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連載・エッセイ

2002年11月 ―2003.11.01

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11月1日(金)
 夜、所用ありて実家に行き、母から奇妙な食品を大量にもらう。「オリーブの砂糖漬け」、「洋梨ジンジャー・ジャム」、筒に入っているのを押し出して糸で切る式の羊羹、「塩爺」という名前の塩。

11月2日(土)
 永遠の呪いあれ、多摩川に住んでいるからタマちゃん、というそのIQゼロのネーミング・センスに。

11月3日(日)
 夜、シネマライズで『まぼろし』。シャーロット・ランプリングが美。
 『ゾラのすべて』という本を『ヅラのすべて』と誤読する人あり。

11月6日(水)
 痛恨の燃えないゴミ出し忘れ。一週間をゴミと共に暮らす運命〔さだめ〕。

11月8日(金)
 夜、下北沢で女ばかり10人の会。S山がジョン・デンバーの弾き語りの真似をしてみせるのだが(〝さんしゃーい、おん・ま・しょるだー、めいくすみ・はぴー〟)、それが少しもジョン・デンバーに似ておらずむしろ長崎の「平和の像」に似ていたため、全員即死。

11月11日(月)
 夜、「華園」で飯。砂肝ピリカラ腸詰め海老の子真菰筍カキ豆鼓炒めカキのお粥仙草ゼリー。

11月12日(火)
 鈴木宗男の秘書の名前を二日がかりで思い出す。ムルアカ。

11月13日(水)
 昼、赤坂見附で「第二回しゃべり場ランチ」開催。コスプレ会の提案。全員の硬直。なぜだ。楽しい提案をしたつもりなのに。Sノが最強うがい薬「アストリン・ゴゾール」を布教。

11月15日(金)
 使っているワープロが「栗と栗鼠」などという変換をするので、調教と称していろいろな言葉を覚えさせる。

11月16日(土)
 最寄り駅にてH社Hさんと打ち合わせ。魂の脱け殻。

11月17日(日)
 夕、突然妹来。車で通りかかってトイレを借りに来たのだった。

11月18日(月)
 あとがきで呻吟。
 コスプレの会が深刻化。メンバーから次々と「何に扮すればいいのかわからず発狂寸前です」「ベルリンで自分を見つめなおしてきます」「北の海を見にいってきます」「ぎゃあああ」などの切羽詰まったメールが届く。Sノいわく原因は「ふだんはぐったりして覇気のない岸本さんが、この件になると異様に目を輝かせて積極的になるので怖くなったから」。

11月19日(火)
 ゲラ襲来。明日の芝居、あさっての映画すべて放擲。
 ひさしぶりに「マイキー」を観る。マイキーのパパは大学時代「ふんどし部」だった。「ふんふんどしどし、ふんどしどし」という部歌が耳にこびりついて取れなくなる。

11月22日(金)
 昼、E誌O田M、S誌Y口Aみとランチ。Aみが前いた会社で、一日中席に座って何もせずただげっぷをしているだけのおじさんが年間3000万円も給料をもらっていた話。
 A座上さんより電話。うしろでK君が号泣している。ウルトラマンなんとかが死んだらしい。

11月23日(土)
 S社S木Rさん宅で炭火焼きとワインの会。A紙SさんライターUさん作家Hさん。ラムその他すべて美味。遅れて元奴隷T氏、粉まみれでやってきて自作生パスタ。押入れのふとんの間からワインが出てきたり、気がついたらみんなで30年前の「JOTOMO」や「少女コミック」に読みふけっていたり、『僕は泣いちっち』を聴いていたり、元ちとせのデビュー前の映像を観ていたり。深夜、所持金1000円の元奴隷に家まで送らせストリートに放り出す鬼畜の自分。

11月24日(日)
 某サイトによる今週の魚座の運勢。「全ての良いことには終わりがあります……悪いことも同様です。でも、悪いことが起こっているように見えても、その実は良いことが終わりを告げているだけに過ぎないかもしれません! 良いことが終わろうとしている時は、それを無理に阻止しないに限ります。そうしたら良いことが悪いことにすり替わる恐れはありません。」
 で、結局どうなのだ。

11月25日(月)
 H社にて校了。解放感から、お約束の新宿伊勢丹死の彷徨。コート買いたしと思へどもコート見つからずかわりにスカートお取り置き。駄目なセレンディピティ。

11月26日(火)
 性懲りもなく夕方から伊勢丹、コート問題に決着をつける。
 二日連続伊勢丹に行くと目の下にクマができると知れ。

11月27日(水)
 夜、謎のタイ料理屋Rにて10人の会分科会。S社にいる変な人々の話、「初体験の相手が山羊」「中国で人を殺した疑惑」「五十歳で孫もいるのに超ミニスカ」「会社のトイレでシンナー」「『だいたいやなあ』と人に指を突きつけて説教をする、その指の形からついた仇名が〝フレミング〟」等々。
 帰りの電車が事故で遅れ、ムンク混み。

11月28日(木)
 「癒し系」の反対語は何か、このあいだからずっと考えている。たぶんそれが自分だから。

11月29日(金)
 K社SさんH社SさんKさん夢の競演による早稲田「しのぶ」にての飲み会。その後新宿に移動。ハードディスク破壊につき記憶なし。

11月30日(土)
 勉強会の後、「へたれ追っかけ隊」の面々とともにリキッドルームにてミラヤン・ライヴ。床がゆわんゆわん揺れて恐怖。堪能。

11月31日(日)
 私だけか? 『キル・ビル』を楽しめなかったのは。ああしかし、これは一年後に書くべきこと。

U1087 気になる部分
U1087 気になる部分

岸本佐知子著
税込価格966円 (本体価格920円)

 眠れぬ夜の「ひとり尻取り」、満員電車のキテレツさんたち、屈辱の幼稚園時代──ヘンでせつない日常を強烈なユーモアで綴る、名翻訳家の衝撃のエッセイ集。ボーナストラック収録。

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