一回戦 眺めのよいカレー
二回戦 最高学府のお座敷カレー
三回戦 夏休みだ! 親子で学食カレー
四回戦 学生のいない学食でのカレー
五回戦 北の大地の学食カレー
六回戦 帝都東京の地下カレー
七回戦 眺めのよいカレー(Part.2)
八回戦 ヒポクラテスの卵なカレー
九回戦 疑惑の女子大カレー
十回戦 漢な理系カツカレー
最終回 リッチな学食カレー
「○×って店のカレー食べたことある?」
「ない。だってルーカレーでしょ。」
「△□はどう?」
「うーん、ぜんぜん辛くない。」
カレー部創設から早3年。創部当初はカレーに情熱を燃やし、カレーの辛さに胃腸まで燃やしてきた部員たちであるが、いつからか倦怠期夫婦のような気のない会話が横行するようになってしまった。
そんな、これまでのグルメ路線(激辛はグルメか?というツッコミは無視して)で舌が傲り堕落してしまったカレー部員たちに下された新たな指令が、「学食十番勝負!」である。
人はなぜキャンプでカレーをつくり、海の家でカレーを食べるのか。カレーは辛くなかろうが、うまくなかろうが、とりあえず食べることは可能だからだ。そんなカレーの原点に立ち戻るべく、カレー部の新たな挑戦が、ここに始まる……。

M大学 Lタワー17階 スカイラウンジA
チキン・カレー 300円(大盛り100円増し)、カツカレー 410円
挑戦者:カリー・ホッター部長、すーちゃん、コバチェビッチ
ホ:「何といってもM大学が誇るLタワー17階。明るいし、それほど混雑もしていないし、部外者でも気安く入れる雰囲気でいいね。」
す:「展望も良いのお。さすがに白水社は見えんが。」
コ:「建物にお金かかってるわりに、椅子はセブンチェアのコピー品ですね。」
ホ:「まずはカウンターで発注して、レジで精算する、と。よくあるシステムですな。」
す:「ワシは個人的には自販機の方が好きだ。ゆっくり考えられるから。ココも
そうしてほしいところだ。」
コ:「カウンター式は余計なものを頼み過ぎて、精算のとき高くなってたりするし。」
す:「カレーはルーのみでオーダーできるのかな?」
ホ:「ご飯だけ残せばいいんじゃないの。私は大盛りに挑戦してみよう。」
コ:「じゃあ僕はカツカレーで。」
ホ:「カレーを盛りつけるおばさんが、ぎこちないね。」
す:「学食っぽくなくて興味深い。事務系の職員が昼時だけ参加しておるのか?」
コ:「後ろでは思いっきり学食っぽいおばちゃんがにらんでます。福神漬けはどこにあるのかな……って、セルフじゃなくてすでにのってるのか。」
ホ:「無着色の福神漬けだけど、変化に乏しいな。盛り付けは……特に可もなく不可もなく、まあカレーですから特別なことは期待しても……。」
す:「普通のカレーは肉が多い。一見豪華だが……。」
ホ:「ホント、ずいぶんたくさん肉が入っているねえ。四角にカットされたこの鶏肉は、皮や脂肪のついていない部分だからダイエットにいいのか?」
コ:「カツカレーにも同じ、鶏だらけのカレーがかかってますよ。」
ホ:「野菜はタマネギしか入っていないのが、不満だな。伝統的学食カレーとしては、ニンジン、ジャガイモは必須アイテムでしょ。」
コ:「ライスは、すーちゃんにはあまり関係ないですね……。」
ホ:「あまりいい米はつかっていませんな。」
す:「この量はワシには多すぎるよ。といっても若い人が食うのだから仕方がないか。」
ホ:「予想以上に多いよ。大盛りにしたからだけど。」
コ:「大食らいの僕には余裕なんですけど、この薄い、油っぽいカツはキツイです。しかし、これが300円だったら、松屋のカレー290円のがよくないですか?」
ホ:「なに! 学食は安いのが生命線ではないか!」
す:「松屋のカレーより高いとは、再考の余地アリ。せめて200円台にしなさい!」
●総評
・M大学の学食なら、標準的なものを提供しているのではないかと勝手に思いこんでいたが、学食カレーとしては意外にもチキンカレーであった。個人的には、ここはポークカレーが正しいのではないかと思う。しかし、今は学食ではチキンカレーが標準なのかもしれず、今後の大きな課題である。(ホ)
・さらにスパイシーにすると良いであろう。カレー粉は最小限に。(す)
・こんなに重いカツカレーはなかなかお目にかかれない。今回は負けてやったが、体調のよい時にカツカレー+ラーメンセットでリベンジしたい。(コ)
●採点(満点は☆5つ)
量 ☆☆☆
味 ☆☆☆
サービス ☆☆☆
(注)今回は第1回目ということで、すべて☆3つにさせていただきました。白水社から最も近いM大のカレーを「学食カレーのメルクマール」とし、次回以降の学食カレーを採点していきます。
しかし、早くも萎え気味な部員たち。この企画、続くのでしょうか……。(2005/07/15)
連載2回目にして早くも、T大のカレーに挑みます。
御茶ノ水駅からバスで10分。辿り着いたT大構内は、緑が爽やかです。
広いキャンパスに点在する3つの学食には、どんなカレーが待っているのでしょうか……。

