白水社×みすず書房×東京大学出版会「レビュー合戦2016」開催!
あの「レビュー合戦」が帰ってきた!
「レビュー合戦」とは、PR紙「パブリッシャーズ・レビュー」(※)を発行している
白水社・みすず書房・東京大学出版会が、互いの本を書評しあう、野心的な企画。
2012年に行われた第1回は、朝日新聞(2012年11月11日付・読書面「本の舞台裏」)でも
取り上げられるなど話題を集めました。
ご好評を受け、4年ぶりに第2回の開催が決定!
9月より、各書店にて順次開催予定です(書店一覧は本ページ下部をご覧ください)。
今回も、テーマに沿って選出された各社のイチオシ本について、
編集者を中心とした各社社員が熱く論じます。
フェア開催書店では、対象書籍を展示・販売。
編集者らによる熱いレビューはリーフレットにまとめ、店頭で無料配布します。
■ブックファースト新宿店さんの様子
(※)PR紙「パブリッシャーズ・レビュー」
「パブリッシャーズ・レビュー」は、白水社、みすず書房、東京大学出版会が
該当月に各社号として発行している無料PR紙。
白水社は1・4・7・10月、みすず書房は3・6・9・12月、東京大学出版会は5・11月に発行しています。
ご講読をご希望の方は、お手数ですが各社ごとのお申し込みが必要となります。
下記のリンク先よりお申し込み下さい。
◇「白水社の本棚」はこちら
◇「みすず書房の本棚」はこちら
◇「東京大学出版会の本棚」はこちら
フェアリーフレット掲載の、レビューの一部をご紹介します。
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Theme 1 歴史の転換点
中村隆英『明治大正史』(東京大学出版会)
東京大学出版会から上下二巻の明治大正史が出るというので、ここ数年維新史を意識的に読んでいた自分は、とりあえずこれを購入した。定価以外の情報をろくに確認しなかったのは版元への信頼ゆえだが、悪い先入観もあって、「歴史の声が聞こえる名講義」(帯)といっても東大出版会の本である。堅い本だろうと思った。これは読み始めて早々に裏切られる。とにかく読みやすく、面白い。史学者ではない書き手ならではの自由闊達さがあり、描かれる出来事の相関や人物像が印象的だ。著者専門の経済は勿論のこと、政治、文学や芸術にわたる深い知識を、柔らかい口語調で自在に操る。ユニークな初歩的概史としても読めるが、すでに種々の歴史書を読んできた読者のほうが、本書の真価を理解し楽しめるのかもしれない。語りの細部にも引き込まれる。治安維持法とバーターで普通選挙法を成立させた若槻礼次郎と平沼騏一郎に関する短い記述など、軽妙なだけにその後の悲惨を考えると余韻を引いたし、外債で日露戦争の戦費を調達した高橋是清を「借金をして子爵になったのは高橋だけです」と評したくだりには、思わず笑った。3年前に逝去された著者が1993年に大佛次郎賞を受賞した『昭和史』に馴染まれた方も多いかもしれない。私を含め未読の向きには、時間軸に沿って読めるという特権がある。本書のあとはぜひ、『昭和史』へと読み進めたい。
(みすず書房 中川美佐子・評)
龍應台『台湾海峡一九四九』(白水社)
「切ない」という言葉に、どこまでの深さと重みが込められているのかわからないが、本書を読み進めていくとき、心の中に動き続ける感情はありったけの「切なさ」、まさに胸を締めつけられる思いだ。頁をめくるたびに一体どれだけの人が死んだであろう。1945年までの抗日戦争でも多くの犠牲者を出し、一瞬の歓喜を感じただけで国民党軍と共産党軍による国共内戦が始まり、同胞同士が激しい戦闘を繰り広げる。ある人は志願し、ある人は突然さらわれて兵士に仕立て上げられ前線に送られる。生徒・学生は疎開のため長い流浪を強いられる。戦場では「殲滅」戦が行われ、街を徹底的に包囲して大量の餓死者がうまれる。流浪の過程では事故死や体力が尽きての悔しい死が待っている。そして、それらの周りには、夥しい数の別れがある。親との、家族との、恋人との、そして故郷との。
