白水社 白水社
書籍の検索 →詳細検索はこちら
 
教科書検索はこちらから買い物カゴを開く
白水社 白水社 白水社
■ トップページ
■ 耳より情報 ■ 新刊情報 ■ おすすめ本 ■ 全集・シリーズ ■ 白水Uブックス ■ 文庫クセジュ ■ 語学書 ■ 雑誌『ふらんす』
■ 岸田國士戯曲賞 ■ パブリッシャーズ・レビュー ■ クラブ白水社 ■ メルマガ「月刊白水社」 ■ 教科書見本 ■ 連載・エッセイ ■ 書店様向けページ

このハクスイシャがすごい!2011年版

年末恒例のミステリーやエンタメ系ベストテンとは縁のない白水社が、寂しいので自分たちで勝手にランキングして盛り上がろうと始めた当企画もはや3回目。おなじみ営業部T(30代♂)と宣伝部N(20代♀)が選考委員を務めます。長文につき、お暇な方だけご笑覧ください。なおランキングについて、白水社社内からの意見・要望・苦情・誹謗中傷等は一切受け付けませんのでご了承ください。

*内輪の話ですが、白水社では2010年から原本の管理が厳重になりました。「このハク」で使う本も、Tがナンシー先輩の許可を得て持って来ているのですが……。

T:こっちに置いて、と……ああ!(いきなり本を落とす)

──大切な本を! ナンシーさんに怒られますよ。

T:待ってくださいね……棚番号のところにちゃんと戻すためにポスト・イットつけておいたのに剥がれてる。(泣)

──先ほども、ちゃんと貸出は登録申請するようにって厳しいメールが来てましたね。しかも背にシールを貼ってあるね。その図書館みたいな「禁帯出」シールもあの方が買ってきたわけですか?

T:そうです。僕の机のことナンシーさんが「カオス」って言うんですよ。あれだけ整理整頓する人から見ると気になるのかな。

──まあTくんの机はかなりひどいけどね。とりあえずシール部分を撮っておこう。あ、Nさん写真に入ってていいのに。

N:ご遠慮します。

T:では、第1回始めますか!

──へ?? 3回目だよ?

T:業界初の試み!(笑)

──あ〜、我々が先駆者となってね……って今回も苦しい前フリだ。(苦笑)

T:僕らをパクっている人たちも出て来てるらしいじゃないですか。(笑)

──パクリの方がクオリティ高いんですけど。

N:もう今回で最後かもしれない……。

T:いやいや、気を取り直して行きますよ。過去2年連続で重いだのなんだの言ってたんですけど、そういうのは古い! 2010年は「上下巻」です! 『毛沢東 ある人生』上下、『野生の探偵たち』上下、『パリ』上下、『スターリン 赤い皇帝と廷臣たち』上下!

──あんまり「重い」と変わってないじゃないですか。

T:(無視して)Uブックスまで『わたしたちの音楽史』上下!(笑) 2009年に『倒壊する巨塔』が上下巻でも売れたものだから、そうなると白水社というのは調子に乗るわけです。

──そんなこと、書いちゃっていいんですか?

一堂:(笑)

N:ちょっと……。

T:いいんじゃないですか。おまけにスターリンは、上下プラス、『青春と革命の時代』です!ってね。

N:書名が似ていて混乱しませんか。

T:『スターリン青』『スターリン赤』で区別してたから大丈夫。上下巻を両手で持って、バランスよく筋力を鍛えましょう。(笑)

──結局今年もそんなことをしていたんですか。(呆)

T:できたら両手に持って左右の眼で同時読みできれば、バランス最高なんですけど……。

──それはヘンでしょう!

N:(冷静に)2011年も早々に『レーニンの墓』上下巻が出ます。しばらく続きそうですね、白水社の上下巻。

──Tくんはこの中で何を読みましたか?

