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読書会ノススメ
読書会ノススメ
読書会のある“ロハス”な(笑)暮らし
  南野うらら@白水Uブックス研究会

──出会いこそ人生の宝探しだね(小室哲哉)

 私は職場の友人知人を中心とした読書会(白水Uブックス研究会。以下、U研)に属しております(ブログ:http://d.hatena.ne.jp/natsugo/)。
 それって一体どんなものなのか? と申しますと、「白水Uブックス」から課題図書を1冊選び、会合の日までに各自レポートを提出、当日は会報を片手に本の感想を語り合いながら食事を楽しむ…という、このご時勢に、何ともお気楽な会であります。
 そんな読書会を、私たちは数ヶ月に一度開催し、今年で何と8年間も(!)続けてきたのですが、今日この場を与えられたからには、声を大にして言いたいのです……

 読書会って本当にいいものなんですよ!

 心から、読書好きなあなたにお薦めします。合コンなんかより、出会い系なんかより、絶対、効率がよいですよ!(←何の?)
 読書会と言えば「ああ、文芸サークルとかゼミで、学生さんがやってるようなことでしょ…」と思っていらっしゃる方も多いと思います。
 ところがどっこい(←死語)、チョイ悪な艶男、艶女にこそお薦めできる、お金もかからず、環境に優しい「ロハス」(?)なイベント、それが読書会なのです。

 本稿ではU研が、どんな活動しているのか、具体的な読書会の流れに沿ってご紹介したいと思います。これを読んだあなたが少しでも読書会に興味をお持ちになり、「ふーん、自分もやってみようかなー」と考えてくださったら、これに勝る喜びはありません。

1)まず初めにすること……メンバーを集める

 U研は、現在の会長(松浦アヤヲ)と編集長(辻夏悟)が、たまたま同じ会社の同期入社組だったことから始まりました。
 それに加えて、辻が最初に配属になった部署の先輩(月立晶)が大の文学好きだったという偶然が重なり、あれよあれよという間に、いつのまにか数人のメンバーが揃い(メンバーの詳細についてはhttp://d.hatena.ne.jp/natsugo/00000002)、読書会の日取りまでもが一気に決定してしまいました。
 やはり社会人が読書会を始める時、メンバーは同じ職場で探すのが手っ取り早いようです。一度も話したことがない人でも、「読書好き」の人は何となく同じ匂いがします。こっそり読書ブログを開設していそうな人、話題の小説に目のない文化系OLなどに、思い切って声をかけてみると、意外に好反応が返ってくるものです(辻が月立に声をかけたきっかけは、月立が夢野久作の『ドグラマグラ』を昼休みに読み耽っている姿を目撃したことだそうです)。
 そして、これはさりげなく重要なことですが、もしこれから読書会を始めようという方には、できるだけ「男女混合チーム」をお薦めします(不純な理由からではありません。異性から聞く小説の感想は、意外な発見が多くて、人生勉強になるんですよっ!)。

2)どんな本を読むか……刺激的かつ経済的に無理のないものを選ぶ

 さて、次は読書会の課題図書の選び方。
 本の好みは十人十色です。そこで、結成当初のU研では、あえてメンバーの興味範囲が重複しない「ラテンアメリカ文学」(某文庫の赤い背表紙のもの)をテーマに選びました。お互いの得意分野はあえて外して、こういう機会に普段は読まない本を読んでみよう! というチャレンジです。
 そのうちにある程度、読みきってしまったので、メンバーそれぞれが好む作品を、白水Uブックスから紹介しあう、という現在の方向にシフトしました(その時、会の名前が現在ものに変わりました)。
 ちなみに白水ブックスに私たちが白羽の矢を立てたのは、内容の多彩さ・質の高さ(旨い!)はもちろんのこと、通勤の行き帰りにラクラク持ち運べる新書サイズ(軽い!)、経済的にも廉価(安い!)…と、サラリーマンに優しい「3拍子」が揃っていたことが大いに関係しています。

