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雑誌『ふらんす』 アクチュアリテ「スポーツ」 芦立一義

冬季限定のモーターレース

 フランス各地に特設されたコースで行なわれるモーターレース、アンドロス・トロフィーの2012シーズンが12月3日に開幕した。コースの全長は800m前後(予選では4周、決勝では10周を走行)で、F-1のサーキットと比べるとずいぶん短い。またコースが短いせいで WRC(世界ラリー選手権) ほどの迫力はない。アンドロス・トロフィーの面白さは、氷上または雪上のコースで繰り広げられるドリフト合戦とコーナーの奪い合いにあり、そのため、全7戦行なわれるレースの日程は冬季に限られる。クリスマスと年末年始を除く毎週末に開催され、最終戦は1月28日にピュイ・ド・ドーム県のスペル・ベッスで行なわれる。
 1990年の初開催から今年で23回目を数えるが、1998年にバイク部門、2009年にはモータースポーツ界で初めてとなる電気自動車部門が加わった。エコロジストからの批判もあるモータースポーツにおける革新的な試みとして、電気自動車でのレースには注目が集まるなか、エクサゴン・エンジニアリング社が開発する電気自動車「アンドロス・カー」は、2011年5月にはポー・グランプリに参戦、今度は氷上ではなくアスファルトのサーキットにデビューした。
 アンドロス・トロフィーに出場するドライバーはフランス人ばかりで、フランス国内のモーターレースイベントであるが、かつてはケベックにコースの一部が設置されたこともあり、今年も第2戦はアンドラ公国で行われた。日本ではモータースポーツファンでなければアンドロス・トロフィーを知る人はおそらくほとんどいないと思われるが、「氷上のF-1」と言うだけあって、出場ドライバーの中には元F-1ドライバーのアラン・プロスト、ジャック・ヴィルヌーヴ、オリヴィエ・パニスといった著名な顔ぶれが並ぶ。2007年と2008年に連覇を果たしたプロストは、第2戦を終えた時点で総合2位につけており、4連覇を狙うジャン=フィリップ・デイロの後を追う。持久力よりはテクニックが重視されるアンドロス・トロフィーでは、今年で57歳になったプロストもまだまだ衰えを見せない。プロストは親子でも参戦しており、息子のニコラは電気自動車部門で3連覇へ向けて首位をキープしている。
 アンドロス・トロフィーの最終戦が行なわれる一週間前には、こちらは世界的にもよく知られたラリー・モンテカルロが開催される(1月17日~22日)。今年は第80回という節目の開催であるため盛り上がりも予想されるが、11月にはセバスチャン・ローブが前人未到のWRC9連覇を成し遂げたばかりで、フランス人でなくとも注目は必至だ。

(あしだて・かずよし)
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