
■書いてみよう
(11)「カルメンとホセはうまくいってないような気がする」
(49ページ)
作文の教材を作るとき、いつも悩むのはその構成である。
「自己紹介」「家族」「学校」などの場面別にするか、それとも「比較級」「命令形」「条件文」などといった文法項目別にするか。
場面別では関連表現も含めて学習できるからいいけれど、文法事項がバラバラなので少々難しくなる。反対に文法項目別だとパターンは覚えやすいが、その代わり単調になりがち。
その点について、本書は実によくできている。つまり、はじめの三課は場面別、残りは文法項目別。まずは自分についての表現を学び、それから文法項目を徹底練習。なるほど、これはちょっとしたアイディア。コロンブスの卵。
とはいえ、文法項目別の四課以降は、やっぱり単調になってしまうのではないか。そこで作文練習問題「書いてみよう」を眺めてみた。
だが単調にはなっていない。それどころか意外なことに、本書には読者を惹きつけて止まない「隠れキャラ」があちこち登場することに気づいた。
その名はホセ。繋がりのない短文の中に、このホセがたびたび登場する。しかも、これがなかなか微妙な立場。初登場が上の引用文。深刻である。ホセは大丈夫なんだろうか。話は続く。
「私が食事をしていると、ホセから電話がありました」(68ページ)
ははあ、きっとカルメンのことで相談したいんだな。
「僕はカルメン結婚してると思うよ。― 私はカルメンは結婚してるとは思わないわ」(104ページ)
ちょっとちょっと、カルメンってどんな女なの? ホセの立場は?
「ホセは本当のことを知らないかもしれない」(114ページ)
そ、そんな~。
「ホセを愛している人なんて誰もいない。彼はすっごく感じが悪いからね」(同ページ)
何もそこまでいわなくても! 会ったこともないホセに同情してしまう。
このカルメンとホセの行く末は、132ページで一応の結末らしきものを迎える。果たして二人はどうなるのか? どうぞ本書を入手してお確かめください。
尚、このような解釈は、評者の妄想的深読みの結果であり、著者ご自身が意図されているものとはまったく違っている可能性があることを、お断りしておきたい。

|
解説がくわしいスペイン語の作文
山村ひろみ 著
作文ってひとりじゃ勉強できない? この本なら一問一問じっくり解説、解答例もいろいろあるから大丈夫。2つの過去形も接続法も使いこなして、「らしい」スペイン語を書こう!
|