|
自転車通勤は楽し!
フランス人には気をつけろ -2010.04.23 しばらく自転車に乗ってなかったので、今は新鮮な感覚で自転車に乗ることができる。1カ月あまりの自転車通勤禁止令は意外と良い結果に結びついているかもしれない。桜の時季に自転車に乗れなかったことは残念であるが、徒歩通勤に変更して、千鳥ヶ淵の桜をゆっくりと眺めることができた。今年は例年になく寒暖の差が大きかったせいか半月あまり花を楽しむことができた。災い転じて福となす。野菜高騰、手が出ない。 自転車通勤再開に際しては、サドルを1センチほど低くして、楽な格好で乗ることができるように変更した。あまり上半身には力を入れないようにして乗っている。つまりペダルを回すことを意識し、急にスピードを出したりしない走り方である。カイロプラクティックにはまだ通っているが、一時期の自転車乗車時の肩の激しい痛みは和らいだ。 ところで、実際に自転車に乗ることも楽しいのだが、テレビの前で横になって視る自転車レースも面白い。 ここ3年ほどであろうか、私は春になるとあるスポーツ専門有料テレビチャンネルを申し込む。3月から4月にかけてヨーロッパでは自転車ロードレースが本格的に始まるからだ。日本でも自転車ブームにあやかってなのか、 そのうちのひとつに「パリ~ルーベ」というレースがある。今年は4月11日(日)に行われた。第1回大会は1896年に開催されているので100年を超す歴史を有する格式の高いレースだ。別名「クラシックの女王」。フランス人はうまいこという。 パリ郊外から北へ向かってルーベという町まで260キロメートルの距離を争うレースなのだが、そのうち50キロメートルほどはパヴェと呼ばれる石畳のコースが設定されている。30ほどあるパヴェは後半の残り100キロメートルに集中し、恭しくもそれぞれ名前と番号が付されている。またパヴェの走りにくさの度合いは星の数で表現され、それはミシュランのレストランガイドの星の数とは逆に、多くなるほど過酷になる。ここはフランス人の悪いジョークとしか思えない。 最高難易度、五つ星のパヴェの中でもひときわ有名なものがある。「アランベール」という名が冠された直線2.4キロメートルの上り坂、森に囲まれた美しい石畳の小道である。ナポレオン時代に造られたこの道はどう見ても自転車で走ることなど想定していない。荒くカットされたサイコロブロック状の石を敷いただけの道だ。両脇は比較的平坦になっているが、大会主催者はその平坦部分にわざわざ柵を設け、あえて道の真ん中の走りにくい部分を選手たちに走らせる工夫までするのだ。意地悪な女王様ってとこか。 有力選手たちはアランベールに入る前にできるだけ集団の前に出て、落車に巻き込まれないようにする。自ずと先頭集団のスピードは上がり、入口手前では時速60キロほどに達する。そのままの猛スピードで細くてガタガタのワニの背中のような石畳に突っ込んでいくのだ。 しかしながら、観るほうにとってはこれほど面白いものはない。タイヤのパンクは当たり前、車輪が壊れたり、石の隙間にハンドルを取られて落車が頻発する。雨が降ったら泥がブレーキと車輪の間に挟まり回らなくなる。観客の中には交換用の車輪を持って観戦している人たちも多い。さてこの人たちは親切なのか意地悪なのか、訳がわからなくなる。この状況を称して「北の地獄」もしくは「地獄の日曜日」と呼ぶ。 運よくルーベに辿り着いた選手たちは石ころひとつ落ちていない自転車専用競技場ヴェロドロームを1周して、観客の惜しみない声援の中、ゴールする。完走した選手にだけに与えられる至福の瞬間である。そして、このレースの優勝者には石のトロフィーが贈られる。フランス人のジョークは徹底している。
【総務部/ピンキー】 |
|