T大学 第二食堂→中央食堂→メトロ銀杏食堂
挑戦者:カリー・ホッター部長、すーちゃん、コバチェビッチ
す:「コドモの頃から散歩していたあたりなので、学内のフンイキには馴染めるなー。」
ホ:「ずいぶん古い建物が多いね。もともと頑丈に作ってあるからなのか、お金が無くて新しい建物を作ることができないからなのかはわからないけど。」
コ:「あれが第二食堂ですね。小手調べにあそこから行きましょうか。」
す:「おお! 夏季限定でスープカレー(500円)がある。ワシはこれでいこう。」
ホ:「最初だから、レギュラーカレーのSかな。」
コ:「懲りずにカツカレー、でもSにしておきます。」
す:「二食は苦手なキャフェテリア方式か……でも、おば様たちがなごやかだな。」
ホ:「辛さはどうしますか、と確認してきたところは評価すべきだね。」
す:「スープカレーは野菜が充実している。これは嬉しい。」
コ:「スパイス効いてて、本格的ですね。」
ホ:「これは学食カレーの領域を超えているかもしれない。」
す:「上出来、上出来。限定メニューではなく、通年でパーマネントに提供されていれば、また食するかもしれない。」
コ:「カツカレーも、普通にうまいですよ。」
す:「作りが丁寧で、コクもある……まあ、「よくできたレトルトのカレー」くらいには仕上がってるな。」
コ:「まさにその表現がピッタリ。というか、最低限このぐらいであってほしいですよね。」
期待以上のカレーに満足の一行は、安田講堂地下の中央食堂へと移動します。
コ:「レギュラーカレーと中央カレーの2種類があるそうです。」
ホ:「ここは私が中央カレーで勝負しよう。「中央」に鎮座した温泉玉子が誇らしげだ。」
す:「やはりわたしは食券を自販機で買うスタイルが好き。機械は「早く頼みなよ」という態度を見せないから。ゆえにこの中央食堂がベスト。」
コ:「とか言いながら、スイカしか買ってないですね。」
す:「120円でよく冷えていて、分量も一人で食うには申し分なし。スーパーとかで売ってるやつは食いきれんのよ。」
ホ:「さすがは中央カレー、カレーのデラックス版という位置づけか、牛肉の他にタマネギ、ニンジン、シメジ、豆と際だって具材が多く豪華。」
コ:「レギュラーは、いたって普通です。」
ホ:「なぜか、外部の人間と思われる利用者が目立つね。我々も他人のことは言えないけど。宅急便のドライバーとか、女子高生とか。」
コ:「高校生たちはおみやげを物色してましたから、修学旅行ですかね?」
そして勝負は3本目、メトロ銀杏食堂へと闘いの場を移します。
ホ:「中央カレーの量が多かったから、私はもうアップアップ。」
す:「畳敷きの座敷があるぞ。」
コ:「それじゃあ男3人、畳の上でカレーSサイズを突き合いましょうか……でもさっきの中央食堂Mサイズぐらいあるな。これで150円というのは驚異ですよ。」
ホ:「通常のカレーライスは、いずれもSが150円、Mで230円という安さ。松屋より安いよ。貧乏学生の味方という本来の使命に忠実であるところは多いに評価すべきでは。ひょっとすると、カレーライスについてはコスト割れ覚悟なのかもしれない。」
す:「ワシにはすべて多すぎる。もったいない。半分以下でいい。」
コ:「それにしてもこの畳敷きと地下商店街は、今が21世紀だということを忘れさせますね。さて、3カ所で食べてみましたが、特別なカレー以外は味の違いがわかりません。せいぜい具の切り方くらいかな。肉は全部ビーフでしたね。」
ホ:「M大が、チキンカレー・ベースであったことを考えると、面白い。ひょっとすると、学食はチキン派、ビーフ派、ポーク派とそれぞれ立場が違うのかもしれない。」
す:「学食で食べたのは初めてだったんで、新鮮だったなー。留学生が多いのも、さすがT大。」
ホ:「アジアからの留学生も多いことを考えると、ビーフだけじゃなくチキンやマトンなどのカレーも開発すべきではないだろうか。ベジタブルカレーも必須であろう。」
●採点(満点は☆5つ)
量 ☆☆☆☆☆
味 ☆☆☆☆
サービス ☆☆☆
前回の採点に失敗した結果、という話もありますが、なかなかなものでした。(2005/07/27)
T京工芸大学(厚木キャンパス)のカレー
挑戦者:コバチェビッチ
暑い!暑い!暑い!
こんな暑い中、働いているみなさん、ごくろうさまです。学生さんは夏休みですよ~。うらやましいですよ~。学生さんがお休み、ということは学食もお休み? 過去2回にわたる死闘で傷ついたカレー部員(おお、なんか『魁!!男塾』みたいでかっこいいぞ)にも、休息が必要です。
そんな夏休み真っ最中の土曜日、ワークショップ好きな妻&息子(小学4年生)がT京工芸大学に行くというので、関係のない私&娘(幼稚園児)もノコノコとついて行くことにしました。
T京工芸大の厚木キャンパスは、丹沢のふもと、飯山温泉のそばという、勉学に励むにはもったいない素敵なロケーションにあります。もっとも、若者は山に登ったり温泉に入ったりはあまりしないのかもしれません。ここで毎夏行われるのが、「親子でわくわくKOUGEIランド」。ネーミングがベタですが、なかなかどうして、「プラネタリウムを作る」「映画フィルムによるアニメ製作」など、本格的なイベント盛りだくさん! 「夏休みの課題に最適」とも謳っていて、息子は自由課題はこれを提出しよう、とか言ってますが、それはさすがに手抜きすぎではないでしょうか。
息子が参加したのは「振動歩行カブトムシ・大レース」。ブラシの上に消しゴムをつけたモーターを2個設置。消しゴムの振動によってブラシが蠕動するという、私の文系頭には考えもつかないナイスなおもちゃです。バッテリーボックスやモーターを置く場所でバランスを取らないと、うまく前に進めないというシビアさも持ち合わせています。
しかも材料費はタダ! 後日息子が同じものを作ろうとしましたが、1000円近くかかりました。さらには学食や模擬店で使える金券600円分もくれるという太っ腹ぶり。すごいぞ、T京工芸大!
早速、金券600円握りしめて学食へ。イベントの終わった家族連れでごった返しています。ここはデパートの最上階のお好み食堂でしょうか? とても学食とは思えません。自分のことを棚に上げて言うのもなんですが。
「おとーさん、またカレーだって(冷笑)」と、付き合いの悪い妻と息子と娘は麺類カウンターへ。しかしこちらは長蛇の列。周りに飲食店がないことを考えると、普段、学生さんたちは学食に殺到するはずです。だいじょうぶなのでしょうか。食べきらないうちに午後の授業が始まってしまって、しかもそういう時に限って遅刻にうるさい先生だったりしないのでしょうか。「冷麺」のような、茹でるのに時間のかかりそうなメニューがあるのが原因かもしれません。
カレーカウンターは、断トツ速く流れています。こういうときはカレーに限るのです。父の判断がいかに正しいか、せこいレベルで証明してみました。ご飯を盛ってカレーかけるだけなんだから早くて当たり前のようですが、ここのカレーはご飯の量でS、M、Lとサイズが分かれているため、きっちり量りを使って計量しています。いつものようにカツカレーを注文。
おー、結構うまそう。お皿が上品だし。
カツは、完全に切れていないのでトングで1回で掴めるという、学食によくあるやつ。カレーは……具がほとんどないです。じゃがいもとニンジンの残滓がかすかに見受けられます。カツカレー用だけがそうなのではなく、隣で食べてるよそんちの小学生のレギュラーカレーを盗み見ても、やっぱり同じです。肉が入ってなくても、最近の学生さんは文句を言わないのでしょうか。前回のカリー・ホッター部長の話じゃないですが、留学生にも大丈夫なハラールカレーなのでしょうか。
でも、味はまずまずです。溶け込んだ野菜が奥深さを醸し出しているのかもしれません。実はこの日、二日酔いで死にそうだったのですが、軽く食べられました。二皿目もいけそうでしたが自重。もう少しカレーの量が多いと食べやすいのですが、ここにも世間一般のカツカレーが抱えているのと同じ問題が存在しているようです(以下、私の発見した「カツカレーの法則」)。
つまり、普通のカレーが
「カレー50+ライス50=カレーライス100」
だとするならば、カツカレーは
「カツ20+カレー50+ライス50=カツカレー120」
であってほしいのに、なぜか
「カツ20+カレー30+ライス50=カツカレー100」
になってしまうのです。食べてるとカレーが足りなくなるのです。学生さんならば、「おばちゃん、カレー多めにかけて!」とか頼めるのでしょうか。今どき、そんな健康優良児みたいな子はいないような気もしますが。
●採点(満点は☆5つ)
量 ☆☆
味 ☆☆☆☆
サービス ☆☆☆☆
ふと柱を見やると、前回T大で食べた「スープカレー」と同じポスターが。あれはT大オリジナルではなかったのか。若者たちにスパイシーなカレーを食べさせようという熱い「カレー魂」が感じられ、誰が企画したのか気になるところです。(2005/08/10)
N大学理工学部のカレー
挑戦者:カリー・ホッター部長、すーちゃん、コバチェビッチ
コ:「懲りずに今日も学食カレーなんですが、近場のN大でいいですかね。」
す:「暑いから出来るだけ日陰通って行こー。」
ホ:「本郷通り沿いのここが学食だね。部外者(われわれのことですな)も入りやすくていいんじゃない。」
コ:「でも、夏休みで学生いないにしても、寂しすぎますよ……。」
す:「いかにも学食、って感じ。徴兵検査に来たような気分にさせる無味索漠さだわ。」
ここまでの道中ですーちゃんの軍事プラモ好き少年時代の話が出たんですが、それはまたの機会に。
コ:「食券の自販機がある。カレーもポークとチキンとあるみたい。」
す:「どれどれ、ワシが早速……ありゃ?(100円玉を何度か投入しようと試みるが、落ちてきてしまう)これ、ダメなんじゃないの?」
ホ:「向こうにレジがあるから、カフェテリア方式なんだよ。いやー、このサンプルも味わい深いなー。」
コ:「ここをカフェテリアと呼ぶのはかなり抵抗あるんですが。えーと、僕は気がすすまないけど、いつも通りカツカレー大盛450円にしておこうかな。すーちゃん、カレーラーメンもあるよ。」
す:「おお、じゃあそれでいこう。」
ホ:「私はノーマルにポークカレー250円にしておきましょうかね。」
てきぱきと仕事をこなすおばちゃんに急かされながら注文。ライスは舟形の型に詰めて、パッコーンと勢いよく盛っていきます。
ホ:「これがポークカレー。タマネギとジャガイモはたくさん入ってるね。オーソドックスなカレーだな。しかし、肉が見あたらないぞ……イリオモテヤマネコ並に発見が困難だ。」
コ:「こっちには豚肉の断片が微かに残っています。それよりこのボリューム見てくださいよ!」
ホ:「あの大胆なライスの盛り方はすごいね。カレーかけるときも皿を握ってる左手の親指に、カレーがべったりついてたよ。」
コ:「あれ? すーちゃんのラーメンじゃなくてうどんじゃないですか。」
す:「いやー、ヒヨってしまった。麺は学食にしちゃまあまあよ。でもこれで300円は学生にはチト高価かしらね。」
ホ:「ノーマルカレーも、これじゃちょっと物足りないだろな。でも、福神漬けが赤いのが妙に新鮮だね。」
コ:「カツはなぜかチキンカツなんですが。」
ホ:「おお、M大に続いて異種格闘技戦! これは他人カレーとでも言うのか?」
●採点(満点は☆5つ)
量 ☆☆
味 ☆☆☆
サービス ☆☆☆
この後、近くのTリーズでコーヒーを飲みながら、
コ:「もう学食やめましょうよー。やるなら高級学食にしましょうよー。」
す:「『Dンチュウ』とかに載ってるような店に行こうよー。」
と訴える部員。しかし部長の
ホ:「だーめっ!」
の一言で却下されたのでした。次回はどうなる、学食十番勝負……。(2005/08/29)
H大学・中央食堂のビーフカレー
挑戦者:カリー・ホッター部長
9月の声を聞いて、ようやく暑さも一段落したかと思われる東京……いや、そんなことなくて暑いです。さて今回は、北海道育ちの我らがカリー・ホッター部長が、スープカレーブーム冷めやらぬ札幌で、なぜか学食カレーに挑みます。学食カレーに萎え気味の部員たち、心して読むように!
北海道の開拓と共に誕生した札幌農学校を母体とするH大学は、「ホ○ダイ」という略称のほうがなじみ深いかもしれない。
札幌駅から歩いてすぐという立地は、街中においても抜群の存在感である。広々として緑におおわれたキャンパスは、あたかも大きな公園のようであり、クラーク像やポプラ並木はいまだに観光名所として健在である。
このキャンパスにあこがれる受験生は後を絶たず、全国からの学生が集う。確かにここで学生生活を送ることができるのは、きっと幸せなことなのだろう。
H大に何人合格したかが高校の評価の指標になるような風潮に反発し、道内の高校を卒業し東京の私大のゴミゴミとした劣悪な教育環境で過ごした身としては、ついつい羨望と怨嗟がが入り交じった複雑な感情がわき起こってくる。
この広大な敷地のほぼ中央にあるのが、H大生協中央食堂である。
アイスクリームなども売っているせいか、どうみても観光客然とした利用者が目立っている。
1.学食の雰囲気(学生、建物、インテリアなど)
なかなか小ぎれいな建物で1階と2階に分かれているが、1階がやや混雑しているので、ここは2階に上がってみることにする。
2.店の人の印象
お店の人は、これまでの学食に比べてやや若い印象を受けた。
3.購入システム
最初にレジで注文の品を告げお金を払うと、レシートと食券を渡される。その食券をカウンターに持っていって引き替えるというシステム。
はじめはどういう仕組みかわからなかったので、前の人についてまねをする。ビーフカレーを注文。
4.カレーメニューの種類
1階はポークカレー、2階はビーフカレーである。それぞれ、カツカレーがあるが、いずれもカツはチキンである。学食におけるカツカレーのカツは、どうも圧倒的にチキンであることが多いようだ。おそらくコストとカロリーの問題からそのようになってきているのだろうが、これでいいのだろうか。
5.盛り付け
平たい皿に薄く盛りつけられたライスに、ちょうど真ん中あたりで分かれるようにルウがかけられる。見た目にはなかなか美しい。
6.具材
ビーフ、タマネギといったところで、ニンジンやジャガイモは見当たらない。ビーフは、肉片として3,4切れ存在しているが、肉としてのうまみも出きってスカスカといったところ。
7.ライス
近年は、米の品種改良が進み北海道でも内地米と遜色のない米ができるようになっている。そのせいか、ライスの味が落ちるということはない。
8.薬味
着色していない福神漬け。
9.量
分量は、多くもなく少なくもなく。ただ大学生としては、単品ではもの足らないだろうな。
10.値段
税込357円。これまでの学食の中では高い方である。
【総評】
食べてみて「あれっ」と思ったのは、ルウにはデミグラスソースが味のベースになっていることである。T大のビーフカレー(二回戦参照)にはなかった重厚さで、好みとは別に高級感がただよう味わいである。かなりハヤシライスよりのカレーという言い方もできるかもしれない。
一方で、そのためにスパイスは犠牲になってなっていることは否定できない。
●採点(満点は☆5つ)
量 ☆☆☆
味 ☆☆☆
サービス ☆☆
本来は1階のポークカレーも食して検証の厳密性を確保すべきであったが、市内のスープカレーを試す余裕を残しておきたかったために断念したことはいま思い返すと残念である。(2005/09/10)
H大学市ヶ谷キャンパス 第一&第二食堂
挑戦者:カリー・ホッター部長、ゲキカラ君、コバチェビッチ
学食十番勝負も6回目、後半戦に突入です。今回は2駅ほど電車に乗り、H大学を目指します。午前中に仕事先へ直行していたすーちゃんは欠場。代わりというわけではないのですが、カレー部最強の男が、学食初登場。そう、数々の伝説を打ち立ててきたゲキカラ君です。
コ:「なんだかH大もビル建てちゃって、らしくないというか、おもしろみがないですねえ。」
ゲ:「いや、そうは言ってもここは地下の名所・市ヶ谷だから。このボ○ソナード・タワーだって、地下でどっかと繋がってるはず。ほら、学食もB1だし。」
一般人には隠された東京の地下要塞・地下道ネットワークになみなみならぬ関心を持つゲキカラ君は鋭い視線を飛ばしますが、痕跡は発見できません(あたりまえか)。
ホ:「メニューもカレー一種類しかないよ。他の食堂も見てみよう。」
明るく清潔なボワ○ナード・タワーをスルーし、年季の入った建物へ向かいます。
ホ:「ここは58年館というぐらいだから、1958年に建てられたんだろうけど、ということはワシが生まれた年と一緒ということか。」
コ:「ボワソ○ード・タワーと違って味わい深いですよ。H大はこうじゃなきゃ。」
ゲ:「この学生ラウンジは、まるで、ヴェネツィアのサン・マルコ広場だね。って、行ったことないから、よく知らないんだけど。お、学食はやっぱり地下か。」
狭い階段を降りていくと、そこが第一食堂でした。お昼時に行ったので、学生さんでごったがえしています。
ホ:「今日は私がカツカレーにしてみようかな。ライスを盛る係、ルゥをかける係、と分担がはっきりしていて合理的にやっているね。」
コ:「じゃあ僕はノーマルカレーをLにしてみます。」
ゲ:「学食カレーに辛さを期待してもしょうがないから、ハヤシライスでしょう。これに、一味唐辛子を存分に振りかけるのが学食の愉しみだよね、やっぱ。あるいは、タバスコね。」
どこまで行っても、激辛な人です。おまけにハヤシにカレーコロッケをトッピングしています。
コ:「じゃがいもとにんじんは入ってるけど、肉、ないですね。」
ホ:「いや、小片があるよ。ビーフだね。カツは……ポークだ(驚)」
コ:「トンカツなのは当たり前のような気もしますが、これまで圧倒的にチキンが多かったですからね。」
ホ:「ハヤシはどう?」
ゲ:「それが、一味もタバスコもないんだよ。七味はカウンターにあるんだけど、あれはダメね。あの黒ゴマが。一味もタバスコも自由に振れないというのは、大きくポインドダウン。残念だね。」
コ:「それを理由に評価点を下げるのはゲキカラ君だけだと思いますが、とは言っても、このカレーもちょっと……。これまでもこの手のレトルトカレーみたいのって多かったけど、ボ○カレーを作ろうとしたら○ンカレー以下のものが出来たかのようで、カレーに対する志が感じられません。」
ホ:「嚥下したあとに口の中に香辛料の余韻が残るが、まあ、可もなく不可もなくという味だね。」
コ:「胡椒の効きが強くて、若干唐辛子も、って感じですね。」
ホ:「どうも大学生協のカレーは似たり寄ったりだな。細かい点での違いはあるけど、欧風カレーをベースに、できるだけコストを削減するもののカロリーは確保した学食の中での廉価メニューの定番という枠から外れることがない。制約はあるのだろうがそれでいいのだろうか?」
ゲ:「しいてハヤシの方の今回の収穫をあげると、タバスコを振らなかったがゆえに、トマトソースの酸味が微かながら感じられたことかな。というか、激辛好きの舌にも微細な味わいを感知できる能力がまだあるんだっていうことを、ここで強く主張しておきます。」
店内にはEdyのチャージャーなんかもあって、電子マネーで食事が出来たりもするのですが、先進性はカレーにこそ発揮してもらいたいものです。
さて食堂を出たところで、ゲキカラ君が女子学生からチラシをもらいました。なんと、第二食堂の案内。食堂の前で食堂のチラシとは、なんでそんな競争してるのか謎ですが、とりあえず部長よりも3つ年上な55年館にあるという第二食堂へ向かいます。
ここでは大食い担当のコバチェビッチのみがカレーを注文。
ゲ:「こっちはファミレスっぽいね。5~6人掛けのボックスシートがあって。あと、ロフト席もあったりして、「ぷちVIP気分」が味わえたりするのかな。」
コ:「カレーは……肉が大きいです。だからなんだという気もしますが。第一に比べると、確かにマイルドで、味的にはマシですね。とは言え五十歩百歩な上に、この使い捨て容器がわびしさを増長させております。」
ホ:「カレー=安いという固定観念を打破して、個性あるカレーメニューを提供する学食は現れないのだろうか。本格的なインドカレーやタイカレーが若き学徒たちの柔軟な感性を必ずや養うと確信しているのだが。」
ゲ&コ:「さすがは部長、きれいなまとめです!(拍手)」
●採点(満点は☆5つ)
量 ☆☆
味 ☆☆
サービス ☆☆☆
生協カレーに対し重大な提言をした、志高いカレー部でした。いやマジで、ちゃんとカレー作ってください。(2005/09/26)
S大学神田キャンパス 14階カフェテリア
挑戦者:カリー・ホッター部長、すーちゃん、ゲキカラ君、コバチェビッチ
いつまで続くんだろう、この企画……とやってる本人たちも思っている「学食カレー」ですが、もう7回目なんですね。ちょっとびっくりです。
今回は会社から徒歩圏内ということで、S大学の神田キャンパスをおじゃましてみました。もちろん決定に際しては、「もう更新日だよ~どうしよう」「テキトーに近場でお茶濁そうぜ」などという会話はなされておらず、いたってマジメにやっているカレー部です。
道すがらも、「会社の隣にできるカレー屋はどんなかね」とか、「この看板すごい!」とか、カレー研究に余念がありません。

