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土星の環
W・G・ゼーバルト 著/鈴木 仁子 訳
土星の環
 イギリス行脚
 [シリーズ:ゼーバルト・コレクション 全6冊]


税込価格 2625円 (本体価格2500円)
ISBN 978-4-560-02731-8

『アウステルリッツ』と並ぶ、作家の真骨頂
ジャンル 文学/小説
体裁 四六判 上製 290頁
刊行年月 2007-07
内容 <私>はイギリス南部を旅している。何世紀にもわたる破壊の爪痕の記憶が脳裡を去らない。帝国主義がもたらした災厄と文学への旅……消え去った時空間がここに現出する。解説=柴田元幸

シリーズ一覧

作家の真骨頂
 〈私〉はイギリス南東部を徒歩で旅し、過去何世紀にもわたる様々な破壊の跡を目にした。海辺で、資料館で、〈私〉の連想は、帝国主義時代のオランダの過去、ワーテルローの戦場跡を訪れた記憶、バルカン半島における虐殺の歴史、アフリカ大陸でのベルギーの搾取や略奪などへと続いていく。
 〈私〉は旅先で多くの人びとと出会い、過去の様々な人びとを想起し、その生涯を辿る。コンゴで植民地主義の狂気を目の当たりにし、『闇の奥』を書いたコンラッド、「理想の国民」たる蚕を偏愛した西太后、フランス革命前後の激動をくぐり抜け、回想録『墓のかなたから』を書いたシャトーブリアン……。
 最後に〈私〉は、中国からヨーロッパにもたらされ、各国で国家事業として育成された養蚕に思いをはせる。養蚕を国家意識高揚に結びつける企図は、百年後ナチによっても鼓舞されていた……。
 思索や連想の糸がたぐられ、ヨーロッパ帝国主義による破壊と自然がもたらした災厄、古今の文人たちの生涯を辿っていく。誰も振り返らない往古の出来事、忘れられた廃墟が、時空を超えて呼び戻される。境界がなく、脱線と反復を真骨頂とする、ゼーバルト独自の世界。

プロフィール: W・G(ヴィンフリート・ゲオルク)・ゼーバルト W.G.(Winfried Georg) SEBALD
1944年、ドイツ・アルゴイ地方ヴェルタッハ生まれ。フライブルク大学、マンチェスター大学などでドイツ文学を修めた後、各地で教鞭をとった。やがてイギリスを定住の地とし、70年にイースト・アングリア大学の講師、88年にドイツ近現代文学の教授となった。散文作品『目眩まし』(90年)、『移民たち 四つの長い物語』(92年)、『土星の環』(95年)を発表し、ベルリン文学賞、ハイネ賞など数多くの賞に輝いた。遺作となった散文作品『アウステルリッツ』(01年)も、全米批評家協会賞、ブレーメン文学賞を受賞し、将来のノーベル文学賞候補と目された。2001年、住まいのあるイギリス・ノリッジで自動車事故に遭い、他界した。ほかに、文学評論『空襲と文学』(99年)、散文・評論・エッセイ『カンポ・サント』(03年)が編まれた。

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