『ふらんす 2016年7月号』立ち読み

アクチュアリテ「スポーツ」芦立一義

■王と銃士、サッカーとテニスから
 5月14日、フランスサッカーのリーグ1が最終節を終え、パリSGの圧勝でシーズンの幕を閉じた。パリSGのリーグ1優勝は、これで4年連続となる。この輝かしい成績の立役者とも言えるのが、4年前にパリSGに入団したイブラヒモビッチであるが、最終節の前日にTwitterで「王のようにやってきて、伝説のように去る」と、退団を表明し、14日のナントとの試合がパリSGのホームスタジアムでの最後の試合となった。その翌週には、フランス全土のクラブチームの頂点を決めるクープ・ドゥ・フランスの決勝戦があり、これが最終試合ということになる。
 リーグ1が終わると、次はすぐにテニスの全仏オープン、ロラン・ギャロスが始まる。今年はこれから夏の終わりまでに、EURO2016、ツール・ド・フランス、リオ五輪と、ビッグイベントが休みなく続く。この記事を書いているのは全仏の開催直前なのだが、フランスはテニス強豪国の1つでありながら全仏の制覇からは長年遠ざかっていることもあり、この時期になると「今年は優勝できるか?」といった記事をよく目にする。
 男子シングルスは1983年以来、女子シングルスでは2000年以来、フランス人選手の優勝者は出ていないが、同じく長年、総合優勝から遠のいているツール・ド・フランスと比べると、ロラン・ギャロスの方が優勝の可能性を感じさせる。2012年のロンドン五輪では、男子ダブルスで銀と銅のメダルを獲得したほか、昨年のデビス・カップ(テニスの国別対抗トーナメント)でフランスチームは優勝している。今年のデビス・カップは、日本は3月にベスト16で敗れてしまったが、フランスはベスト8に駒を進め、7月15~17日にチェコと対戦する。1983年にロラン・ギャロスを制したヤニク・ノアを主将とするフランスチームのメンバーには「新四銃士」と呼ばれるJ-W.ツォンガ、G.モンフィス、R.ガスケ、G.シモンがいる。錦織圭との対戦で、日本でも名を聞く機会があるかと思うが、いずれもランキング上位者で、錦織圭と同様にグランドスラムの制覇が期待される選手たちである。モンフィスはウイルス感染によりロラン・ギャロスを欠場するが、デビス・カップには間に合うだろう。
 「四銃士」というのはそもそも、1920年代にデビス・カップで6連勝、グランドスラムで合計18勝も挙げた、J.ボロトラ、J.ブルニョン、H.コシェ、R.ラコステのことである。彼らの栄誉を称え、ロラン・ギャロスで男子シングルス優勝者に授けられるカップは「四銃士杯」と名づけられている。
(あしだて・かずよし)

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