3)「キュ」の薦め……誰もが主人公になれる機会をつくる

 読書は1人でもできますが、読書会には最低でも3人(理想は5〜8人?)の人数は必要です。
 しかし、人数がある程度集まると「ありがち」なのは、いつのまにか1人でしゃべりまくっている人と、ずっと聞き役に回っている人に役割が分かれてしまうという困った事態。こうした、まるで小学校の学級会のような状況は、誰にとっても気持ちよいことではありません。
 そこでU研では試行錯誤の結果、持ち回りのキュレーター制(略して「キュ」制)を採用しています。
 課題図書の選定と当日のホスト役が「キュ」の仕事です。なぜこの作品を選んだか、作家についてのトリビアの披露(「作家の●●ってさー、実は××の愛人だったらしいぜ」等)や、レジュメの配布、そして会の進行も「キュ」が仕切ります。こうした「誰もが年に一度はヒーロー&ヒロインになれる」方式の採用により、会の内部崩壊(?)の危険を未然に防いでいることが、U研の長続きの秘訣かもしれません。

4)会場の選び方……せっかくだから美味しい食事も楽しむ

 U研における読書会の会場選びはシンプルです。
 今日はドイツ文学だからドイツ居酒屋にしよっか? インド体験が題材の作品だから、カレー屋でいいんじゃない?……何という安直さ!
 しかし、ステキな本と美味しい食事(&お酒)、これ以上何を人生に望むことがありましょうか。スペインのことわざにもあります──「優雅な生活が最高の復讐である」。
 というわけで、U研メンバーは読書にも夢中ですが、お店選びにも熱心です。前菜も来ていないのに、いきなり会報を配ってお店の人に「?」という顔をされたり、隣でデートを楽しむカップルに指を差されたり(←実話)するのが玉に瑕ですが、テクストと場所の相互作用によって、忘れがたい余韻を残す回もあります。
 たとえばアンドレ・ブルトン『ナジャ』の回。フレンチ・レストランでほろ苦いワインを傾けながら、ナジャとブルトンの“不可能な愛”について語りあった一夜……

 「ねえねえ、ナジャって、いわゆる文化系女子?」「実は昔、フラれた彼女とこの店に来たことがあって……。鬱だ……」「じゃあ、あなたならナジャと付きあうっていうの!?」「きっ……君たちはこのテクストが全然わかってない!!(ガッシャーン)あ……グラス割れた★」

 ……それは、メンバー全員が忘れることのできない、まさにシュールレアリスティックなものとなりました(もちろん、怒声や騒音で他のお客様やお店の人に迷惑をかけることは、大人として避けたいものです)。

5)「記録すること」の薦め……思い出は大切に積み重ねる

 甘い思い出、苦い思い出。どちらも後から振り返ればいとおしいもの。
 U研では、読書会当日の一週間前に、メンバー各自がレポートを辻編集長(「キュ」とは別人)に提出し、会報を作成。また会が終了した後は、そのレポートをブログに発表しています。
 レポートまでは作らなくても、議事録をつけたり、事前にWEB上の掲示板やメールで意見交換したり……など、なんらかの形で会を「記録する」のは大事なことです。こうして目に見える形にすることにより、会への愛着は否が応にも深まります。
 そんなレポート作りが発展した結果、現在のU研の活動は単なる読書会から、「文学フリマ」(http://bungaku.webin.jp/)というイベントで、毎年、数十ページに及ぶオリジナル冊子(高橋源一郎氏や村上春樹氏のファンブック)を頒布する……という、ますます濃い方向に進みつつあります。

 読書会の一番の面白さは、本を通じて人と出会い、人と出会ってまた本を発見する……、という相互作用です。「本の感想」って意外にウソがつけないものですから、「ああ、この人って実はこういうこと考えている人だったのか!」と、いつも新鮮なオドロキ、発見があります。
 そして、趣味のつながりが、いつしか本物の信頼へと変化してゆくことだってあるのです。たぶん利害や立場を超越した共通の話題を持つことは、社会人にとって大切な「根を持つこと」なんだと思います。これはストレスフルな現代社会を生きる我々の心を癒し、ひいては読書会に関わる人々を地球に優しい人間へと変えていくことでしょう。

 「読書会のある“ロハス”な暮らし」──。あなたもぜひ始めてみませんか。

(構成:辻夏悟@白水Uブックス研究会)


★U研と白水社では夏に向けてコラボレーション企画を進行中です。 (詳細は後日、当HPにてお知らせいたします)

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