は歩いたかな。…しずかだな…おお、なごんでいたら、「おっとり構えてンじゃないよ」とばかりに、『紳士服のコNカ』がDOKAっとあらわれた!あーおどろいた!

ここは「矢在家(やざいけ)」、足立区の北西部に位置する町である。…とか言ってさらに歩いていたら、町名が「鹿浜」になっていた。地図を見ると、もう少しで川口市に至ってしまうのである。

前回、予告したように、足立区探索・その足掛かりとして「日暮里・舎人ライナーの旅」が始まっております。
ある日、私はポツンとひとり、ライナーに乗車していた。
もうすぐ終点だな、だけど、この駅名、なんて読むんだろ?
「「やざいや」だよね」
ライナーさん:「ちがうね、「やざいけ」て読むんだよ、おうおう、もう一回、言ってみなよ。わすれちゃうから」
「やざいけ」
ライナーさん:「よし、次、いって、よし」

さて、お次はいきなりなぜか、ちょっと南下して、西新井である。
西新井は、有名である。
東武線ですね。昔は「東京サマー」っていうサマーランドみたいのがあった、ハイカラなリゾートタウンでございますね。(ホントだなっ…!)
70年代終わりには、「東京ブラボー」っていうバンドがあったね、まあ、いいや。

さて、「日暮里・舎人ライナー」では、駅名は「西新井」だけでは済まされない。そのあとに「大師」がつく。しかも、まだおわりじゃない、いちばん最後に、もう一回「西」がつくのである。
したがって、駅名は:「西新井大師西」…上から読んでも、下から読んでも、の気分になりそうですな。
ライナーさん:「一度、区切って呼ぶンだよ。ほら、英語のアナウンスで言ってるだろ、〈にしあらいだいし、にし〉」
「ホントだ。しかも「にし」の「に」に強烈なアクセントがついてるね。イングリッシュ感、たっぷりな演出だ」

この駅を楽しむには、とにかく、西新井大師を目指すことだ。目指そうと歩みだす、と、途端に、愛のホテルが、大きな児童公園と隣接してあらわれる。愛のホテルのまん前は、労働を激しくする人むけなのか、でかい弁当の仕出し屋だ。
愛のホテルに入店するときに、この仕出し屋へ寄る人もいるだろう。
メニューも、100種類ぐらい、組み合わせでありそうな、そういうヤル気のお店、と見た。

…さっきの「谷在家」にくらべて、ここも住宅街なんだが、どこか違う。「くねり」がある。「三叉路」もある。なにか、商品のにおいが、大気の中を浮遊している。商品、なかでも、やはり「食い物」だ。弁当だけじゃない。「飯屋」の香りというか、とにかく、立ち止まらせるものが、ある。まずはこの藤の満開の様を見よ。これが住宅街の真ん中にある食い物屋の店先にズドーンとある。

そして、みごとに放り出された感のある、ドーンとした空地の向こうに、パティスリー・フランセーズの文字を冠した洋菓子店がキラめいている。

そして、道は自然と、くねりながらも、「西新井大師」の参道へとつづいていく。
おまんじゅう・おせんべい、といった土産物、「ご休憩所」然とした小さな喫茶店や、ラーメンもウドンもカレーもある甘味屋さんなど、参道ならではの「食い物」通りが眼前に展開し、「おお。さっきまでのサバーバンなウルトラドライネスから一転して、こりゃまた人なつっこいじゃあないか」

「すんませーん、ダンゴもう一本!」というキサクな声が、聞こえてきそうな街なみである。

さて、前半の「谷在家」を足立A とし、後半の「西新井大師」を足立B として、A を「尾竹橋通り沿い・ビヨンド荒川サバービア」地帯と定義し、B を「東武線沿線型・北千住延長、お江戸の香りサバービア」と定義することを提案してみたい。Bはとくに、旧日光街道に寄り添う地帯である。

もちろん、前者のほうが後発発達区域なのだろうが、べつに鉄道がしかれていようが、いなかろうが、大昔から人々は営々と住んでいたわけであり、A 地帯の極北に〈見沼代親水公園〉なる「縄文・弥生遺跡跡」があることからして、新・旧を争うつもりはまったくないのである。(ライナーさん:「ウチのほうが、断然、歴史的に勝利をおさめてるぜ!」)

ないのであるが、しかし、「こんなに違う」!のは歴然としている。

この〈A / B〉はどうなっているのか? なんでこんなに違うのか? の問題、人呼んで「北千住あまりにも特別扱い問題」。
またの名を、「東京24区時代到来か? あらたに『(北)千住区』を設営のススメ」。

お読みになっている方々には、ぜひ、現在の北千住駅周辺のアリサマと、以前、ソレもせいぜい昭和50年代くらい(最近でしょ…ってそうでもないか)の駅前風景を比較することを、センエツながら希望させていただきます。
その変貌の様は、さながら魔術のごとくである。

ところで、この北千住と比べてみたいのは、荒川と隅田川に挟まれた数百メートルの「川境」にポツリと、ひっそりと息づくエア・ポケットのような愛らしい町、「小台」そして「宮城」である。徒歩で30分も歩けば端から端まで歩けそうな土地幅なのに、なぜか昔ながらの理髪店の看板が10件近くクルクル回っているという、興味深い町。2階建ての慎ましやかな借家も2件ほど発見。筆者・奈落亭凡百の、終の棲家となるのでは…との期待もふくらんでくる。

というわけで、次回は、〈足立区らしくないぜ!盛り過ぎじゃないか北千住〉〈人目に付かずに、足立の端で、6畳ふた間ひっそり暮らすのも味ですぜ小台・宮城〉の二本立てでお送りします。

【編集部/奈落亭凡百】
足立・江北高校受験経験アリ(元・都立高校学区(1979年当時)第53群)

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