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連載・エッセイ

第22回 ―2006.01.11

 受験の国語は未知の作家や評論家と出会うキッカケのひとつ。石原千秋『大学受験のための小説講義』や『評論入門のための高校入試国語』が成立する所以である。

 だがしかし、あまりにそれが露骨だと複雑な気分になる。大手学習塾・日能研が出している非売品の『日能研推薦ブックガイド1400』に、いわゆる過去問に調査したリストが載っていた。

 ちなみに2003〜2005年の「中学入試でよく出題された作品」は、森絵都『永遠の出口』、池田晶子『14歳からの哲学』、重松清『半パン・デイズ』が同率1位で15校。手塚治虫『ガラスの地球を救え』、あさのあつこ『バッテリー』が同率4位で12校。作家別では、1位が重松清55件、2位が日高敏隆 30件、3位は森絵都28件、4位は阿部夏丸24件、5位が養老孟司21件であった。

 適度に新しく、適度に教育的な「良書」によく目配りしているじゃないのという印象。入試は学校のある意味「顔」であるから、あまり変な作品は選ばれないのである。

 にもかかわらず微妙にシャクにさわるのは読書のためにある本が「傾向と対策」に取り込まれることへの抵抗があるせいか。昔はさ、受験に強い子と本を読む子は別だったのよ。別だから救われたのよ。本は、だって勉強から逃避する手段だったんだから。

 などとグチったところで、お受験ママの耳には届くまい。中学入試は親子で取り組む大事業。以前だったら「本なんか読んでいないで勉強しなさい!」と怒鳴ったかもしれない親が、率先して塾の指導で(!)お子様方に本を読ませる。

 読書の「民営化」「ネオリベ化」という言葉を唐突に思いつくが、そんなことをいっても誰にも意味は通じないだろう。


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