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第25回 雑誌の楽しみ ―2009.06.30 ![]() ル・モンド別冊 2009・6・7月号 皆さん、こんにちは。日本に6週間里帰りしていたので、「ドルドーニュ便り」しばらく休憩していました。今月から再開。引き続き、ご愛読いただければ幸いです。 積乱雲と道端の赤いポピーの花を眺めながらドライブ40分、巨大スーパー・カルフールに到着。野菜と肉とワインを買ったあと、店内にある新聞と雑誌を売っているキヨスクに寄る。 ここには、ボディビルから歴史までありとあらゆる種類の雑誌が並べられている。国際ニュース雑誌の編集者だった体験から言うと、フランスの雑誌文化は魅力的だ。この国には雑誌を読む楽しみがある。その日、わたしはオプセルヴァトゥール(週刊誌)とル・モンド別冊の2冊の雑誌を買った オプセルヴァトゥール誌の特集はイランの核開発で、付録にBBCとFrance3が共同製作した3時間のDVD「イランと西側」(2009年)が付いていた。そのドキュメンタリーには、ホメイニ革命からアフマディネジャド大統領にいたるまでの、過去30年のイランと欧米の対立と交渉の歴史が鮮やかに描かれていた。 次のような場面もあった。2005年、英独仏の外相がイランのカタミ改革派政権と核開発について交渉をして、妥協案を苦心の末まとめ上げた。その案を、ブッシュ政権のボルトン国務次官が、かたくなに拒否した時のことを、フランスの外交官は「ボルトンが拒否の声明を読む態度は、まるで旧ソ連の外交官のようだった」と皮肉っていた。ともあれ、DVD付きの価格が7ユーロ(1000円)は安い。 ル・モンド別冊(1000円)は、フランス革命220年を記念して刊行されたのだが、上の写真はその表紙で“フランス革命の遺産”とある。100頁の内容は盛りだくさんで、歴史家へのインタビューから前首相ド・ヴィルパン、反資本主義新党代表ブザンスノなど左右の政治家による革命の評価まである。 トップ記事が米国の歴史家へのロング・インタビューであるのが面白い。そのなかで、タケット・カリフォルニア大学教授が「革命には、予期せぬことが次々に起こる。意外な進展にはじめに驚くのは、革命の中心人物だ」と言っている。 ロベスピエールに率いられる革命急進派は、公安委員会を通じて政敵や貴族、聖職者を“革命の敵”と称してギロチンにかけたが、最後にはロベスピエール自身が断頭台で処刑されることになる。これなど、タケットの観察を実証する好例だろう。 さて表紙の写真は、ボルドーの城主ド・ヴォセルさんが皿の上に自らの首をのせ座っている光景だ。ド・ヴォセルさんのご先祖はボルドーの貴族で、ロベスピエールの恐怖政治の嵐が吹き荒れた1794年に、“革命の敵”としてギロチンで斬首された。そこで、彼はご先祖から継承した城のサロンで、ブラック・ユーモアを演じているわけだ。ル・モンドの編集者は味のある振り付けをやったものだ。 ![]() レアリテ誌 1970・3月号 先週、パリで暮らす大学同級生の親友O君から「フィガロ紙によると、中国が日本を抜いて、今年、GDP2位になるらしいよ」と電話があった。調べてみるとIMFの予測で、通商白書も「世界第2位の地位も残りわずかとなっている」と書いているから、くるべきことがやってきたということだろう。しかし、こんなに早くくるとは思っていなかったので、ショックだった。 しかし、毎日と日経が記事にしたくらいで、日本のマスコミはこのニュースをあまり報じていない。世界における日本のランキングの象徴であるGDP2位の地位を、中国に明け渡すというのに、マスコミはなぜ静かなのだろう。 数年以内には現実になると、すでに報道されているで、ニュースではない? 国技の相撲もモンゴル勢に横綱をはられるご時勢だから、諦めの心境? 一人当たりGDPではまだ中国と比べると10倍の余裕? 関心はGDPランク落ちより総選挙? 40年間続いたナンバー2の経済大国という日本のアイデンティティは、このニュースで相当の打撃を受けるのではないか、と思ったのだが意外にそうでもないようだ。国民もマスコミもGDP信仰から脱却したのだろうか。そうとは思えない。マスコミは、このニュースが意味するものを掘り下げるべきだろう。 40年後の日本の迷走は、われわれ自身の資質の低下とシステムの老朽化が原因ではなかろうか。自民党はその象徴とも言える。賞味切れの品は破棄したほうが良い。 |
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