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第7回 ―2009.07.27 『ガリバー旅行記』のスウィフトは、一七二九年、貧苦にあえぐ母国アイルランドを救うための、ささやかな提言をパンフレットに書いた。それは幼児を太らせて、食肉用として売れ、というものだった。 たちの悪い冗談だと、マジメな人は顔をしかめるかもしれない。しかし、講談社、集英社、小学館の三社がブックオフと手を組む(株を取得)と聞いた時、スウィフトの提言を思い出した。裏に潜む思惑はどうあれ、かつては敵視していた新古書店と連携することは、せっかく育てた子どもを売り渡すことにならないか。 今年、中公新書の刊行点数が二千点を突破し、記念として『中公新書の森』という新書判の小冊子が作られた。フェア開催書店で中公新書を買えば無料でもらえる。エッセイに対談、有識者や評論家など一七九名による「思い出の中公新書」アンケートなど、なかなか楽しい。 会田雄次『アーロン収容所』、宮崎市定『科挙』、石光真人編著『ある明治人の記録』などに多数の票が集まった。新書がいささかスナック菓子のように乱売されるなか、中公新書二千点の歴史は壮観だ。芳賀徹の「古今東西の人文社会自然にわたる一大百科全書の観さえある」という評も、あながち祝辞的な過褒に聞こえない。 「いまや、書物によって視野を拡大し、変りゆく世界に豊かに対応しようとする強い要求を私たちは抑えることができない。この要求にこたえる義務を、今日の書物は背負っている」と、「中公新書刊行のことば」にある。書物は売られるために太らされた子どもではない。 |
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