内容説明
故郷福島と世界での知られざる戦い
故郷で被災し避難した後、原発事故の対応拠点Jヴィレッジに再び戻り、作業員に食事を提供し始めるも、待っていたのは過酷な現実だった。ザックジャパンを支える専属シェフの3年間の戦い。
Jヴィレッジの総料理長だった著者は、勤務中に東日本大震災に遭い、もう一つの戦いが始まった。両親は現在も仮設住宅で暮らし、南相馬市の自宅へ戻る目途はたたない。連綿と続いてきた日常は断たれ、多くのものを失い、人と人との繋がりは分断された。
一時東京に避難していたが、故郷への思いを募らせた著者は、五ヶ月後には原発事故の対応拠点となったJヴィレッジに戻ることを決意。施設内の食堂「ハーフタイム」を再開し、作業員に温かい食事を提供し始めたのだ。そして隣接する二ツ沼総合公園に、レストラン「アルパインローズ」を開店。町に活気が戻ることを信じて。だが現実は厳しかった。苦しい経営が続く中で、地元の農家との交流も始め、残された人、残ろうとしている人がともに支え合っていこうとする新たな絆が生まれ、強くなっていった。
一方、震災後もW杯予選を戦うザックジャパンの海外遠征に帯同し、選手たちを〝食〟で支え続けてきた。食材面などで震災前のようにいかないこともあり、苦労も多かったが、どんなに過酷な状況でも必死で戦う選手たちの姿に勇気づけられ、福島に戻って挑戦の日々が続く。
ブラジルW杯の〝食〟の秘策も披露。〈サムライブルーの料理人〉の三年間の奮闘と秘めた思いを、日本代表を応援する全ての人に知ってほしい。最強レシピ付!
[目次]
はじめに
第一章 忘れられない3・11
第二章 福島に戻って
第三章 サッカーファミリーに支えられて
第四章 福島の今、そして未来
終わりに
巻末付録 西流最強レシピ 〜福島郷土料理篇〜
(しそ巻き/ほうれんそうのじゅうねん和え/玉ちゃん餃子/
いかにんじん/サバのぽうぽう焼き/こづゆ/マミーすいとん)
西さんへのメッセージ
*内容説明は刊行時のものです