さてS大に到着。
す:「なんか校歌かかってるよお。しかもシンポジウムに安倍○三だってー。ここイヤにゃー。」
手荒い歓迎を受け、それでなくても学食カレーへのモチベーションが低下気味な部員ですから(「仕事の中で一番苦しい」という者もあり)、士気が一層下がります。今回も期待できそうにありません。
とりあえず14階のカフェテリアまで上がろうと、年季の入ったエレベーターに乗り込むと、先客に女子学生が。
女子学生:「何階をご利用ですか?」
(一瞬の間)
コ:「じゅ、じゅうよんかいおねがいします!」
6階で降りていった女子学生さんを見送りながら、部員たちの萎えモードは一転、萌えモードに。
「すばらしい!」「しつけのいい子だ!」「M大(第一回参照)では考えられん!」
と誉めまくり。これでサービス☆☆☆☆☆は確定です。
ホ:「ここの学生は真面目だって言ってた先生もいたよ。」
そういえば部長は、カレー部の仕事の合間に、大学の先生に会ったりもするのです。
14階に上がってみると……
ゲ:「やけに天井が低いなあ。最近はやりのタワーマンションみたい、というか。ちょっと、閑散としてます……か?」
ホ:「こっちの校舎は法学部だけのためか、学生があまり多くないんじゃない。」
コ:「早速ですが、こちらが恒例のサンプルでございます。ここで食べられるのは、カレー、スパゲッティ、ピラフのみ、なんですね。」