想像を絶する苦難を乗り越えて生き残った人たちの膨大な証言で成り立つ本書は、激動の世界史の一面を深く語っただけでなく、人間の存在そのものへの認識を大きく揺さぶる。「訳者あとがき」でも指摘されているように「単純なジャンルに収まりきれない豊かな作品」であり、まさに「文学」として読まれるべきものだ。現代に生きるわれわれは、ここに書かれたものから徹底的に想像力を働かせ、過酷な歴史に放り込まれた個々の人びとの痛みや苦しさ、悔しさに寄り添う必要があるだろう。
(東京大学出版会 黒田拓也・評)
スチュアート・D・ゴールドマン『ノモンハン1939』(みすず書房)
1939年5月、満洲とモンゴル国境をめぐる日本軍とソ連軍の戦闘は、「ノモンハン事件」(ハルハ河の戦い)として知られる。本書は「ノモンハン」を、一地域で起きた「事件」という枠には収まらない、国際情勢に多大な影響を及ぼした戦闘と位置づけている。『第二次世界大戦1939-45』(白水社)で、アントニー・ビーヴァーも指摘しているように、この戦闘は「地政学的分岐点」として決定的な役割を果たすのだ。
戦闘の期間中に「独ソ不可侵条約」が結ばれ、ポーランド国境にドイツ軍が集結し、欧州における大戦が始まった。8月、日本軍は近代史上、最悪の軍事的敗北を喫するが、ソ連軍の被害も甚大だった。そこでスターリンは情勢に鑑み、日本側の停戦要請を受け入れる方が得策だと判断した。一方、日本では対ソ主戦論の「北進」派が後退、海軍主導の「南進」派が勢いを増し、やがて東南アジアにおける欧州の植民地を襲い、さらには真珠湾で米国との決戦に至るのだ……。
「ノモンハン」が欧州戦線と太平洋戦争の「導火線」となった背景として、日本の「過去の遺産」をさかのぼり、「世界の状況」にも一章を割いて論じているので、理解がいっそう深まる。また、日中戦争に関連した蒋介石の戦略、その後の太平洋戦争で繰り返される日本の過ちの萌芽に言及した、巻末「解題」にも学ぶところが大きい。
(白水社 藤波 健・評)
Theme 2 亜細亜へのまなざし
Theme 3 そのとき人はどう振る舞うか
Theme 4 協力と信頼
Theme 5 ひらめきを得るために
Theme 6 リスクへの備え
Theme 7 残響の移民たち
Theme 8 来るべき決断の時
Theme 9 開発のこれまでとこれから
Theme 10 健やかに蝕まれて
Theme 11 たくらみを読み解く
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Theme 2 以降の書目とレビューは、フェアリーフレットに全文掲載。
ぜひ店頭でご入手ください。
【フェア開催書店一覧】
※都合により開催時期が変更になる場合があります。
実際の開催状況については、各書店にお問い合せください。
都道府県 | 市区 | 書店 | フェア開始予定 |
北海道 | 札幌市中央区 | 紀伊國屋書店札幌本店 | 9月上旬 |
北海道 | 函館市 | 函館蔦屋書店 | 9月中旬 |
岩手県 | 盛岡市 | ジュンク堂書店盛岡店 | 9月上旬 |
宮城県 | 仙台市青葉区 | 丸善仙台アエル店 | 9月上旬 |
茨城県 | つくば市 | ACADEMIAイーアスつくば店 | 9月下旬 |
群馬県 | 前橋市 | ブックマンズアカデミー前橋店 | 9月上旬 |
埼玉県 | さいたま市大宮区 | 紀伊國屋書店さいたま新都心店 | 9月中旬 |