T:『毛沢東』『野生の探偵たち』ですね。

──これ2点読むと、1年のうち2ヶ月は潰れてしまいますな。

T:僕の読書スタイルは、常に3冊の本を併読なんですよ。会社の行き帰りの電車で読む本、ベッド横に置いて読む本、ソファに置いて読む本。『毛沢東』はなんとベッド横にしてしまったために、7月から始めて、読み終わったのは11月ですよ。

一堂:(爆)

T:寝る前だから15〜20分の読書時間が限界じゃない。

N:それはすぐ眠くなっても仕方ないですね。両腕も鍛えて、睡眠導入剤にもなり、枕にもなる。ツイッターでもどこまで読んだか毎日つぶやいてたくださっていた方がいらっしゃいましたよね。

──それは朝日出版社さんですね。

T:いやあ、思い出深いですね。僕、上昇志向でもあるのかな、と思ってね。この頃いろいろ、『メディアの支配者』とか権力闘争みたいな話ばっかり読んでて。

──それは上昇志向と関係ないんじゃない?

T:『野生の探偵たち』もすごかったですねえ。もうお腹いっぱいになりすぎちゃって、しばらくはガイブン一冊も読まなかったです。圧倒されますよね。圧倒されすぎて……小説の愉しみ、もういいですって。

──それはよくわかる。これぞ今の世界文学だ!というのを全部詰め込んであるような小説だよね。今年はツイッターで読者のみなさんからもご投票いただいたんですが、そこでも一番人気でした。

N:中南米は来てますよね。

T:かっこいい俳優がいるの?(笑)

N:ノーベル賞のバルガス=リョサですとか。

T:『野生の探偵たち』も読むのに時間かかりました。でもこの間、読者カードで「2回読みました」という方がいらっしゃって。うぉーー!立て続けにこのお腹いっぱいを!と驚愕しました。売れ行きもよかったですよ。

N:今回は売上データは持ってきてないの?

T:2010年はサリンジャーが亡くなったので、例年以上に『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『ライ麦畑でつかまえて』がダントツでした。その次が『哲学者とオオカミ』で、そのあとに『毛沢東』上下が来るんですね! ある書店さんに2010年の売上ベスト5出してくださいと頼まれたら、これが3位と4位じゃないですか。しかも5位が『スターリン赤』だったんです。

──悪徳商法みたい。ベスト5置きますからって注文くださっているのに、持ってくるのが高額商品ばっかりって。

T:嘘じゃないんです……。(笑)こんなところで僕の第一次攻撃は終了。後手、よろしく。

N:私は断然『哲学者とオオカミ』が1位かな。4月に出て以降、継続的に売れているし、書評も永江朗さんが最初に共同通信の配信記事で書いてくださって、さらに石川直樹さんが朝日新聞週刊ブックレビューで取り上げてくださって。

──あと、武田鉄矢さんのラジオ「今朝の三枚おろし」

T:ちょっとだけ動きが鈍ってきたかな……というところでまた急に跳ね上がったので、なにが起こったんだろうって。ラジオの情報ってあまり入ってこないですよね。

──でもツイッターで教えてもらえました。武田さんのは2週間に渡って紹介していただきました。

N:金八先生の声で言われると、説得力がありますよね。(笑)

T:全国に金八ファンは多いから。

──ホントに?

T:だっていまだに、「オレは腐ったミカンじゃねえ!」みたいなこと言うと、みんな反応するじゃないですか。

N:あれはマッチなんですか?

T:違〜う、加藤。もう俳優はやっていない人ですよ。役名は加藤優。「腐ったミカンの方程式」で……失礼しました。

──Nさんが生まれる前にやってたドラマですからね。横道に逸れてしまいましたが、Nさんとしても印象深い本であったと。

N:出る前はオオカミの本なのか、どういうジャンルの本なのかわからなかったですが、どんどん伸びていってくれたなと思って。

T:店頭でも自然科学と人文と、どちらにも置いていただいてましたね。

──どっちつかずというのが白水社のいつもの悪いパターンで(苦笑)、危惧されていたけれど。

N:石川直樹さんさらにすごいご活躍ぶりですよね。ユニクロのCMにも登場されて。

T:次は二人で行こうか、『ニューエクスプレス・スペシャル ヨーロッパのおもしろ言語』。選書していて同時に気が付いて、僕が先に取っちゃったんですよ。

N:まずこの書名からいいですよ。帯も「英独仏西伊露蘭葡? そんなのメじゃない!」ですよ。

T:リブロ池袋本店さんでフェア展開していただいたとき、CDも流していただいたんですよ。おもしろかったですよ、お店に行くと、今何語なんだろうって。

N:吹き込んだ人の写真も一言語ずつ載っていて、心がこもっている感じがしますよね。熱気が伝わってきます。

T:今年の語学書は中級ものが多くて、読者の方は評価してくださっているんですけど、我々がここではネタにしづらくて。その中でピカイチで光っていたんですよ。もう2刷も消化されそうで、3刷に行きそうな勢いですよ。Nさん、次もどうぞ。

N:やっぱりワールドカップ・イヤーだったということで、サッカーにします。『サッカーが勝ち取った自由』。実は私、一瞬たりとも見ていないんですけど……ワールドカップ。

T:ええ?! あんなに盛り上がっていたのに?

