内容説明
人間として生きてゆくこと自体に始めから含まれている矛盾と不条理。生きることの苦悩に極限まで対決しつづけたキルケゴールの思想が、余すところなく吐露された二つの名著を収録。
ここでキルケゴールが言う「絶望」は、人間として生きてゆくこと自体にはじめから含まれている矛盾と不条理のことである(こんな言い方が大袈裟だと思う人、少しは不満もあるけれど自分の人生は結構楽しく過ぎてゆくと信じて安閑としていられる人は、絶望という病にかかっていないのではなく、そのことに気づいていないだけなのである)。(池澤