《エクス・リブリス》とは、「蔵書票;〜の蔵書から」を意味します。独創的な世界の文学を厳選して贈るシリーズです。
❖ 最新刊 ❖
青い野を歩く
クレア・キーガン
岩本正恵訳
名もなき人びとの恋愛、不倫、小さな決断を描いた世界は、「アイリッシュ・バラッド」の味わいと、哀しみ、ユーモアが漂う。アイルランドの新世代による、傑作短篇集。小池昌代氏推薦!
❖ 好評既刊 ❖
悲しみを聴く石
アティーク・ラヒーミー
関口涼子訳
戦場から植物状態となって戻った男。コーランの祈りを唱えながら看病を続ける妻。やがて女は、快復の兆しを見せない夫に向かって、誰にも告げたことのない罪深い秘密を語り始める……。

ミスター・ピップ
ロイド・ジョーンズ
大友りお訳
島の少女マティルダは、白人の先生に導かれ、ディケンズの『大いなる遺産』を読み、その世界に魅せられる。忍び寄る独立抗争の影……最高潮に息をのむ展開と結末が! 英連邦作家賞受賞作品。

通話
ロベルト・ボラーニョ
松本健二訳
スペインに亡命中のアルゼンチン人作家と〈僕〉との奇妙な友情を描く「センシニ」をはじめ、心を揺さぶる14の人生の物語。ラテンアメリカの新たな巨匠による、初期の傑作短編集。

イエメンで鮭釣りを
ポール・トーディ
小竹由美子訳
砂漠の国に鮭を放つ!? イギリス政府も巻きこんだ奇想天外な計画「イエメン鮭プロジェクト」の顛末はいかに……処女作にしてイギリスで40万部を記録したベストセラー長編。

ジーザス・サン
デニス・ジョンソン
柴田元幸訳
緊急治療室でぶらぶらする俺、目にナイフが刺さった男。犯罪、麻薬、暴力……最果てでもがき、生きる、破滅的な人びと。悪夢なのか、覚めているのか? 乾いた語りが心を震わす短編。
【詳細レポート】『悲しみを聴く石』朗読会が行われました
昨年から始まった、市ヶ谷の東京日仏学院の秋のイベント「読書の秋 Feuilles d'automne」。昨年は、ナンシー・ヒューストン、マリー・ンディアイ、フィリップ・フォレスト、マルク・レヴィなど、フランスを代表する錚々たる作家が次々来日し、秋の文学シーズンを盛り上げました。
そして今年もその季節がやってきました! フィリップ・クローデル、ヤスミナ・カドラがすでに来日を果たし、恵比寿の日仏会館ではあのノーベル賞作家ル・クレジオの講演も控えています。
詳しいプログラムはこちら (なお、ル・クレジオの講演会へのお申し込みは既に締め切られております。)
去る11月13日、このプログラムのなかで、偉大な俳優にして演出家、パリの高等舞台芸術学校の校長でもあるダニエル・メスギッシュ氏も来日(なんとトリュフォーの「逃げ去る恋」にも出演しています!)。フランスで今もっとも人気の高い演出家と言われているメスギッシュ氏と、日本の舞台や映画で活躍する俳優日下由美氏が、ほぼ1時間半にわたって、昨年のゴンクール賞受賞作『悲しみを聴く石』を、それぞれフランス語、日本語で朗読しました。
開場45分前。会場では簡単なリハーサルが行なわれていました。ステージには少し離れた置かれた二脚の椅子だけ。演者の二人が座ってマイクテスト。次に照明のチェック。ここで演出家メスギッシュ氏が、照明の当て方と明度のバランスを指示。ほんの一瞬の何気ない指示でしたが、その迅速さ、適確さは、まさに「プロの舞台リハーサル」という雰囲気でした。
では、ここで作品のご紹介を…

19時。作品と演者二人の短い紹介の後、いよいよ開幕。
メスギッシュ氏が甘く渋い低音の声で作品の冒頭を読み始めると、会場は一瞬にして演劇空間に。まずは、まるで映画のシーンを見ているような冒頭の不穏な描写。小説の舞台となる飾り気のない部屋が、そしてそこに横たわる男と傍らの女が、カメラが捉えたように写実的に描写されていきます。物語はすべて、夫婦のいるこのせまい密室で繰り広げられるのですが、まさに演劇的ともいえる設定で、会場の緊迫感もいや増します。

