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 紅白めでたくセットのような、この二冊。造本が似ているのはちゃんと理由があります。
 今年11月末に刊行された『荒木経惟 つひのはてに』(フィリップ・フォレスト著、澤田直・小黒昌文訳)は、ちょうど一年前に刊行された同著者による『さりながら』から産み落とされた一冊なのです。『さりながら』では、俳人小林一茶、小説家夏目漱石、そして、1945年の長崎原爆による荒廃と犠牲者を最初にレンズに収めた写真家山端庸介を取り上げていますが、その第三部はもともとアラーキーに当てられる予定でした。

「荒木をあたかも虚構の登場人物のように語ること、そしてその物語を、俳人小林一茶の物語、小説家夏目漱石の物語と平行して展開させ、さらに私自身が書く物語の話者をめぐる物語と交錯させること、これが最初のアイデアだった。この計画は表向きは断念され、『さりながら』にその痕跡はまったく残っていない。だが本当のところ、荒木の経験が提起する問い、つまり、欲望と喪がエロティシズムという破廉恥な形をとって繰りひろげる対話のもっとも深い部分に関わる問いをすっかり放棄してしまったわけではなかった。」(「日本語版まえがき」より)

 『さりながら』の一部のはずだった荒木のパートが大きく膨らみ、また、各章ごとに一枚ずつ写真もつき(全31点。うちカラー12点、本邦初収録作品2点[ただし一部修正])、五年後に「ついに」発表へと至ったのです。
 日本について、また日本人について、これほど鋭く急所を摑み、詩情を湛えたうっとりするような文章を紡いだ外国人作家は他にいただろうか。ぜひ、紅白併せてご賞味ください!


荒木経惟 つひのはてに
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荒木経惟 つひのはてに

フィリップ・フォレスト 著/澤田 直、小黒昌文 訳

膨大な作品から厳選された31点の写真。その一枚一枚から、荒木が生涯を賭して制作をつづける長大な「私小説」の一端を繙き、生と死、喪と欲望、哀しみ、そして溢れでる愛を読みとく。
さりながら
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さりながら

フィリップ・フォレスト 著/澤田 直 訳

パリ、京都、東京、神戸。これら四都市をめぐり、三人の日本人──小林一茶、夏目漱石、写真家 山端庸介の人生に寄り添いつつ、喪失・記憶・創作について真摯に綴った〈私〉小説。
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