N:一瞬も見ていないです。

──日本中が熱狂の渦に巻き込まれていたというのに!

N:結果も知らないです。

T:その時、何してたの?

N:バラエティ見てました。「ロンドンハーツ」とか「アメトーーク!」とか。

──……裏番組の視聴率も支えないとね。

T:そうやってバランス取らないとね……なのになんで?

N:いやあ、やっぱり盛り上がったから……ねえ。

T:……(力なく笑)

──これはランキングには入れておきたい、ということなんですよね。まさに南アフリカの話ですしね。

N:この本を担当したSさんも、サッカー好きで熱心ですし。自ら司会も務めたイベントもジュンク堂書店池袋店さんでありましたね。あの時は静かな書店さんのなかで、ブブゼラの実演までありました。

T:ベスト8のキックオフ直前で、お客さん来てくださるか、ちょっと危ぶまれたんですけどね。そんなこともあった2010年でした。

──遠い昔のことのように思えるね。

T:次は僕、『香水』を選びました。「エルメスの人気調香師による香りの手引書」、モテそうでしょう。

──2010年のモテ本大賞ですかね。

T:これを読んで、「エルメスの調香師がさあー」とか言うわけですよ。(笑)

──Nさん、デートの時とかこういう蘊蓄を語る男ってどうですか。

N:(スルー)

T:この著者の代表作と言われている香水、ナンシーさんが買ってきたんですよ。なんでしたっけ、ちちちち、「地中海の庭」。

──噛んでますよ。

T:早速僕もつけさせてもらったんですけど、昼に焼肉食べたら吹っ飛んじゃいました。(笑)

──焼肉のあとにまた借りておかなきゃ。でも高いからナンシーさんもそうそう貸してくれないかも。

T:そうですよ。瓶とかパッケージもお洒落で。男女兼用、ユニセックスなんですけど、そのナンシーさんが……バイセクシャルって言い間違えて。

T・司会:(爆)

──(笑い止まらず)それはツイッターで投げないといけないネタだったなあ……普段からお姉言葉だからついついそっちの方に。

N:同じ文庫クセジュで次に出る『性倒錯』に繋がりますね。

T:ナンシーさん喜びますよね。

──でも絶対「ワタシはバイじゃないわよ」とか言うよね。(嬉)

T:そうやって営業するんですかね。(笑)

──しょうがないなあ。(笑) Nさんが呆れているのでやめましょう、このネタは。

T:はいNさん、次どうぞ!

N:『そんな日の雨傘に』ですね。これは帯が秀逸で。『のけ者』と同時期に出たんですが、似ているんですよ。『のけ者』は「23歳、無職、宿ナシ」だったんですね。こっちは「46歳、無職、つい最近彼女に捨てられた」。年齢が倍でさらに悲惨な感じが。

──でも実際に悲惨なのは、『のけ者』の方ですよ。

N:確かにこっちはたいして悲惨じゃないですよね。女性にもモテてますしね。

T:そうなんですよ!(憤) 落ち葉を部屋に敷き詰めちゃったあたりまではね、お、キテるな、と思ったんだけど片付けちゃって。でも『野生の探偵たち』のお腹いっぱい状態から、『そんな日の雨傘に』のおかげでガイブンに戻ってこれました。増刷もしましたしね。『のけ者』と一緒に書店さんで「ダメ男フェア」もやっていただいて。

N:これ、書名が本文中に一箇所だけ出てくるんですよね(ヒントは「エクス・リブリス通信」Vol.9に)。あ、ここに……と思ってちょっと感動しました。

──そういうのがあるとトリビア的で面白いよね。

N:書名も、さりげないけれど自然でステキだなあと。

T:ライ麦みたいな感じ?

