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自転車通勤は楽し!

楽しい取材旅行 -2010.10.25

東京堂書店の平台で吉村昭『味を訪ねて』(河出書房新社)を見つけ買った。2006年の没後、いくつか作品集や関連書が出版されているが、彼の食に関する短編を集めるとは、不意を突かれた感がある。吉村昭は池波正太郎のようにどこの店の何々はどういうものでという書き方はしない。せいぜい近所の吉祥寺の鮨店、立ち食いそば店、生まれ育った根岸の洋食店、取材旅行先で食べたものの話くらいしか書かないという印象であった。が、並べてみると一冊の本になる。歴史長編小説は読み応えがあるが、この人の短編は潔く美しい。

私はブログのようなインターネット上の書き込みは日頃しない。日記も書かない。そんな私がこの《クラブ白水社》に月に一度文章を掲載するようになって2年近くになる。自転車による通勤について書いているが、それだけでは書くことが思い付かなくなってきた。そこで今回は故吉村昭先生に習い、取材旅行に出た。

10月23日(土)24日(日)、宇都宮で開催された第19回ジャパンカップサイクルロードレースを観戦しに行った。このレースは第一線で活躍するプロの自転車ロード選手を間近で見られるアジアでは最高峰のレースだ。テレビでは海外でのレースを生中継で気軽に視ることができるが、実際に現場で観戦するのは初めてである。

23日午後、エキシビションとして市街地でのクリテリウムレースが行われた。JR宇都宮駅から西へ延びる大通りを800メートルほど交通規制し、往復1600メートルのコースを20周するレースである。ほぼ直線のコースを往復するレースなので状況がわかりやすく、選手の息遣いが身近に感じられた。沿道は黒山の人だかり、選手たちも声援に応える形でデッドヒートが繰り広げられた。今回初の試みだが、また来年もやってもらいたい。また、二日間に渡って催しがあることで宿泊客が見込まれ、経済効果も大きくなったことだろう。

宇都宮の経済効果といえば、餃子が有名だ。昼時に繁華街を歩いてみたが、餃子の有名店は50人くらいの行列ができていた。せいぜい5人くらいなら並んでもいいが、20メートルの列の後ろに並ぶ気力は今の私にはない。それでもせっかく宇都宮に来たのだから行列のない餃子の店に入ってみた。ニンニク入り餃子1人前6個210円、ご飯100円で310円、十分においしかった。ちょっとお腹に足りないので、たこ焼きを食べながらぶらぶら歩いていると、地元のロードレースチーム宇都宮ブリッツェンの選手たちが子供たちに自転車の指導をしている会場にたどり着いた。10年後、15年後は君たちが主役だ。

夕方、ホテルにチェックインし、近くのおでん屋に足を向ける。JR宇都宮駅東口「剣菱」。小上がりになっていて、脚を落として座るカウンターがある。小料理屋によくある造りだ。しかも和服の似合う美女が中に立っている。ええい、ままよとカウンターに座る。

「日本酒は熱燗がいいですか?」と訊かれたら、「はいっ。」と応えるしかない。「私も熱いほうが好きなんですよ…」と若女将。話に聞くとかなりの酒豪だそうだ。勧められるままにお酒2本、おでん、牛すじ煮込みなど3、4品いただいて3800円也。再訪のためこころにメモして置く。気分がよいので、もう1軒寄って帰る。

翌朝の日曜日、少しだけ二日酔いの頭を引き摺りながら、タクシーでレース会場の森林公園に向かう。会場に向かう幹線道路はサイクリストたちが列を成して走っている。私も来年は自転車を持ち込みたい。今回は来年のための下見のような意味合いだ。

午前10時、本番のレースがスタート。激しいアップダウンがある14キロメートルのコースを周回しながら、全長151.3キロメートルの距離で争われる。選手たちは1周20分のペースで周回する。私はラジオで実況中継を聴きながら林道を歩く。空気が澄み渡り気持ちがいい。そこを白バイに先導された選手たちが猛スピードで通り過ぎる。予備の自転車を屋根に載せたチームカーの隊列が後を追う。

30分ほど歩き、ゴール地点のメイン会場に着いた。たくさんの人で賑わっていた。私も芝生に腰を下ろし、大画面テレビ中継を観たり、芸能人のトークショーを聞いたり、屋台で飲食したり、気ままなピクニック感覚でレースを楽しむことができた。

今回は急に思い立っての旅行だったので、出費も意外と多かった。来年はもう少し節約できるだろう。東京から宇都宮まで100キロ、往きは自転車で走ることになりそうだ。


観戦するなら上り坂がいいみたい
【総務部/ピンキー】

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