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第17回 日本の評判 ―2009.01.09
ドイツ人の友人マンフレッドから久しぶりに電話があった。ぺリグー(ドルドーニュ県の首都)で、小さなホテルを経営していたが引退し、いまはフランス人の奥さんと、当地とハンブルグで暮らしている。 四方山話のなかで、なんどか来日体験があるマンフレッドは、「ところで、フランスでもドイツでも、最近、日本に関するニュースがほとんでないね」と言っていた。「残念ながら、そうだね」とわたしは答えた。 相変わらず、世界政治の舞台で日本の影は薄い。去年は、北海道洞爺湖サミットがニュースになったが、その後はさっぱりだ。中国が、連日、こちらのマスコミを賑わしているのに比べると存在感がない。 リベラスィオン紙の東京特派員ミシェル・テマンは「フランスのGDPは日本の四分の一なのに、サルコジは外交では世界の皇帝みたいに振舞っているね」と皮肉っていたが、わたしは「日本の首相にサルコジの四分の一の外交力があればなあ!」と嘆いたものだ。“日米同盟の強化“を念仏のように唱えるだけでは、世界のニュースにはならないだろう。 ![]() 年金スキャンダル記事 ルモンド紙 だからと言って、フランスのマスコミで日本が話題にならないわけではない。捕鯨続行、マグロ乱獲、地震、ロボット開発などは、TVニュースが取り上げる。ル・モンド紙は、年金スキャンダルや臨時労働者の窮状を三面で特集、トヨタの不調を大きく扱っていた。 しかし、圧倒的に多いのは、文化・伝統関連の記事だ。とくに、江戸美術への関心が高い。たとえば、昨年、パリのギメ美術館で「葛飾北斎展」が開かれたが、週刊誌ル・ポアンは“北斎、マンガの父”と見出しをつけ、4ページを割いていた。 記事の書き出しが洒落ていた。「なみなみと注がれた酒を片手に、ウニ巻きの寿司を味わう幸せ!これが北斎だ」。これに誘われて、パリに出かけたが、素晴らしい展覧会だった。来館者の多くが、食い入るように作品を見ていたのが印象的だった。 ル・モンドの日本文化記事は密度が高い。ポンピドー・センター別館(メス市)の建築を担当する坂茂、ポップアーティスト村上隆の回顧展、東京オリンピックを撮った市川崑の物故記事、ジンギスカンを演じた俳優・浅野忠信などが大きく扱われ、北陸で発見された伊藤若冲の大屏風、松竹が歌舞伎座を閉鎖することが記事なっている。 数日前の同紙に、現在、パリ国立図書館で開催されている「日本の版画—浮世絵」の紹介記事が載っていた。同図書館所蔵の6000枚の版画から、歌麿、広重、北斎などの150点が展示されているという。記事と同じスペースで、北斎の『両国橋夕涼花火之図』が載っていたが、じっくり眺めると、なるほど“マンガの父”である。 ![]() 書店の日本マンガ・コーナー 夕方、ガルシア・ルナがやってきた。彼は、ドルドーニュ県の夏祭りの企画を担当している人だ。暖炉の前で、一杯やりながら懇談2時間。話のなかででたのが、彼の10歳の娘さんが日本マンガの熱心なファンであること、ご本人も大島渚と北野武のファンであることだった。 江戸の浮世絵師、現代のマンガ家、アーテストの皆さん、お世話になってます! |
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