N:ライ麦って、読む前は恋愛小説かと思ってましたけどね。恋人たちがライ麦畑で追いかけっこして。

一堂:(爆)

T:捕まえてーって女の人が?(笑)

N:多分そう思ってた人多いんじゃないですか。イメージと全然違うと思ってました。『そんな日の雨傘に』に話を戻すと、英語版のタイトルを直訳すると『フランクフルトの靴男』でしたよね。絶対『そんな日の雨傘に』でよかったですよ。写真もいいですし。

T:ダメ男かわいそう、どうにかしてあげなきゃ、とかいうことはないの?

N:そういうことは思わないです。

T:ないですか。帯の「どこにも居場所がない」……ぐっとくるよね。ならないようにしなければ。

──ホント、そうですね。(同感)

T:僕が部屋に落ち葉を敷き詰めはじめたら、止めにきてくださいね。よろしくお願いします。

──ということで次行きましょう。

T:重いんですけど『ジョージ・オーウェル日記』。『情事・OL日記』なんて間違った注文来ないかなーなんて。

T・司会──(爆)

T:たのしみにしてたんですけど。残念ながら来ませんでした……なのに持ってきてしまいました。

──白水社だからフランス書院と間違えてね。

T:そっちの期待をして買っちゃう人いないかなあと思っても、「没後60周年」って入ってるし。

──60のOLか……熟女ものにしてもどうよ、って。

N:でも日記っておもしろいですけどね。高野悦子さんの『二十歳の原点』ですとか。

──Kさんの愛読書なんだよね。

T:他人の生活を覗き見る感じ? むふふ。僕も日記提出したほうがいいかな?

──そういうんじゃないってば。

T:はい、じゃ次どうぞ。

N:では書名に惹かれたということで、『来来来来来』。こういう歌があったような。♪ライラライラライラ……

──……それはアリスの「チャンピオン」の最後のところですね。谷村新司が「ライラライラライラライラライ!」って歌うんですよ。

N:ずっとそれ疑問だったので……そうだったんですか。

──よかったねえ、オジサンに聞けてねえ。(笑)

T:これだけで、今回の「このハク」やった甲斐がありましたよ。

N:企画書が来たときは『来来来来来』でなんて読むのかわからなかったですよ、「来」の数も。でも担当のWさんはわりとすらっと発音するんです。多分「ライライライ・ライライ」って数えればいいんじゃないかと。(笑)

T:えー、では次は、『少女』ですね。

──これもツイッター人気高いですよ。

T:著者のヴィアゼムスキーさん、なんてったって会社にいらしたんですからね!

N:Tさん、お会いしたんですか?

T:そりゃあもう! 応接室に本をお渡しに。ヴィアゼムスキーさんと社員3人だったんだけど、僕以外みんなフランス語喋っててね。ここ、白水社なんだ!ってびっくり。僕ひと言もフランス語わからないんで。

──ボンジュールくらいは言わなかったの?

T:いえいえ、ボンジュールも。前にジャン・フィリップ・トゥーサンが来日したときも、『少女』の担当のMさんに本を持って行ってサイン頼んで。トゥーサン、その場に座り込んで膝の上でサイン書いてくれたんですよ。その時に「ありがとう」が「メルシー」だってMさんに教わったんで、ヴィアゼムスキーさんにも「メルシー」は言ったと思います……多分。

──多分、ってなんですか?!(笑)

T:「メルシー」……そういう思い出かな……。お綺麗でしたよ、上品で。長旅で時差ボケだったらしいんだけど、そこがまたね。

N:アンニュイな感じで?

T:たまらないんだろうね。(笑)という思い出の……はい、どうぞ!

N:では……『流れの歌』

T:すばらしいよね。(万感)

N:同じく担当のMさんと、印刷所さんと、製作部のHさんとのやり取りがいつも聞こえていて。苦労した、みなさんの努力の結晶です。

T:最初はなんでウチで写真集?って思ったんだけど、実際に写真を見たら、もう誰も反対しなかった。国立近代美術館の展覧会は、鈴木さんの写真集が全部置いてあって、見放題でね。1時間ぐらい貸切状態で満喫させていただきました。青山ブックセンター本店さんでのイベントもおもしろかったし。

N:飯沢耕太郎さんと鈴木一誌さんでしたね。

T:イベントの打ち上げに鈴木さんの奥様とお嬢様がいらしてくれたんですね。白水社の営業部の方です、なんて紹介されちゃったから、「必ず増刷します!」とか言っちゃった。

N:(爆)そんな軽くていいんですか?

