白水社 白水社
書籍の検索 →詳細検索はこちら
 
教科書検索はこちらから買い物カゴを開く
白水社 白水社 白水社
■ トップページ
■ 耳より情報 ■ 新刊情報 ■ おすすめ本 ■ 全集・シリーズ ■ 白水Uブックス ■ 文庫クセジュ ■ 語学書 ■ 雑誌『ふらんす』
■ 岸田國士戯曲賞 ■ 出版ダイジェスト ■ クラブ白水社 ■ メルマガ「月刊白水社」 ■ 教科書見本 ■ 連載・エッセイ ■ 書店様向けページ
ちょっと立ち読み
楔形文字を書いてみよう 読んでみよう 

 今からおよそ5200年前のメソポタミアで人類は文字を手に入れました。それが楔形文字です。これにより、覚えきれないほど大量の情報を記録することが初めて可能となり、それまでとは革命的に異なる社会が成立しました。さらに、時間を超えてことばが伝わるようになり、歴史が始まりました。
 5000年以上前のメソポタミアの文字と聞くと、現代の日本に暮らす私たちには縁遠いものに思えるかもしれません。ところが、読者の皆さんは楔形文字に意外な親近感を覚えるはずです。というのも楔形文字には音読みと訓読みがあり、「漢字」「かな」交じりの表記をおこない、送りがなをふることもあるからです。これほど日本語に似た表記システムをもつ文字はあまりないのではないでしょうか。(「まえがき」より)

■ 最初の文字はどんなかたちをしているのでしょうか。

 メソポタミア南部はティグリス河とユーフラテス河の沖積平野で、石を切り出す山がありません。また、降水量が少ないため、森林もありません。しかし、良質の粘土に恵まれていました。そのため、石や紙ではなく粘土に文字を書く文化が成立しました。はじめは粘土の表面を引っかくようにして絵文字を書いていました。しかし、粘土の表面をひっかくのは力もいりますし、時間もかかります。スタンプのように何かを押し付けたほうが楽に模様をつけることができます。文字を覚えた人たちはやがて葦の茎を切り、切り口を粘土に押し付けるようにして文字を書くようになりました。
 葦の切り口を粘土に押し付けると、はじめは太く次第に細くなる楔のような跡が粘土の上に残ります。ひとつひとつの楔は直線ですから、絵文字から楔形文字への変化は曲線を直線に置き換える変化と言ってもいいでしょう。(「序章」より)

■ 楔形文字でどんな文書があらわされたのでしょうか。

 楔形文字が書かれた文書の総数は不明ですが、現存する粘土板だけでも少なくとも50万点あると言われます。そのうえ、中東各地で進む発掘により、新しい文書が続々と発見されています。文書は数が多いだけでなく内容も多彩です。神話や叙事詩など、文学と呼ぶに相応しい作品もあれば、いわゆる「法典」や裁判記録など、古代の社会制度に関する貴重な資料もあります。また、軍事遠征や神殿建立をはじめとする王の偉業を記録した王碑文や年代記もあります。これらを王名表とつきあわせることにより、さまざまな出来事の年代が決まってきます。さらに、条約や外交書簡からは当時の国際関係が分かりますし、その他の書簡や証文からは都市の行政組織や経済活動の実態を知ることができます。学術文書(天文・暦、数学、辞書・文法など)や宗教文書(占い、魔術、医術、祭儀など)からは、当時の人たちが何を知り、何を信じ、何を恐れて生きていたかも伝わってきます。(「第3章」より)

*     *     *

 ……粘土板の写真を見たり、博物館で実物の石碑を見たりしたときに、その中に1字でも2字でも自分の知っている文字があるとうれしいものです。そんなささやかな喜びを積み重ねていけば、きっと楽しみながら楔形文字への理解を深めてゆくことができるはずです。(「第3章」より)

*     *     *

 是非、楔形文字を自分の手でなぞってみてください。その当時の人々の思いに一歩近づけることでしょう。これこそが歴史を学ぶ醍醐味です。

楔形文字を書いてみよう 読んでみよう
もっと詳しく
楔形文字を書いてみよう 読んでみよう 
池田 潤 著
税込価格1995円 (本体価格1900円)

 今から約5200年前に人類が手に入れた文字、それが楔形文字です。平仮名や漢字と同じしくみをもつこの文字で、古代メソポタミアの人々は何を残そうとしたのでしょうか。

↑ページのトップへ