ホ:「カレーは3種類、か。では、担当を決めよう。私はシーフードと香味野菜のカレーにしよう。」
ゲ:「僕はメンチカツカレーにするかな。」
コ:「では、残ったチキンカツで。ありがたくまたカツにさせてもらいます。すーちゃんはどうしますか?」
す:「ワシはみんなのを味見させてもらうわ。」
指示を受けててきぱきと仕事する部員たち。食券を購入してカウンターへ。
各カレーはサラダ+味噌汁が付いて360円とリーズナブルです。
コ:「お店の人は親切ですね。でもチキンカツは売り切れで、ゲキカラくんと同じメンチになってしまいました。」
ゲ:「いや同じとはいっても、メンチカツの上に切れ目を入れて、中にしみこむように、醤油をたっぷりかけさせていただきました。タバスコしかないので。あ、空になっちゃったよ!」
ホ:「椅子とテーブルが、食堂というより喫茶コーナー風だから、低くて食べにくいね。恥ずかしながら、ライスを床に少しこぼしてしまった。カレー自体は、しっかりと、イカ、アサリ、エビなどのシーフードが確認できるし、香味野菜もセロリ、ピーマンなどを刻んだものがトッピングされていて、工夫が見られるね。」
コ:「ちょっと一口もらってもいいですか……うん、冷凍シーフードミックスみたいな具だけど、ちゃんと出汁が出てて、立派なシーフードカレーですよ。」