T:かっこいいこと言ったのに、増刷できてないんですよね……新しいジャンルで販売方法がわからないから、書店さんに電話して聞いて、そんなにすぐに増刷とかする写真集とかないですよ、多分長く売れるから大丈夫ですよ、って言われて。教えてもらってばっかりです……あ、ごめんね。

──Nさんが選んだ本なのにTくんが喋っちゃってね。

T:次はまた、著者に会っちゃいましたシリーズ!

──さらにプチ自慢が続くんですか。

T:サイン書いてもらっちゃいましたーっていうんで、小野正嗣さんの『浦からマグノリアの庭へ』

──でもここにあるのはサイン本じゃないじゃん。

T:はい……。これ、構成もおもしろいですよね。間にエッセイと書評と評論が入っていて、飽きないですよね。僕は中上健次が好きなので、真っ先に評論の「ふるさとについて〜中上健次『鳳仙花』と坂口安吾」を読みました。すごくおもしろくて、そのあとで坂口安吾を読みなおしました。確かに似ているところがあると納得しました。しかも中上の『鳳仙花』を選んでいるところが渋いなあ。

N:『枯木灘』ではないんですね。どういう話なんですか。

T:『鳳仙花』は竹原秋幸のお母さんの話。

N:ああ、お母さん。

T:さすがNさんは和歌山出身、地元ですからね。どっぷり浸かってるんじゃあ。

N:じゃあ……?

T:じゃあ! 和歌山弁ですじゃあ!

──……ありがとうございました。次でNさんの持ち駒はラストですね。

N:『現代中国女工哀史』です。「女工哀史」って聞くと細井和喜蔵が思い浮かぶんですけど、書名とカバーの写真のギャップに驚きます。写真の女の子がすごくかわいい。これを含めAさん担当の本って、装幀の写真がいつもいいですよね。『チェチェン 廃墟に生きる戦争孤児たち』とか『戦場からスクープ!』とか。

T:そういう書名とのギャップもあるし、僕らが勝手にイメージしているよりも現実の若い女性労働者が遥かに逞しいというギャップもあるよね。さて、僕も最後の一冊になっちゃった。

──すごいの持ってきたね。

T:『意識に直接与えられているものについての試論』。これは今読んでいるところでして。先ほど『毛沢東』でも言った「併読」のことなんですけど、以前、3冊とも海外小説を重ねて読んでいたら、内容がミックスされちゃったんですよ。話も登場人物もぐちゃぐちゃに自分の中でリミックスされて、オレDJ?(笑)みたいな感じになっちゃって。

──クロスフェーダーを右に左に。

T:これはいかんということで、自分の中でルールを決めました。3冊併読のときは海外小説を混ぜない、と。それなのになぜかですね、変な思いつきからこの『意識に直接与えられているものについての試論』が電車本になっていてですね、ベッド本がニーチェの『善悪の彼岸』(光文社古典新訳文庫)。さらにソファ本はですね、自社からルソーが出るというので仲正昌樹さんの『今こそルソーを読み直す』(NHK生活人新書)ということをね、ちょっと試しているんですね。

N・司会:へえーっ。(感心)

T:僕じゃ理解できないものをミクスチャーすることによって、どういうことが起こるのかと検証している最中でして。3人共自由について言ってるらしいです……というのはなんとなく、自由という言葉がたくさん出てくる……なんて思ってみて、そんなに僕不自由なのかなってね……。

──どうやってオチをつけるんですか。

T:……至るところでいろんな女性に束縛されて、不自由になっているところから解放されて……。

N:(笑)

T:……すみませんでした。

──Nさんがどこでつっこむべきなのか迷ってるじゃないですか。

T:でも、理解できなくてもおもしろいですよ。あああ、また屁理屈はじまったなあとか、ここでまた屁理屈言ってもう……(笑)って感じなので。という感じで、今ミクスチャーしてます。

N:新たな思想が生まれるかも。

T:そうでしょう! でも、なにひとつ理解できてないからね。

──ぜひ成果をどこかで披露してほしいよね。

T:はああ……。

──これでお二人にお持ちいただいた本は全て見てまいりましたが、他には2010年はざっとこんな本が。1月、『漱石の猫とニーチェ』。3月に『火山の下』。これも結構ツイッターでの支持多いですよ。

