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連載・エッセイ

第1回 三人の戦死者 ―2008.05.14

ドルドーニュ便り《番外編》

5月8日午前11時。村の広場に30人の住人が集まり、記念式典が始まった。第二次世界大戦の勝利と戦死した村の3人の若者を悼む式典である。その日、フランス全土、37000の市町村で同様の式典が行われていた。

村の評議員で長身のプリンスさんが式典の司会をつとめた。新村長のスダンさんが、旧戦士の会(レジスタンスの会)会長のメッセージを代読する。

降伏の屈辱、占領下の苦難、ドゴールの自由フランス、ナチスの暴虐、ユダヤ人迫害、レジスタンスの勇気、1945年5月8日の勝利、EUによる平和の建設、戦没者への哀悼、が語られていた。

そのあと、村の観光案内所に勤めるボリィさんの中学生の息子が、フランスのために命を捧げた戦没者への敬意を捧げるメッセージを読んだ。

プリンスさんが戦没者慰霊碑の前に立ち、第二次大戦で戦死した3人の名前をひとりずつ読み上げる。そのたびに参列者は“フランスのために”と呼応する。

二人のレジスタンスの元戦士が、慰霊碑に花束を捧げる。農夫のデフォーさんとパン屋だったビアさんは、山に隠れゲリラとしてドイツ軍と戦った人である。そのあと、一分間の黙祷があり、国歌ラ・マルセイエーズが流れて式典は終了した。

式のあと、ワインのもてなしがあった。会場で、もうひとりのレジスタンス戦士、ラガードさんが、数人の村人に写真を見せていた。彼にはいちどインタビューをしたことがあるので、それ以来の顔見知りだ。

ラガードさんは、二枚の写真を持参していた。古いほうには、「1940年6月30日、敗北」とタイトルが付けられている。地方紙にのったサン・ジャン・ドコール村の広場にあつまった数百人の人々が写っている。

もう一枚の写真には、1944年9月14日、「グループ“ミッキー”、 ロシュフォーの解放」と書かれていて、6人の仲間とトラックにのり、ライフル銃をもっている17歳のラガードさんが写っている。ヘルメットをかぶっている若者は村長の父親だった。

翌日、慰霊碑に刻まれている3人の名前を読んでいると、今年の春まで37年間、村長だったヴモントさんが通りかかった。「この“ジョゼフ・ラガード、1940年6月14日 戦死“とあるのは、どなたですか」と尋ねると「きのう式典に参加していたラガードさんの兄ですよ」と言った。 

慰霊碑の上段は第一次大戦の戦死者、下段に3人の名前がある

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