ゲ:「何といってもこのてんこ盛りのライスにはおどろくね。直径10センチのドーム型のライスのうえにメンチカツがめり込んでるよ。」
す:「そのゲキカラ君のやつ、もらっていい? ……なんかこのカレー、やたら塩辛くない?」
ゲ:「醤油がライスの下に滞留してました。すみません、残さず食べるので許してください。」
コ:「今までの学食の中では、味は相当ましな方ですよ。ただ、このメンチに入っているのは、焼きそばでしょうか? まずいわけじゃないんだけど、メンチの具に焼きそばというのは初めてです。」
メンチだけでなく、この14階自体が不思議なスペースです。誰も見ていないテレビが付いていたり、電話の撤去された公衆電話ボックスが放置されていたり、大型の油絵(描かれているのは太腿露わなミニスカ女子)が飾られていたり。
でも、総じてカレーは好評でした。
ホ:「きちんとシーフードの味がしたし、香味野菜のトッピングもなかなかいいアクセントになっていた。360円という値段を考えたときに、かなりがんばっているといわざるをえないね。」
ゲ:「まんてんのカレーが好きな人なら、かなりポイント高いんじゃない?」
コ:「まんてんファンとして言わせてもらうと、カレーがもっとこってりしてて、唐辛子がセルフであってほしいですが。」
ゲ:「まあ、コスト・パフォーマンス的にもちょっと相当高いよ、これは。というか、ボンカレーをめざした学食カレーの、ひとつの完成型かと。次に来ることがあれば、もちろん、唐辛子持参だね。あ、ハバネロも、いいかもー。」
ホ:「あえて苦言を呈すれば、スパゲッティメニューにプッタネスカがあるのはすばらしいんだけど、「プッタネスカ」というのは「娼婦風」の意味だよ。学生向けのメニューとしては教育的配慮が……。」
す:「いーんじゃない。マジメな学生なんだし。」
●採点(満点は☆5つ)
量 ☆☆☆☆
味 ☆☆☆☆
サービス ☆☆☆☆☆
量が多かったので、恒例の食堂ハシゴはできませんでした。3人が満腹で帰ろうとすると、
す:「じゃ、ワシはここで……。」
と、ひとり会社とは反対方向に去っていくすーちゃん。どこ行ったんだろうと思ってたら、15分ほどすると、S大近くの有名蕎麦屋で舌鼓を打つ写メが送られてきたのでした。それはズルいです!(2005/10/12)
T医科歯科大学 湯島キャンパス食堂
挑戦者:カリー・ホッター部長、すーちゃん、コバチェビッチ
今回も近場です。御茶ノ水駅まん前のT医科歯科大です。
コ:「大学のサイト見て初めて知ったんだけど、医科歯科って国立なんですねー。」
ホ:「なにをバカなことを言ってるのだね、コバチェくん。そんなことは常識ですぞ。」
ゲ:「いやー、僕も知らなかった。」
す:「ワシ、知り合いいたのに知らなかった……。」
これを読んでくれてるみなさーん! T医科歯科大は、国立大ですよー!
すみません、バカなカレー部で……今は独立行政法人だから、なんでもいいんですってば。
コ:「ついでにネットで調べたマメ知識を披露するとですね、ここの正門は駅から手前の方(外堀通り側)じゃなくて、反対側(本郷通り側)なんですよ。」
ホ:「それは知らなかった。食堂もそっちの方みたいだし、正門から入ろう。」
T大へ行くのにバスに乗った聖橋から、T医科歯科大を望みます。雑多な駅前からこの橋を渡ると、緑の多い文教地区へと雰囲気が一変します。
ホ:「建物の壁面に大きなレリーフがあるね。ヒポクラテスの誓いとアテネの学堂ともう一つは近代医学の何か関係者の像らしい。」
す:「ホントに部長はなんでもよく知ってるね。」
コ:「ほいじゃ、この辺から入っちゃいましょうか。」
結局正門に回らずに途中の聖門からショートカット。
ホ:「意外に女子学生の姿が多いね。」
す:「白衣のおねえさんがたくさん。」
ホ:「歯科衛生士専門学校なんかが併設されているからかね。あー、ここは生協があるのか。」
コ:「H大(六回戦参照)のときに、生協カレーにダメ出ししたんですよね。迂闊にもまた生協カレー……。」
ホ:「1階で入口からすぐのところなので、入りやすいところはなかなかよいのでは。」
カレーの種類は、野菜たっぷりカレー(280円)、エビカツカレー(420円)の2種類です。野菜の方には、420円の「特盛」があります。

