内容説明
ルネサンス文学の全貌を伝える
本集はルネサンスのエクリチュールの豊饒にして広大な地平を俯瞰し、その全貌を伝えるもの。第1巻は、思想・宗教・科学・芸術に関する作品を収め、知的・宗教的位相を浮彫りにする。
[内容詳細]
日本では渡辺一夫、関根秀雄といった碩学の出現によってフランス・ルネサンスの文学は一定の知名度を獲得している。しかしながら、一般の読者にとって、モンテーニュ、ラブレーという二大作家以外の作品に接する機会はきわめて限られているというのが現状である。
この時代、まだ近代的な意味での「文学」は存在していない。狭義の意味での文学が出現したのは、18世紀であって、ルネサンスの時代にあっては、文学はもっと太い幹をなしていた。それは狭義の文学のみならず、歴史・哲学・地理学、さらには医学や数学までも含んでいた。レオナルド・ダ・ヴィンチをイメージすればいいだろう。つまりは様々な人間が、様々な事柄・主題について、自由奔放に書きつづっていたというのが現実ではないだろうか。
そこで本集では、狭義の「文学」に閉じこもることなく、ルネサンスのエクリチュールの豊饒にして広大な地平を俯瞰し、その全貌をうかがい知ることができるような作品構成を心がけた。
第1巻には、思想・宗教・科学・芸術に関する作品を収め、フランス・ルネサンスの知的・宗教的位相を浮き彫りにしている。
編訳者:伊藤 進(いとう すすむ)
1949年生まれ。名古屋大学大学院修士課程修了。中京大学国際教養学部教授。主要著訳書:『怪物のルネサンス』(河出書房新社)、『森と悪魔―中世・ルネサンスの闇の系譜学』(岩波書店)、『ノストラダムス 予言集』(共訳、岩波書店)、Y. ベランジェ『プレイヤード派の詩人たち』(共訳、白水社)など。
編訳者:平野 隆文(ひらの たかふみ)
1961年生まれ。パリ第10 大学博士前期課程修了(D.E.A.)。東京大学大学院博士課程修了(文学博士)。主要著訳書:『魔女の法廷―ルネサンス・デモノロジーへの誘い』(岩波書店)、M.-A. スクリーチ『ラブレー 笑いと叡智のルネサンス』(白水社)、G. ミノワ『悪魔の文化誌』(白水社)、M. パストゥロー『熊の歴史』(筑摩書房)など。
編訳者:宮下 志朗(みやした しろう)
1947年生まれ。東京大学大学院修士課程修了。放送大学教授、東京大学名誉教授。主要著訳書:『本の都市リヨン』(晶文社)、『読書の首都パリ』(みすず書房)、『神をも騙す』(岩波書店)、ラブレー《ガルガンチュアとパンタグリュエル》全5 巻(ちくま文庫)、モンテーニュ『エセー抄』(みすず書房)、同『エセー』全7 巻(白水社、刊行中)など。
訳者:江口 修(えぐち おさむ)
1950年生まれ。東北大学大学院博士課程単位修得修了。小罇商科大学特任教授。主要訳書:M. ヤグェーロ『言語の夢想者』(共訳、工作舎)、C. ベーネ/ G. ドゥルーズ『重合』(法政大学出版局)、T. トドロフ『われわれと他者』(共訳、同上)、J. ドリュモー『罪と恐れ』(共訳、新評論)など。
訳者:小島 久和(こじま ひさかず)
1959年生まれ。トゥール大学博士前期課程修了(D.E.A.)。明治大学大学院博士後期課程退学。明治大学文学部教授。主要訳書:A. シャステル『ルネサンスの危機』(平凡社)など。
訳者:菅波 和子(すがなみ かずこ)
1943年生まれ。東京大学大学院博士課程中退。元日本大学国際関係学部教授。主要著訳書:『世界文学辞典』(共同執筆、集英社)、『レオポルド= セダール・サンゴール詩集』(共訳、日本セネガル友好協会刊)、M. ラザール『リヨンのルイーズ・ラベ―謎と情熱の生涯』(水声社)など。
訳者:高橋 薫(たかはし かおる)
1950年生まれ、筑波大学大学院博士課程単位修得修了。中央大学法学部教授。主要著訳書:『言葉の現場へ フランス16 世紀における知の中層』(中央大学出版会)、『歴史の可能性に向けて フランス宗教戦争期における歴史記述の問題』(水声社)、『〈フランス〉の誕生 16 世紀における心性のありかた』(水声社)、L. フェーヴル『ラブレーの宗教 16 世紀における不信仰の問題』(法政大学出版局)など。
訳者:二宮 敬(にのみや たかし)
1928年―2002年。東京大学文学部卒。東京大学名誉教授。主要著訳書:『人類の知的遺産23 エラスムス』(講談社)、『フランス・ルネサンスの世界』(筑摩書房)、メリメ『シャルル九世年代記』(中央公論社、新集世界の文学13)、L. フェーヴル『フランス・ルネサンスの文明』(ちくま学芸文庫)など。
*データは刊行時のものです