白水社 白水社
書籍の検索 →詳細検索はこちら
 

教科書検索はこちらから買い物カゴを開く
白水社 白水社 白水社
トップページ
耳より情報 新刊情報 おすすめ本 全集・シリーズ 白水Uブックス 文庫クセジュ 語学書 雑誌『ふらんす』
岸田國士戯曲賞 パブリッシャーズ・レビュー クラブ白水社 メルマガ「月刊白水社」 教科書見本 連載・エッセイ 書店様向けページ
連載・エッセイ

第16回 年越し蕎麦とシャンパン ―2008.12.26

ドルドーニュ便り《番外編》


サン・ジャン・ドコール村

暮れになるといつも、消防団員の親子と郵便配達の女性がわが家を訪れる。今年は、町の消防団のルフォールさん親子が先に来た。消防団員の大多数はボランティアだが、この二人の現職は鉄道員だ。ルフォールさん親子は、各家庭を廻って消防団への募金活動をしているが、寄付をするとカレンダーがもらえる。部厚いカレンダーには、現役の団員22人の階級入りのポートレート、制服姿のOBが一堂に会した写真、過去の火消しの場面が載っている。現役もOBも誇らしげだ。

数日後、郵便を配達してくれる元気で愛嬌のあるフォールさんが、カレンダーを持ってやってきた。5種類のなかから、鳥と猫をテーマにしたものを選び寄付をした。消防団員はちゃんと金額をノートに記入していたが、彼女はポケットに入れていたので、これは個人への心付けになるらしい。どちらにも、すこし奮発するので、今年もカレンダーが4つになった。


ブラントンの教会

快晴のクリスマスの朝、例年のように、この地方で最も古いブラントンの教会のミサに行った。約60人が参加、ほとんど60歳以上で若者はすくない。司祭は80歳ちかい人で、今年の説教のテーマは「橋」だった。橋は神と人、人と人をつなぐもの、戦争があると初めに破壊されるのは橋である、と白髪の司祭は説く。祭壇の後の壁に、ステンドグラスから入ってきた光が淡い虹になり映っていた。ミサが終ると、隣の見知らぬ人同士が握手する。信者でないわたしも握手をする。家に戻って、妻とストックホルムから来た娘と3人で、暖炉の前で乾杯した。


大晦日

年越し蕎麦とシャンパンで“行く年、来る年”を祝うわが家の行事は、結婚以来だからもう30年以上も続いている。去年の大晦日は、娘がつくった蕎麦汁がなかなかいい味だった。シャンパンは意外に蕎麦と相性がいい。これこそ東西グルメ文化の融合ではなかろうか。

横浜で暮らしていた頃は、港の汽笛やNHKの流す除夜の鐘で正月を迎えたが、ここにはサン・ジャン・ドコール村の教会の鐘がある。なにしろ11世紀に教会が建てられて以来、鳴り続けてきた音色である。仏鐘に 諸行無常の 響きあり


連載・エッセイ
温又柔「失われた『母国語』を求めて」
- 第8回 幻の原稿 [2011.12.13]

今尾恵介「日本を定点観測する」
- 第15回 中世の自治都市・堺の今昔 [2011.12.06]

温又柔「失われた『母国語』を求めて」
- 第7回 「ママ語」の正体 [2011.11.28]

今尾恵介「日本を定点観測する」
- 第14回 仙台南隣の宿場町は「副都心」へ ─ 長町 [2011.11.25]

村田奈々子「ギリシアの風」
- 第8回 サイードとカヴァフィス [2011.11.22]



↑ページのトップへ