主人公は「友だちがつくれない」ことの天才だ。星に手を伸ばすように友だちに手を伸ばして、届かない。その絶望的な距離に感動してしまう。 穂村弘

※けっしてイヌの話ではありません。

「孤独がぼくを押し潰す。ともだちが欲しい。本当のともだちが!」(本文より)

パリ郊外モンルージュ。主人公のヴィクトールは、まるで冴えない孤独で惨めな貧乏青年。誰もが勤めに出ているはずの時間、彼だけはまだアパルトマンに居残っている。朝寝坊をして、なにもない貧相な部屋でゆっくりと身繕いをし、陽が高くなってから用もないのに街へと出て行く。誰かともだちになれる人を探し求めて……。

1920年代にフランスで発表された本書は、コレットやベケットなどからも強い支持を受け、当時大変な人気を博した。切なくてちょっと可笑しいボーヴの作品は、戦後、アンガージュマン(政治・社会参加)文学の隆盛の陰に隠れ長年忘れられていたが、近年各国で再評価の機運が高まっている。誰かとともだちになろうとしては挫折をくりかえす、社会の隙間で生きているような孤独な青年も、時間や場所を越え、現代の日本読者の中にともだちを見つけるにちがいない。

ブックファースト渋谷店2F文芸書コーナーでは、本書の刊行に併せ「イケてない? 考えこむ男・不器用な男」と題したフェアが開催されました。(06年1月下旬終了)

国内外の小説・エッセイなどから、ちょっとおかしな男たちを集めたラインナップに、思わずクスッとさせられたお客さまが多かったとか。


ご担当の八木岡由香さんは、「この本を読んでいると、『ぼく』がすぐ目の前にいる様に感じます。」とおっしゃっていました。

06年2月5日、NHK-BS「週刊ブックレビュー」に登場!(推薦者・豊崎由美さん)

以下の媒体でも取り上げられました

GINZA 2月号(豊崎由美さん)
本の雑誌 2月号(豊崎由美さん)
東京カレンダー 3月号(市川実和子さん)
Pen 2月15日号(木部与巴仁さん)
図書新聞 1月21日号(雨宮慶子さん)
ダ・ヴィンチ 1月号
北海道新聞 12月25日付(豊崎由美さん)
日本経済新聞 12月22日付夕刊(陣野俊史さん)
SPA! 12月13号
福島民報 12月10日付ほか共同通信配信紙
毎日新聞 11月21日夕刊


ぼくのともだち
エマニュエル・ボーブ著
渋谷豊訳
定価1785円(本体1700円)

「孤独がぼくを押し潰す。ともだちが欲しい。本当のともだちが!」
パリ郊外、孤独で無為な日々を送る青年ヴィクトールは、すれ違う人々となんとか心を通わせようとするのだが……