
(…)日本語を利用する環境そのままで、テキスト形式・英数字半角でさっさと書いて送る場合には、アクセント記号なしでも問題なく受けいれられることを念頭におきましょう。逆に、相手から来たメールに万一文字化けがあっても、内容がほぼ読み取れる場合が多いのです。
(26頁より)
今やすっかりEメールの時代である。携帯電話を持たないわたしでさえも、メールに関してはパソコン経由で頻繁に利用する。原稿は基本的に添付ファイルで送っており、それはこの拙文だって例外ではない。
こんな時代だから、「メールの書き方」を謳った語学書が多いのも当然である。とくに英語では何種類も存在する。だが英語の場合、そのほとんどがバラバラな文例とありがちな表現の羅列ばかりで、実際にはたいして使えない。
本書はフランス語のメールの書き方を案内するものだが、英語以外では先駆的な試みであるにもかかわらず、本当によくできている。
何よりも文体に関する注釈が行き届いているのがいい。冒頭の「フランス語メールの基本」では、親しさに応じた文体の使い分けが敬辞と結辞についてまとめられており、この方針が「フランス語メールの実例」でも一貫している。
実例で示された表現も、非常に厳選されている。「履歴書のフランス語チェックのお願い」「添付ファイルを再送してくれますか」など、実際にわたしも外国語に訳そうと思って悩んだ表現が、分かりやすくまとめられているのだ。
何よりも感心したのは、右に引用した「アクセント記号の入力方法」に関する鋭い指摘。ラテン文字によるメールの場合、付属記号を無視してもナントカなることは、わたしも他の言語で経験してきた。手紙との大きな違いなのだが、はっきりと解説しているのは珍しい。
もちろん、実例を読むのも楽しい。メールだからといって特殊な文体があるわけではなく、やさしい単語と表現でいろいろ言えることが確認できる。
なるほどねえ、フランス語メール初心者であるわたしも、こんな風に親しい人へフランス語のメールを送るところから始めてみたい。だがここで、わたしには親しいフランス語話者のいないことに気づく。
それじゃ白水社の雑誌「ふらんす」担当の「あ」さんに、フランス語でメールを書いちゃおうかな。たとえば74ページを参考にして、
「ごめんなさい、このところコンピュータに問題があってメールをチェックしていませんでした。これから急いで原稿を添付ファイルで送ります。遅過ぎないといいのだけれど……」
……なんていうのは送ったりしないから、「あ」さん、ご安心を。

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Eメールのフランス語
田中幸子、イザベル・フォルテット 著
「元気?」から、お礼、お詫び、お祝い、お悔やみ、誘い、予定調整、予約、クレーム、留学準備など、応用自在な約220の文例と関連表現を掲載。正しく伝えるフランス語メールの決定版!
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