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連載・エッセイ

第5回:中国語 ―2006.02.09

中国語はスリム!
榎本英雄

 中国語を目指そうとしている皆さん、ようこそ!
 皆さんは中国語にどんなイメージをお持ちですか?文字は漢字だし、あまりおしゃれな雰囲気じゃないな、なんて思ってはいませんか?
 でも、中国語のことばの響きは、フランス語にも負けないくらい美しいし、ことばの仕組みがスリムでスマートなのです。そんな特徴の一端をご紹介しましょう。いきなり中国語を並べますが、漢字なので見当をつけながらご覧ください。

 外国語と言えば動詞の人称変化や代名詞の格変化など、語形変化はつきものです。日本語にも動詞の活用や格を表す助詞などがあります。しかし中国語には語形変化や格助詞などがまったくありません。ですから、「私」は中国語で“我”ですが、「私は」「私の」「私に」「私を」などは、“我看”「私は見る」、“我朋友”「私の友人」、“给我”「私にください」、“看我”「私を見て」のように、それぞれの格は語順や並べる語の機能などによって示され、“我”そのものは何も変わりません。
 また例えば、「昨日家にいた。」「明日家にいる。」は、それぞれ“昨天在家。”“明天在家。”と言い、動詞はどちらも同じ“在”「(~に)いる」で、過去形も未来形もありません。

 こんなこともあります。「私はあなたに見せてあげます。」と「私はあなた(の為)に見てあげます。」、この2つの文の表す意味は大きく違いますが、中国語はどちらも同じ“我给你看。”です。ここまでくるとかなり驚きますよね。「中国語って、そんなに大雑把で大丈夫なの?」思わず不安になってきます。でも心配ご無用、これこそが中国語の特徴なのです。
 ことばには必ず話しの「場」や前後の「文脈」があり、それらがことばの意味を支え伝達しています。この場合、“给” は「~に~させてあげる/~してあげる」という受益者を導く前置詞なのですが、「見せてあげる」のか、「見てあげる」のかは、このことばが出た話しの場がすでに明らかにしています。また、「家にいる/いた」の“在家”にしても、昨日のことが話題なら、その動作は過去のものに決まっています。動詞に過去形がなくても何も問題は起こらないのです。

 ことばが通じるのは、対話する両者に同じ「場」が共有されているからですが、中国語は「場」がすでに示している時制などの情報を、さらに文法形式でなぞることはしないのです。「場」を重視する中国語にとって、それらの文法形式は「ぜい肉」みたいなものですね。中国語は「ぜい肉」が付いていないからスリム、だからスマートだ、という冒頭の話になるわけです。

 さて、スタートはやはり発音です。中でも最大のポイントはアクセントの習得です。中国語のアクセントは音の上げ下げで、音節(漢字1字の発音)ごとにそれぞれトーンがついています。ですから音節の連続であることばのアクセントは、ちょうど歌のようにメロディーになっているわけです。各音節のトーンは基本形が4種あるので、その2音節連続のメロディーパターンは全部で16です。まずはmaという単一の音でそのメロディーパターンを繰り返し練習してください。すべてのパターンを正しく出せるメロディー感覚が身に付けば成功です。その手順は「CDエクスプレス中国語」に分かりやすく紹介されています。ほかに発音がちょっと厄介な子音や母音もいくつかありますが、仕組みはとても分かりやすく出来ています。そしてアクセントにその発音をのせれば完成です。メロディーに歌詞をのせる歌の感覚ですね。メロディーにうまく乗れるようになればしめたもの、勉強がどんどん進みます。

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