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連載・エッセイ

第6回 ―2003.05.11

 うわっ、高いなあ、どうしようかなと5分くらい悩んだあげく、結局買ってしまった。復刻版「それいゆ」(国書刊行会)。ご存じ、敗戦直後に中原淳一が創刊したファッション雑誌だ。6号分に新編集の別冊1巻がついて28000円。ちなみに「それいゆ」の当時の定価は180円。悩むでしょう、やはり。

 とはいえ1冊丸ごと手元にあると、細部までじっくり読めるのが嬉しい。たとえば女性誌の必須科目、恋愛指南。これがすごい。

 「日本文学にみる“愛の告白”」と題し、『潮騒』『武蔵野夫人』『斜陽』『白痴』等(思えばこれらは当時の同時代文学だったのだ)の告白シーンを荒正人が得々と紹介していたりする(54年秋号)。「歌舞伎 らぶ・ろまんす」と称し、寺川知男がお七吉三、お染久松、お夏清十郎等の恋模様を解説していたりもする(55年春号)。

 飯島正のメロドラマ論(54年秋号)など、いまなら「ユリイカ」にでも載りそうなレベル。〈メロドラマは、ある意味では「社会劇」に近いものになります。(略)しかし、せんだって大映でつくられた『金色夜叉』が、社会劇であったかどうかは、いたって疑問ですし、『君の名は』を一般の観客がそのつもりで見たかどうかもあやしいものです〉。そしていわく〈じり貧的メロドラマは、ボイコットをしたいものです〉。

 文芸・映画・演劇への関心が異常に高く、恋愛は学べなくても教養人にはなれそうだ。吉屋信子や中原淳一に再びスポットライトが当たる昨今。レトロ趣味や少女趣味(メロドラマ?)では片づかない何かがあるのか。

 しかし、これって『太陽の季節』の時代の雑誌なんだよな。偏差値高し。ちょっとだけショック。


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