つづいて、初夜の思い出についての赤裸々な女の告白、幼いころ傲慢な父に果たした仕返しのエピソード…と女のモノローグが続きます。静かに、そして時に激しく。異なる言語で、しかも男女の声の違いもあって、非常にスリリングでした。長いモノローグの合間には、ト書きのように、あるいは詩のように、静かに差し挟まれる印象的なフレーズ。そして沈黙。詩人でもある訳者関口涼子さんの文章の響きやリズムに吸い込まれていくようでした。

後半は、さらに二つのシークエンス。兵士二人に突然押し入られる緊迫の場面、そして、翌日訪れたそのうちの一人である若い青年との切ない裏切りの場面。もちろん小説のクライマックスは、読んでのお楽しみということで、ここで終了。なんともいえない余韻が残るなか、会場からはため息がもれ、やがて盛大な拍手。じつにすばらしい舞台でした。

■『悲しみを聴く石』■2009.11.19
《エクス・リブリス》
の特色
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欧米はもとより、ラテンアメリカ、ロシア、東欧、アジア、オセアニア、アフリカまで、まさに「世界の文学」を幅広く紹介していきます。
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頭角を現し、注目を集めている新人、気鋭から、隠れた名作家まで、今こそ読んで新しい、ユニークで意欲的な作品を厳選します。
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柴田元幸、岸本佐知子、岩本正恵、野崎歓、鈴木仁子、沼野恭子ら第一線の翻訳家をはじめ、藤井光(アメリカ文学)、渋谷豊(フランス文学)、松本健二(ラテンアメリカ文学)ら新進翻訳家を積極的に起用します。
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装丁家、緒方修一による、各作品にふさわしい清新なデザイン、瀟洒な造本、読みやすい本文レイアウトでお届けします。
推薦のことば
「期待の現代文学」
柴田元幸
世界のいろんな場所で、日々いろんないい小説が書かれ、出版されている。だから、「この本をぜひ出したい」という編集者がいて、「この本をぜひ訳したい」という翻訳者がいて、その情熱を共有する人間が周りに何人かいれば、とてもいい現代文学のシリーズが出来ると思うし、事実このシリーズ、かなりそうなりつつあります。

「太陽との距離」
古川日出男
世界には中心はない。ある偉大な作家がAという地域にいても、Aこそが核だ、とは断言できない。ある革新的な作品がBという国(の言語)で書かれていても、Bの国語こそが今後の文学の核となる言語だ、とは判断できない。だが地球上のどんな場所も、太陽とは等距離だ。それを理解した新しい“本”だけが、ここに世界文学として届けられるだろう。

「本を片手に旅するように」
桜庭一樹
飛行機に乗ったら世界が、「おぉ!」ぎゅんと狭くなるように。タイムマシンに乗ったら、「あれ?」過去がもうすぐ外に在るように。「エクス・リブリス」の本たちが思わぬ空間と時間に連れてってくれるとよい。あてもなく旅をするように、気楽に、刺激的に世界文学を読み続けることができたらそれだけで幸せです。
今後のラインナップ
クレア・キーガン 岩本正恵 訳
『青い野を行く』(アイルランド)
第6回配本・2009年12月刊行予定
デニス・ジョンソン
藤井光 訳
『煙の樹』
(アメリカ)
ロベルト・ボラーニョ
柳原孝敦、松本健二 訳
『野生の探偵たち』
(チリ)
ヴィルヘルム・ゲナツィーノ
鈴木仁子 訳
『そんな日の雨傘に』
(ドイツ)
エドワード・P・ジョーンズ
小澤英実 訳
『地図にない世界』
(アメリカ)
ポール・トーディ
小竹由美子 訳
『ウィルバーフォース氏のヴィンテージ・ワイン』
( イギリス)
カルロス・バルマセダ
柳原孝敦訳
『ブエノスアイレス食堂』
(アルゼンチン )
ジョー・ブレイナード
小林久美子訳
『ぼくは覚えている』
(アメリカ)
ペール・ペッテルソン
西田英恵 訳
『馬を盗みに』
(ノルウェー)
オルガ・トカルチュク
小椋彩 訳
『昼の家、夜の家』
(ポーランド)
ラウィ・ハージ
藤井光訳
『デ・ニーロのゲーム』
(レバノン)
サーシャ・スタニシチ
浅井晶子 訳
『兵士はどうやってグラモフォンを修理するのか』
( ボスニア・ヘルツェゴビナ)
オラフ・オラフソン
岩本正恵訳
『ヴァレンタインズ』
(アイスランド)
アルベルト・ルイ・サンチェス
斉藤文子訳
『空気の名前』
(メキシコ)