コ:「説明が書いてありますね。ご飯だけ大盛だとルーが足りなくなるって意見があったから、特盛はルーも1.5倍だって。僕みたいにうるさいこと言うヤツがいたんですね。」
ホ:「じゃあ、コバチェくんは特盛にしなさい。私はエビカツカレーにしようかな。エビカツというのは、学食巡りで初めてだよ。」
す:「ここはワシの好きな自販機だー。ここのは文字が見やすくて、キレイでとてもよいぞ。」
ホ:「店の人も自然で丁寧な対応だし、ただのカウンターだけど役割分担が明確でスムーズに料理が出てくるね。」
とその時カウンターで、
す:「このカレー、ライス抜きにしてください。」
注文を受けた店員さん、びっくりして厨房主任らしき人に相談しに行きます。カレー部員はすーちゃんがライス抜きで(もしくはライスを全て残して)カレーのみ食べるのに慣れていますが、ここの食堂ではそんな人は初めてだったのでしょう。
でも、見事に注文が通りました!

す:「しかもライスの分、100円バックしてくれた。誠実だ……(ジ~ン)。」
実験の合間にメシをささっと、といった風情の白衣のみなさんに囲まれての実食タイムです。
ホ:「野菜とエビカツのカレー、色が違うんじゃない? エビカツはデミグラスソース系なのかな?」
コ:「ちょっと味見させて……お、全然違いますよ。野菜は普通の和風カレーで、エビカツのは洋食風ですね。」
ホ:「もう少し香辛料をきかしてもいいかなあ。期待のエビカツは……小エビを何かのつなぎで混ぜてフライにしたものだね。それなりにエビの存在は感じたが、2枚だと飽きるかも。エビカツとカレーという組み合わせは、決してベストのカップリングとは言えないのではないかな。」

す:「ワシは七味をかけて、と。野菜たっぷりカレー、と銘打っているが、イモとニンジンのみでなく、ピーマンなど入れてもいいのでは。」
コ:「これだけ大きい野菜が入ってるのはめずらしいけど、ジャガイモ・ニンジン・タマネギって、フツウのカレーならフツウに入ってますからねえ。野菜たっぷりというよりは、フツウのカレーの肉少ない版、ってとこでしょうか。」
ホ:「値段も420円って、うーん、微妙なところ。」
す:「ワシのは190円だから安かったけど。」
ホ:「やはり医学系の学食なのであるから、カレーもやたらとカロリーばかり増加させるのではなく、ライスを五穀米にするとか健康により留意したメニューを創意工夫すべきではなかろうか。標準的な生協系カレーではあるが、大学の特色を鑑みてあえて苦言を呈しておきます。自身の能力と判断に従って、患者に利すると思う治療法を選択し、害と知る治療法を決して選択しない。」
コ:「なんですか部長、それ。」
ホ:「ヒポクラテスの誓いだよ! ホントに君たちはなんにも知らないねえ(嘆)。」
●採点(満点は☆5つ)
量 ☆☆
味 ☆☆☆
サービス ☆☆☆☆
このあと、別棟にあるグリルセインツを覗いてみると、入り口の黒板には本格洋食メニューがぎっしり!

す:「うまそう~。中の雰囲気も精養軒みたい。はじめからこっちにしておけばよかった。」
ホ:「だめです。学食十番勝負の趣旨と違うから。」
(2005/10/26)
東京郊外のS女子大学
挑戦者:すーちゃん
「あの、失礼ですが、学外の方ですか?」
わしは学食でカレーを食い、ほんの一歩、足を踏み出したばかりだった。
まずい。マークされてしまった。声をかけた人は、ものすごく訝しげにわしをにらんでいる。
わしは七色の頭髪をもつレインボーオトコ、派手派手ファッションに身を包むことをこよなく愛するオトコ、意味もないのに妖しいサングラスをかけることでその甘いマスクに<こわもて>のバイアスをかけ、生き馬の目を大事に保護しつつハードボイルドに身過ぎ世過ぎのオトコ一匹オオカミである。学内の安全を管理する職員の方々が、不審に思うのもむべなるかな。
ここは東京郊外、S女子大学のキャンパス内である。わしをこのような「女の園」に送り込むカレー部もカレー部だ。
その職員の方の誰何に「あ、あ、あ…」などとうろたえてしまった……のではないそんなことでは見過ぎ世過ぎはおぼつかない。インドの山奥で修行はしていないが、わしはアドリブ・その場とりつくろいの術にはいささか自信がないでもない。
こういうときは、ためらうことなく、即座に返答することが肝要だ。
「は~い、おつかれさまです、わたくし出版社に勤めるものでございましてっ、今日は2時に○○先生にお会いするために参りました~。たしか先ほど案内図を拝見してっ、本館に研究室がおありになるということだったのでっ、アノもしあのよろしければご案内いただきたいのですけれども(ニコッ)…」
そのように2オクターヴほど普段より高めにした声で身をクネクネさせながら名刺をさしだすと、職員の方はますます不信感をつのらせたご様子で、
「本館の…?」
「たしかこのあたりだと思って…たんですけれど何かちょっと迷ってしまったみたいで…」
職員の方は、「本館をめざしている人間がなんで学食から出て来るんだっ!」…ううむ、さぞそう詰問したげな表情をうかべている。
でへへへへ。 すいませ~ん、ホントはカレーを食いにきたんですう~。キャンパスの女の子に「ねえねえ、オレ何歳くらいに見える? ねえねえ、オレけっこうロックな外見だと思わない? いま、メンバー募集中なんだけど、キミのカレシ、ベースとか弾かないかなあ?」…とか、質問などはいたしません。確約します。
さて、職員の方は名刺を眉間にシワよせてためつすがめつお日様にかざしつつ、
「そうですか、…ではこちらへどうぞ」(シブシブ)
と、学食の階段を上りはじめた。わしはそのあとにつき従う。
いい天気だ、すっかり秋晴れだ。S女子大のキャンパスはミドリがきれいで、しかもちょっと紅葉してて、チャペルなどもあり、じつになごめる。とくに授業中は、女の子たちも講義室にいるので、気もソワソワとそぞろになることなく、快適な散歩を満喫…しようと思っていたのだが、思わぬ捕物帳になってしまった。

