白水社 白水社
書籍の検索 →詳細検索はこちら
 

教科書検索はこちらから買い物カゴを開く
白水社 白水社 白水社
トップページ
耳より情報 新刊情報 おすすめ本 全集・シリーズ 白水Uブックス 文庫クセジュ 語学書 雑誌『ふらんす』
岸田國士戯曲賞 出版ダイジェスト クラブ白水社 メルマガ「月刊白水社」 教科書見本 連載・エッセイ 書店様向けページ
連載・エッセイ

第4回:アラビア語 ―2006.02.09

アラビア語のすすめ
本田孝一

 テレビのチャンネルを何気なくNHK衛星放送に合わせた。すると突然アラビア文字のテロップが右から左へ流れ、アラビア語放送が飛び込んできた。カタールの衛星放送「アル・ジャズィーラ」だ。男性のアナウンサーの太い声が小気味よい。いまやアル・ジャズィーラは、世界の動向を知るにはイギリスのBBCやアメリカのCNNに並んで不可欠だ。アナウンサーが話しているのは、アラビア語の標準語である。それをアラビア語で「フスハー」という。フスハーはアラブ諸国 22 カ国の共通の言葉である。国のあいだでの違いは全くない。イラク人でもサウジ人でもモロッコ人でも何ら違いを感じずにフスハーを読み、書き、話すことができる。

 アラビア語を学んで「アル・ジャズィーラ」を日本語の吹き替えなしで見ることができるようになったらどんなにすばらしいだろう。

 さらにアラビア語はアラブ諸国の国語であるばかりでなく、世界中のイスラム教徒の共通語でもある。イスラム教の聖典『コーラン』がアラビア語で書かれており、イスラム教徒はアラビア語を学び、原則的にアラビア語のまま『コーラン』を読まねばならないからである。アラビア語を知ると、今まで遠くに感じていた中東の国々やイスラムの国々の人々のことが近くに感じられ、さらに自分自身の世界が広がっていくことを実感するだろう。

■  ■  ■

 アラビア語は難しいとよく言われるが、そんなことはない。どの言葉でも難しい部分とやさしい部分とがある。アラビア語の文字はとっつきにくいのは確かだ。しかし1時間もテキストで勉強すれば、アラビア文字がどのような形をもち、どうやって文字同士が結ばれ、また右から左へと書かれていくのかがわかる。あとは慣れだけだ。「アル・ジャズィーラ」の画面のアラビア語が1語でも読めたらすごくうれしいだろう。

 次に自分の名前をアラビア文字で書いてみたらもっとおもしろい。実はアラビア語の母音はアとイとウの3つしかない。したがって日本語の音を忠実にアラビア文字で表すことが難しい部分もあるが、挑戦してみてほしい。例えば、私の苗字「本田」は「フンダ」としか書き表せない。

 書けたらそれをコンピュータで打ち出してみよう。現在、多くのコンピュータではアラビア語入力が可能になった。10年前には夢みたいな話である。自分の名前がアラビア文字で画面上に出てくるのを見るときの感激を味わってほしい。

■  ■  ■

 さて、アラビア語を本格的に勉強されたい方へどうすればアラビア語を効率よく勉強できるかということを少しアドバイスしたい。

 まずアラビア語を勉強し始めて感じることは、語彙の多さだと思う。似たような形の単語が次々と出てきてそのあまりの多さ、複雑さに参ってしまうのである。しかしそれこそがアラビア語の特徴なのである。アラビア語は言語学的にはセム語に属し、セム語には他にヘブライ語やエチオピア語があげられる。セム語の特徴としては、語彙がある元になる動詞(これを「語根」という)から一定のパターンで派生的にいくつも作られるということである。例えば、「書く」を表すアラビア語はラテン文字では“kataba”となり、これは k / t / b という語根からできている。この k / t /b をもとにして、「書く」に関連する語彙(例えば、「書く人」=作家:kātib,「書く場所」=机:maktab、「書かれたもの」=本:kitābなど)が自動的に作られていく。さらには、k / t / b を一定のパターンにすることで、kātaba「文通する」などの「書く」に関連する動詞もできてしまうのである。

 初学者にはそのしくみがわからず、ただ語彙の豊富さに参ってしまう。したがってアラビア語の語彙については学習のはじめの段階で、その有機的なつながりを理解しておかなければならない。それさえ掴んでおけば、たとえ意味のわからない単語に出くわしても、その語根が何かということさえわかればおおよその意味は類推がつくのである。アラビア語の学習はどれだけ多くの語彙のパターンを知るかということにつきる。それがわかると「虫の這ったような跡」のようにしか見えなかったあのアラビア語が、意味をもつ文章として眼前に現われてくるのである。









アラビア語の入門




アラビア語の入門





本田孝一著

税込価格2,940円
(本体価格2,800円)



  会話と文法が交互に学べる画期的なアラビア語の入門書。文法事項は基礎的なものにしぼり、例文をふんだんに用いて学習者の理解を深めます。全スキット・全例文にカナルビ付き。 【CD付・新装版】


連載・エッセイ


細見和之「戦後」の思想
- 第5回 カント『永遠平和のために』その4(2/2) [2009.07.28]

細見和之「戦後」の思想
- 第5回 カント『永遠平和のために』その4(1/2) [2009.07.28]




↑ページのトップへ