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第8回 ―2009.09.25 本の街、東京神田・神保町へ通い出して、もう二十年近くになる。週末に駿河台の東京古書会館で、一般客向けの古書即売会があるからだ。希書に奇書、それに手頃な雑本まで、古本好きにとって、これほど興奮する場所はない。 会館へ行くのに、私はいつもJR御茶ノ水駅の聖橋口から、だらだら坂を下って、稲妻型に角を曲がり目的地へたどり着く。途中、白水社の社屋を左手に拝むのだが、最初に発見した時、瀟酒で白いビルは仏文学の牙城にふさわしいと思うと同時に、意外に小さいな、と思った(失礼!)▼同時に、そう言えば数十年前までは、この近くに筑摩書房も河出書房(現・河出書房新社)もあったのか、と感慨に耽ったものだ。筑摩書房前社長・柏原成光の新刊『本とわたしと筑摩書房』(パロル舎)には、一九八八年までこの地にあった、古ぼけた社屋の思い出とともに、中小の出版社が肩寄せ合った時代の神保町のことが熱く語られている。 小さな酒場では、岩波、筑摩、河出、白水社などの編集者が呉越同舟で酒を酌み交わし、情報交換をしたようだ。かつては、すずらん通りに銭湯があり、夕暮れになると、「知」が集まり、温まってはまた社へ散らばっていったとも聞く。もちろん、新刊書店、古本屋まわりは欠かさなかっただろう。 どうだろう、筑摩も河出もそれに思潮社も、もう一度、神保町へ戻って来ませんか。なんといっても出版社は「本の街」にあるのがふさわしい。本のパワーを取り戻し、神保町を「知」の泉にするために。 |
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