ああ、交通費400円も使って1時間あまりかけて、こんな目にあってしまうなんて… カレー部のメンバー一人一人の顔を思いうかべ、「ああ、あいつらならこんな顛末にはなるまい。わしの容貌が、職員の方の猜疑心をことさらに増幅させたにちがいない。美しく生まれつき、うるわしく着飾った者の宿命よのう…」
わしは散歩をあきらめて、職員の方につき従ってまっすぐ「本館」へ向かった。
さて、共同研究室。当然のことながら、女性ばっかり。言い忘れたが、わしを捕獲した職員の方は、男性である。最前よりは表情も言葉つきも柔和になられていたが、いや、おそらく、こやつドン詰まりでシッポを出すキツネさんだと、わしを値踏みしているに違いない。
「○○先生ですね、いま内線電話をかけさせますので」
そう言って、かたわらのデスクにいたカレンな女子職員の方に、「○○先生に連絡して。この人がアポイントとってるらしいから」
ふっふっふっ。さて、アポなしキツネと出るか、どう出るか。
女子:「あ、○○先生ですか、いま、白水社という会社の方がお見えですけれども…」
男子:「2時にお約束だということで、ちょっと早く着いてしまったと…」(散歩できなかったので、早着きしちゃったのよん)
女子:「2時に先生とお約束がおありとのことですが…少し早く着かれたそうで…」
男子:(名刺を女子にかざしながら)「このお名前の人ね」
女子:「S山様とおっしゃる…」
ふっふっふっ。丁と出るか、半と出るか、さあ、張った張った! よござんすか、よござんすか… 勝負!
女子:「あ、はい、承知しました…お伝えします(受話器を置いて)先生が、そちらのお部屋でお待ちください、と仰っています」
男子:「失礼いたしましたーーー!」
わし:「いえいえいえ。やはりこういうところですから、いたしかたありませんでしょう。」
わっーはっはっはっはっ。わしは隣室に通された。 「コーヒーか紅茶か日本茶、どういたしましょう」
「紅茶、いただけます?(わっーはっはっはっはっ)」
みなさん、女子大をおとずれる際は、アポなし突撃はご法度ですよん。ま、そういう顛末でした…。
は? カレーはどうだったかって? ま、ごくごく、フツーでございましたよ。(ぴろ~ん)

●そんなこんなで、今回は採点なしです。(2005/11/17)
C大学R工学部食堂
挑戦者:コバチェビッチ
うぉぉぉ、もう更新日過ぎてるじゃないか。前回が遅れたために押せ押せになってしまっているよ。
それにしたって、「ぶちょお~、明日の昼、上智か青学あたりどうですかあ」と声かけておいたのに、忙しいから一人で行ってこいだなんて、ひどいじゃないですか(泣) まるでヒトが忙しくないみたいな……。しかも今回は記念すべき十回戦目だというのに。もしやこの連載ってこれでオワリにしていいのかな?
とりあえずはこうなったら、恒例の「近場で手っ取り早く」作戦発動。でも、あらかた行っちゃってるんだよねえ、近場って。地図&学食系サイト(ってなんだよ?)を見ながら未訪問校を物色。後楽園あたりによさそうな学食があるぞ。丸ノ内線で二駅か……ホントは車だったら早いのにな……あ! 車あるじゃん!
じゃーん。初公開、これはゲキカラくんの愛車です! いつも会社の前に路駐してある。多分これがメインで、ガソリンで動くフランス車の方はセカンドカーなんだと思う。緑色のものには条件反射的に物欲を刺激されてしまう僕には、こっちのメインカー(こちらは英国車)こそが憧れだったりする。
「ゲキカラくん、昼休み車貸してくれない?」
「いいよ。」
やったー! ゲキカラくんから複雑に絡み合ったダイヤル錠の使用法を教えてもらう。
「……こんな簡単で盗まれませんか?」
「めんどくさいから。」
ものすごく単純な番号だった。

さあ出発。意味はないけど、腕時計のストップウォッチをスタート。自転車で走る晩秋の都心は気持ちよい。
黄色く色づいた銀杏並木の向こうに東京ドームを見ながら、文京シビックセンター方向へ。目指すはあれだな。本郷通りの坂道を一気に駆け上がる。
C大学に到着。タイムは……17分? ずいぶんかかってるけど、途中知り合いに出くわして立ち話してたせいかな。
食堂は、すぐに見つかった。こんなにでっかく書いてあれば誰にでもわかるわな。さらに高速道路のサービスエリアみたいに、フォーク印で食堂のマークが付いていて、なにもそこまでしなくても。

1時近くでピークを過ぎていたのか、がらんとしている広い食堂。サンプルがデパート最上階お好み食堂って感じ。カレーはノーマル270円をベースに、コロッケ、ハンバーグ、メンチカツ、トンカツを乗せることができる。僕の場合、当然カツカレー400円でしょう。さらに50円プラスで大盛の食券も購入。