T:エクス・リブリス・クラシックスの第一弾。そういえば、第二弾・ゾラの『パリ』ってすごい下世話でしょ。担当のMさん、東海テレビ宛てに昼ドラの原作にどうぞって贈ったって。

──7月の『幸福立国ブータン』なんてどうですか。

N:担当はIさんですね。Iさんは『哲学者とオオカミ』に「愛・死・幸福についてのレッスン」という副題がつけていますし、幸せを追求していたのかな?

T:Iさんは毎日のように、担当した本の在庫数や売れ行きをしっかり見ているんですよ。それで営業の方に「ちょっと贈呈に使いすぎただけだから、増刷は見送って」とか「そろそろ重版かな」とか聞いてきたり。さすがベテラン、意識が高いですよね。

──8月刊『熊』も話題になりましたよ。

N:そういえば担当Cさんのパソコンの壁紙が熊だった時期がありました。

──9月の『世はいかにして昭和から平成になりしか』『人、中年に到る』はどちらも書店さんでのイベントが盛り上がりました。

T:四方田さん、増刷しましたよー。「増刷に到る」って感じで。(笑)

──10月に『文豪の食卓』『昼の家、夜の家』も評判いいですね。11月には『奇想の美術館』もありました。さて、そろそろまとめに入りましょうか。

T:いよいよ順位つけますー。

──ではまずNさんが一番押したい本を。

N:一番は『哲学者とオオカミ』だと思うんですね。

T:ええーーっ!!!!

N:そうですか? 私は満場一致で決定かと思っていたんですけど。

T:モメている感じを出しましょうよー。そうしたら、僕が半年ちかくを費やした『毛沢東』はどうなるんですか?

──この2冊は甲乙つけがたいので順位はあとにしましょう。

N:二人の意見が一致した『ヨーロッパのおもしろ言語』はどうでしょう。

T:去年は『日本語の隣人たち』がトップでしたね。語学書を唯一代表して、がんばってもらいましょう。暫定3位に。

T:『スターリン』は赤・青で分けた方がいいですかね?

──一緒でいいよ、二部作だから。

N:若い頃について書かれている「青」の方があとから出たのでややこしいんですよ。

T:ややこしいから8位で。

N:私のお気に入りの『そんな日の雨傘に』を5位くらいに。

T:控えめだなあ。トップを狙おうという意欲がないな。やはり僕のような権力闘争を勝ち抜こうという人間とは違うな。

──でもスターリンより上だよ。

N:ダメ男なのに。

T:……やっぱりそうだよね。激しい男よりダメ男のがいいよね。

N:まあ……。

──それはまた別の問題のようですね。

T:同じ「エクス・リブリス」シリーズで『野生の探偵たち』……タタタタタタタタ(くちドラムロールで)……ジャン! 暫定で1位!躍り出てしまいましたよ!「トップをねらえ」ってアニメ昔ありましたよ。

──ありましたね。

N:それからやっぱり、『サッカーが勝ち取った自由』を。

──た・司会:(笑)

N:やっぱりあの盛り上がりが……。

T:見てなかったのに? 世間が騒がしいぞって?

──その世間の愚かさを忘れないように?

N:そんなことないんですけど、すごい盛り上がってましたよ……暫定10位で。ランキングに入っていると、ワールドカップの年って思い出すかな。

T:『香水』はこれから売れそうな感じですよ、7位に。

──いいんじゃないですか。

N:『流れの歌』もお願いします。

──……Tくんがわざとらしく場所空けてるよ。

T:何位かな? 僕、誘導なんかしたくないな。

──思いっきり2位のところ空けてるって。

N:じゃ、2位。

T:えー、誘導はしないよー。

N:この並びを見ると、2位ですね。(キッパリ)

T:おお、自信を持ってNさんが。

──だいぶ埋まってきましたね……あ、勝手に『意識に直接与えられているものについての試論』入れてる。

T:ごめーん! 怒られるー!

N:いやいいですよ。

T:そんなー。僕の順位じゃなくて「このハク」実行委員の総意に基づいて行なわれることだからさ、主張してくれないと。

──時間もないし、サクッと決めてしまいましょう。Nさん、『哲学者とオオカミ』が1位じゃなくていいんですか?

