白水社 白水社
書籍の検索 →詳細検索はこちら
 
教科書検索はこちらから買い物カゴを開く
白水社 白水社 白水社
■ トップページ
■ 耳より情報 ■ 新刊情報 ■ おすすめ本 ■ 全集・シリーズ ■ 白水Uブックス ■ 文庫クセジュ ■ 語学書 ■ 雑誌『ふらんす』
■ 岸田國士戯曲賞 ■ パブリッシャーズ・レビュー ■ クラブ白水社 ■ メルマガ「月刊白水社」 ■ 教科書見本 ■ 連載・エッセイ ■ 書店様向けページ
ゼーバルト・コレクション(全6冊)
W・G・ゼーバルト著 鈴木仁子個人訳

「20世紀が遺した最後の偉大な作家」の全主要作品を、鈴木仁子個人訳、豪華な解説執筆陣で贈る!

 将来のノーベル文学賞候補と目されながら、交通事故で急逝したドイツ出身の作家W・G・ゼーバルト。「凝視した先に見えてくる闇の深さ」を語りつづけた作家の、散文・エッセイ・評論を網羅した、待望の集成。豪華な執筆陣による解説付き。

【好評発売中】

移民たち 四つの長い物語
四六判 260頁 定価2310円(本体2200円)
 異郷に暮らす根無し草で、過去の記憶に苛まれる四人の男たち……医師、教師、大叔父、画家、それぞれの人生を辿る。蝶を追う「ナボコフ」に導かれ、朽ちかけた建物、黄昏れたホテルを巡る旅路の果てには? 哀切を込めて語られる四人の生と死。堀江敏幸・解説

目眩まし
四六判 224頁 定価2310円(本体2200円)
 スタンダールの旅、カフカの旅、〈私〉の旅……時を超えて重なり合う旅のどこにも永遠の漂泊者「狩人グラフス」が影を落とす。姿を変えて暗示的に反復されるイメージ、歴史上のさまざまな人物の幻影……目眩く惑乱が襲う、謎めいた四つの物語。池内紀・解説

土星の環
 イギリス南部を旅する〈私〉が目にした、何世紀にもわたる破壊の爪痕……災厄、戦場、虐殺の記憶がたぐり寄せる連想。コンラッドら文人たち、誰も振り返らない往古の出来事、打ち棄てられた廃墟が、禍々しくかつグロテスクに現出する。 柴田元幸・解説

空襲と文学
 第二次大戦で都市が壊滅、多数の死者を出したドイツ。戦後、文学はこの惨禍にどう向き合ったのか? ノサック、ヴァイス、アメリーら作家の苦悩とその作品を分析し、ゼーバルトの創作姿勢も示唆する。普遍的な意義をもつ、秀逸な文学論。 細見和之・解説

カンポ・サント
 遺稿となった表題作、「アジャクシオ探訪」など四編の散文作品。ハントケ論、グラス論、ヒルデスハイマー論ほか、ナボコフ、カフカ、チャトウィンら、作家が愛した文人についてのエッセイを収録。歴史意識と文学への姿勢が明確なアンソロジー。 池澤夏樹・解説


【続刊】

『アウステルリッツ』(改訳)
 衝動に駆られるまま、抑圧してきた過去を取り戻すべく、ヨーロッパの諸都市を訪ねるアウステルリッツ。幼い自分が移送された軌跡を辿りなおし、そこで幻視したものは?  数々の文学賞に輝き、世界中で大絶賛された、作家の遺作を全面改訳。

闇の深さ  池内 紀

 ゼーバルトは匂いがする。読み出すと、すぐに気がつく。先の予告のような、一種いいがたい匂い。何か古い記憶につながる遠い香りのようなもの。

 おおかたが語り手と聞き手のあいだで進行する。語り手は多少とも変わり者。世のハミ出し者。二人のうしろに作者、あるいは作者の分身がいる。その間のなんとも微妙な、意識と無意識のあいだで宙吊りにされたような状態の物語だ。

 たぶんゼーバルトが語りたかったことは、もともと語ることのできないものだろう。言葉をこえて、ただじっと佇み、見つめている。凝視した先に見えてくる闇の深さ。孤独な対話を詫びるかのように、作者は古い絵や銅版の切れはしをたのしくまじりこませた。

 私にはどうもそんな気がするのだが、どこかでゼーバルトと出会ったことがある。つづいて彼は大股で歩き出した。遠ざかるほど、うしろ姿が伸びはじめ、やがて向かいのビルを首一つ抜けるほど大きくなった。

(いけうち おさむ ドイツ文学者・エッセイスト)

↑ページのトップへ