ドーン! これがC大R工学部食堂のカツカレー大盛450円だ! 写真だとわかりづらいが(タバコ吸わないけど、今度からピースの箱持ち歩こう)、ものすごい量なので笑ってしまった。ライスが特大山盛りなだけでなく、ルーもなみなみとかけてくれている。
ちなみにこれが、前日に食べた神保町まんてんのカツカレー大盛。いわゆる「漢」な食べ物として、二郎神保町店のラーメンと野郎どもの熱い支持を二分する存在であるが、これに優るとも劣らないボリュームである。
では、いただきまーす。このカレー、量だけじゃなくて具材もすごいぞ。豚バラだけど、肉だらけだ。おや? なんと牛バラも入ってるよ! カツなんか乗せなくてもヘビーだ。このあたりも挽肉だらけなまんてんのカツカレーと十分勝負できる。タマネギとニンジンもいっぱい。味付けは中華屋のカレーっぽい。福神漬けじゃなくて紅生姜のが合ってただろうな。薬味はセルフなので、ちょっと躊躇したのだが。でもそれなりに食べられる。
食べながら周囲を見渡すと、さすがは理系学部、男ばっかだ。その男の子たちにしても、地味だ。もしかしてオレ馴染んじゃってる? しかし茶髪+髭ってオレしかいないな。こんなところに金髪すーちゃんを連れてこなくてよかった。S女子大以上に浮き上がって、職員に職質されていたかもしれない。
自分としては、こういうところの方が落ち着いてよい。だってM大とかH大とか、客筋荒れてるんだもん。以前、別仕事で大学まわってた頃から感じていたことだけど、キャンパスを歩いている人たちって、男も女も、学生なのか美容師なのかサッカー選手なのか風俗店従業員なのか、見た目から判断がつかないんだよなあ。
まじめそうな学生さんたちと、教室から漏れてくる酸味のきいた薬品の臭いに、たくさん食っておおきく育ってね、と願わずにはいられないのであった。
●採点(満点は☆5つ)
量 ☆☆☆☆☆
味 ☆☆☆☆
サービス ☆☆☆
帰り道のタイムは9分! 満腹で一生懸命チャリ漕いだら、さすがに気持ち悪かったです。(2005/12/02)
M大学 Cフェ・パンセ
挑戦者:カリー・ホッター部長、ゲキカラくん、コバチェビッチ
学食十番勝負の締めをどうするか、とカレー部内で長い長い議論をしているうちに、とうとう年末ぎりぎりになってしまいました。
コバチェビッチ:「最後くらい、高級学食にしてもいいんじゃないスかねえ……。」
カリー・ホッター部長:「そうだね。それじゃあ、君たちの労をねぎらう意味でも、第一回戦をやったM大の、上の方に行ってみようか。」
決して近場でお茶を濁したわけではありません。導入部と結末をシンメトリックに構成するアイデアを自画自賛しながら、意気揚々と出かける部長、ゲキカラくん、コバチェの3名(すーちゃんは欠席)。
勝手知ったるM大Lタワーのエレベーターを、17階学食は余裕でスルーして、23階のサロンSへ。さすがに庶民向け学食とは違うので、店員さんがお出迎えです。
部長:「3名なんですが。」
店員さん:「ただ今、満席でございます。」
ガーン。
これまで学食では座れないというのはあり得ませんでしたから、予想していなかった事態です。参ったな……年内に更新できないな……熟考すること暫し、
コバチェ:「とりあえず、もう1コの新しい方覗いてみませんか。」
ということで、お金持ちM大の新しい巨大建造物、ポンピドゥーセンターかと見まがう(って誉めすぎてみました)Aカデミーコモンへ。
部長:「外部向けの講座などもやっている校舎のせいで、学校というよりも一般の商業施設に近い印象だね。」
ゲキカラ:「ま、入っちゃいましょ。」
と、とっとと入っちゃうゲキカラくん。
Cフェ・パンセはアカデミーCモン1階にあります。こちらの方はすんなりと、窓際の3人用テーブルへと案内されました。アルバイトっぽいおねえさんが、制服萌えを誘います。
コバチェ:「お、カレーあるですよ。“マサラビーフカレー”一種類だけですが。みんなこれでいいですね。」
なんの異論を差し挟む余地なく、「マサラビーフカレーみっつお願いしまーす」。
と自然に書いてしまいましたが、やっぱセルフじゃないと学食ではないですよね……。おまけに、ドリンクまで付くのだそうです。
さて、最初に運ばれてきたのは、スープとサラダ。
ゲキカラ:「さすが高級学食は違う。」
部長:「サラダのこれは、里芋を揚げたのだね。」
ゲキカラ:「最初に芋が出てくるというのはちゃんと神保町ルールに則ってるな。」
コバチェ:「でもこれじゃTに持って帰れないよ。」
神保町ルールとは、カレーに別添えで茹でジャガイモが付いてくる、エチオピアやボンディで採用されているスタイルのこと。ゲキカラくんはエチオピアのジャガイモを自分では食べず(以前は低インシュリン・ダイエットと言ってた)、永遠の欠食児童・営業部のTに差し入れする、心優しい先輩です。
部長:「学生には見えない客がほとんどだね。ま、ちらほらと学生らしき人もいるけど。」
ゲキカラ:「M大カード呈示で20%オフって書いてあるよね。それにしても、かなり酒の種類は揃ってるね。昼だけじゃ客単価上がらないだろうし、夜の方がメインなのかも。」
いよいよカレーが運ばれてまいりました。
コバチェ:「マサラというからには、ちゃんとスパイス効いてるんでしょうね(疑)。うー、お上品な量だな。」
部長:「まあ、多少なりともスパイスの香りはするし、辛みもあるね。」
ゲキカラ:「学食カレーとしては最高レベルと言っていいんじゃないの。」
だから、学食カレーじゃないんですってば。 それにあなた、そう言ってるそばからドバドバとタバスコ入れて……。
部長:「牛肉片ははっきりと認識できるけど、かといって肉々しているほどには入っていないね。」
コバチェ:「んんん、ボクのはほとんど肉ないです。“マサラ”というのも“ビーフ”というのも中途半端だなあ。」
部長:「凡庸な味だけど、カレー専門店ではないのでこれが限界でしょう。」
850円というお値段も、ドリンク付きということと、「学食ではない」ということを考えると妥当なところなのかもしれません。
それにしてもゲキカラくんはおかしいです。他の二人は素直にコーヒーにしたのですが、なぜか野菜ジュース。こんな色ですがタバスコは入れてませんでした、念のため。
というか、この手の食後ドリンクになぜ「野菜ジュース」があるのでしょうか。カフェ・Pンセ、謎です。
しかももっと不思議なことには、なにやらグッズの販売もしています。

ゲキカラ:「このTシャツの“アイアン”ってなんだろ?」
部長:「それって、“アイアン・メイデン”のことじゃない? ここは博物館があって、拷問道具展示してあるから。」
そんなわけで、食後に地下の博物館(入場無料!)に立ち寄ることにしました。しかし、江戸時代の拷問の責め具やギロチン、そして、処刑道具なのにキャラクター化されている“鉄の処女=アイアン・メイデン”などインパクトありすぎ。
コバチェ:「マジで怖いよこれ……。普通、こんなのTシャツにしませんよね。」
ゲキカラ:「でも、このシャツなかなかいいよ。安いし。」
と言って、さっさとTシャツお買い上げのゲキカラくん……。
部長:「君との付き合い長いから、きっと君のことだから買うと思ったよ。」
M大を必要以上に堪能させていただいたのでした。
●採点(満点は☆5つ)
量 ☆
味 ☆☆☆☆
サービス ☆☆☆☆
最後に、「学食カレー十番勝負」の締めくくりにあたって、部長からコメントが寄せられています。
「学食においては、“おいしいカレーが食べたい”というカレー部員の欲求には応える ことができなかった。カレー部活動としては、モチベーションの維持がたいへんに困難であった。今後の活動予定はまだ白紙状態。」
過酷な勝負を経て、一回り大きくなった(ウエストが?)カレー部。新たな展開にご期待ください。いや、どうせバカなことしかやりませんけど。
(学食カレー十番勝負・完)(2005/12/29)
《カレー部》
【語学書編集部/カリー・ホッター部長】
【語学書編集部/すーちゃん】
【宣伝部/コバチェビッチ】