千葉県 | 流山市 | 紀伊國屋書店流山おおたかの森店 | 9月中旬 |
東京都 | 台東区 | 明正堂アトレ上野店 | 9月上旬 |
東京都 | 中央区 | タロー書房 | 10月上旬 |
東京都 | 豊島区 | ジュンク堂書店池袋本店 | 9月上旬 |
東京都 | 渋谷区 | MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店 | 9月上旬 |
東京都 | 新宿区 | 紀伊國屋書店新宿本店 | 9月中旬 |
東京都 | 新宿区 | ブックファースト新宿店 | 9月上旬 |
東京都 | 千代田区 | 丸善丸の内本店 | 12月上旬 |
東京都 | 千代田区 | 三省堂書店神保町本店 | 10月下旬 |
東京都 | 千代田区 | 岩波ブックセンター信山社 | 9月5日 |
東京都 | 千代田区 | 紀伊國屋書店上智大学店 | 11月末 |
東京都 | 文京区 | 東京大学生協本郷書籍部 | 9月下旬 |
東京都 | 港区 | 青山ブックセンター六本木店 | 9月上旬 |
東京都 | 品川区 | ブックファーストレミィ五反田店 | 11月上旬 |
東京都 | 目黒区 | 東京大学生協駒場書籍部 | 9月下旬 |
東京都 | 八王子市 | 中央大学生協多摩店 | 9月中旬 |
東京都 | 立川市 | オリオン書房ルミネ立川店 | 9月上旬 |
東京都 | 武蔵野市 | ブックスルーエ | 9月中旬 |
東京都 | 小金井市 | くまざわ書店武蔵小金井北口店 | 9月上旬 |
神奈川県 | 横浜市西区 | 紀伊國屋書店横浜店 | 9月中旬 |
神奈川県 | 横浜市西区 | くまざわ書店ランドマーク店 | 9月下旬 |
神奈川県 | 横浜市都筑区 | ACADEMIA港北店 | 9月下旬 |
神奈川県 | 相模原市南区 | くまざわ書店相模大野店 | 10月上旬 |
神奈川県 | 相模原市緑区 | ACADEMIAくまざわ書店橋本店 | 9月下旬 |
長野県 | 松本市 | MARUZEN松本店 | 10月上旬 |
静岡県 | 静岡市葵区 | 戸田書店静岡本店 | 9月上旬 |
愛知県 | 名古屋市中区 | MARUZEN名古屋本店 | 9月中旬 |
愛知県 | 名古屋市中村区 | ジュンク堂書店名古屋店 | 9月上旬 |
三重県 | 四日市市 | 丸善四日市店 | 9月中旬 |
京都府 | 京都市上京区 | 同志社生協書籍部今出川店 | 9月上旬 |
京都府 | 京都市下京区 | ジュンク堂書店京都店 | 9月上旬 |
京都府 | 京都市南区 | 大垣書店イオンモールKYOTO店 | 10月上旬 |
大阪府 | 大阪市北区 | 紀伊國屋書店梅田本店 | 9月上旬 |
大阪府 | 大阪市北区 | ジュンク堂書店大阪本店 | 9月上旬 |
大阪府 | 大阪市浪速区 | ジュンク堂書店難波店 | 11月上旬 |
兵庫県 | 神戸市中央区 | ジュンク堂書店三宮店 | 9月上旬 |
兵庫県 | 神戸市中央区 | ジュンク堂書店三宮駅前店 | 10月中旬 |
島根県 | 松江市 | 今井書店グループセンター店 | 9月上旬 |
岡山県 | 倉敷市 | 喜久屋書店倉敷店 | 9月上旬 |
広島県 | 広島市中区 | MARUZEN広島店 | 9月上旬 |
香川県 | 高松市 | 宮脇書店本店 | 9月上旬 |
愛媛県 | 松山市 | ジュンク堂書店松山店 | 9月上旬 |
福岡県 | 福岡市博多区 | 丸善博多店 | 12月上旬 |
熊本県 | 熊本市中央区 | 長崎書店 | 9月上旬 |
鹿児島県 | 鹿児島市 | ブックスミスミオプシア店 | 9月上旬 |
沖縄県 | 那覇市 | ジュンク堂書店那覇店 | 9月上旬 |