T:『野生の探偵たち』は譲れませんよ。こうなったらじゃんけんで決めましょうか。(本当にジャンケンする。)よっしゃー!

 1位:野生の探偵たち
 2位:哲学者とオオカミ
 3位:毛沢東
 4位:流れの歌
 5位:ヨーロッパのおもしろ言語
 6位:そんな日の雨傘に
 7位:香水
 8位:スターリン二部作
 9位:意識に直接与えられているものについての試論
 10位:サッカーが勝ち取った自由

N:でも、どこに出しても恥ずかしくないランキングですよ。

T:すごいなあ。机に並べると、スターリンのところだけ異様に高い。

──今年は難航しましたねえ。

T:Nさんが司会の人に遠慮してるんですよ。

──じゃあ来年はNさんに司会やってもらおう。

N:いやいや、それよりもメンバーチェンジしないんですか。

──ハロプロじゃないんだから。

T:オーディションします? 僕らが審査するという。

──それはいいかもね。そうしましょう。


禁帯出シール。貼るのもナンシーさん。




ナンシーの机(「今日の平凡社」2009年11月25日より。)









「このカワデがすごい!」はすごい。今年もやるのかな?









威容を誇る上下巻本の数々。













『毛沢東(上)』。上下で約1000頁……。




朝日出版社第二編集部さんTwitter。Tと違い読むのが速かった。













『野生の探偵たち(上)』。上下揃えるとジュール・ド・バランクールのステキな絵が。







イケメンポーズのバルガス=リョサ。













2010年の白水社を牽引してくれた『哲学者とオオカミ』。













加藤は腐ったミカンじゃないんです。(YouTube)






















『ヨーロッパのおもしろ言語』。「おもしろ」と言われた側の立場は……?




ニューエクスプレス@リブロ池袋本店さん。いつもディスプレイのセンスがいい!




サッカーはアパルトヘイトを打ち破る原動力になったのです。『サッカーが勝ち取った自由』。






日本代表の決勝トーナメント進出に沸く渋谷。Nには関係なかった模様。









『香水』。2010年のモテ本大賞!




「今日のネクタイ」特別篇・ナンシーさんと「地中海の庭」。













46歳、ドイツのダメ男……『そんな日の雨傘に』。




23歳、フランスのダメ男……『のけ者』。
















『情事・OL日記』、じゃなかった、『ジョージ・オーウェル日記』。




『二十歳の原点』。昨年も挙がっていたN愛読書。







『来来来来来』。オードリーの若林さんもおすすめ。




♪ライラライラライラライラライ……アリス「チャンピオン」(YouTube)







装幀で萌死しそうな『少女』。




美しくもあまりに悲しい「バルタザールどこへ行く」。







『流れの歌』。写真展も大盛況でした。







『浦からマグノリアの庭へ』。モクレンをあしらった装幀も美しく。




じゃあ?! 故・中上健次氏。







『現代中国女工哀史』。たくましい笑顔!




本当の「現代中国女工哀史」かもしれない『ルポ・差別と貧困の外国人労働者』






カバー写真が高評価のAさん担当書籍。






『意識に直接与えられているものについての試論』……タイトルが覚えられん……。








いろんな女性はさておき、この3人に囲まれているのか、T……。



遂に新訳刊行となった『火山の下』。つい「活」を付けそうになる。




兄弟と女性をめぐる三角関係、『パリ』。




東海テレビの昼ドラといえば「真珠夫人」、菊池寛原作。




宇多田ヒカルに捧げたい『熊』。




熊が一瞬登場「Goodbye Happiness」(YouTube)。




いろんな思いが込められている『世はいかにして昭和から平成になりしか』。




『人、中年に到る』。担当Fさんは現役中年パンクス。




エピソード満載、『文豪の食卓』。




飯沢耕太郎さんも絶賛のキノコ文学、『昼の家、夜の家』。




こちらは「珍しいキノコ舞踊団」(YouTube)。




値段は張りますが、本当に美しい本です。『奇想の美術館』。







「トップをねらえ!」といえば庵野秀明初監督作品ですね(YouTube)。




現在モー娘。は第9期だそうであります。

↑ページのトップへ