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第24回 サルコジ株暴落 ―2009.04.21 ![]() 週刊誌ル・ポアンの表紙 日曜の朝、ラジオのニュースを聴いていたら、サルコジの発言に関して、セゴレーヌ・ロワイヤル(社会党前大統領候補)がスペインのサパテロ首相に謝罪をした、とトップで報じていた。 何のことかと思いル・モンド紙の電子版で調べてみると、サルコジがエリゼ宮に24人の議員(超党派)を招待した昼食会での発言だった。 この会は、サルコジがロンドンG20の成果を報告することを目的としていたのだが、外国人首脳の毒舌人物評が飛び出し、それをリベラスィオン紙がすっぱ抜いたのである。 同紙によると、その日サルコジはご機嫌で、G20で自分はいかにしてフランスの金融規制に関する主張を押し通したかを、とうとうと述べていたという。 問題の放言を紹介してみよう。「オバマは、デリケートで、非常に頭がよく、カリスマ性がある。しかし、政策とその効果に関しては必ずしもレベルが高いわけではない」。「オバマの“核兵器なき世界”や“地球温暖化防止”についての考えはナイーブだ」。 G20では英米に抗して共同戦線をはった盟友であるはずのドイツ首相メルケルのことを「ドイツの不況の深刻さにやっと気づき、わたしの政策に同調せざるを得なかった」、EU委員長のバローゾについて「G20ではまったく影が薄かった」と皮肉っている。そして、デザートがでた頃に、隣国のスペインの首相サパテロは「頭がよくない」という問題発言をしたという。 エリゼ宮はリベラスィオン紙の報道は事実ではないと否定しているが、複数の出席者から確認をとっているので、誤報の可能性はまずない。世界のマスコミが一斉にサルコジの放言を伝えたが、首相の頭が悪いと言われたスペイン人の反発は猛烈だった。ABCは、「サルコジの優越感には限度がない」と皮肉り、あるブログは「これはフランス人の傲慢さの典型だ。他のヨーロッパ人はマナーを心得ている」と怒っていた。 ロンドンのタイムズ紙は「米仏の蜜月は終った」、アメリカのタイム誌は、こんな発言をするサルコジを「世界の首脳は、軽量級のリーダーだと見るだろう」と書いていた。ル・モンド紙電子版は、「国際メディア、サルコジの傲慢さを糾弾」と見出しをつけ、各国の反応を紹介していた。 実行力と率直さが買われて大統領になったサルコジだが、この放言は明らかに一線を越えている。偉大な文明国フランスの大統領にふさわしくない発言だ。4月28日にマドリッドで仏西首脳会談が予定されているが、彼はどんな顔をしてサパテロに会うのだろう。 上記の写真は、今年はじめのル・ポアン誌の表紙である。サルコジをナポレオン皇帝になぞらえて“ニコラ・ボナパルト”と呼び、その野心と手法を解剖している特集だった。その頃は、まだ支持率は高かったが、いまでは37%まで急下降している。 放言事件の前に、パリ・マッチ誌が行った世論調査“政治家の人気ランキング”によると、シラク前大統領が74%の支持を得て1位、サルコジは47%で29位だった。これで、さらに下がるだろう。 日本の首相は漢字が読めないことで、国民を唖然とさせたが、これは国内の問題だった。酔っ払い財政相の醜態で、わたしも恥ずかしい思いをしたが、これが外交問題に発展したわけではない。しかし、今回のサルコジ発言によって外交大国フランスが受けるダメージは大きいと思う。 サルコジは強烈な自負心をもつ男である。アイデアマンで政策に強く、実行力のある自信家である。この自負と自信が落とし穴になったのではないだろうか。 「性格は運命である」とシェイクスピアは言い、渥美清の寅さんは「それを言っちゃあ おしまいよ」と言っている。 |
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