初日への手紙Ⅱ

『紙屋町さくらホテル』『箱根強羅ホテル』のできるまで

新国立劇場の杮落とし公演を委嘱された劇作家が、笑いの中に戦争の真実を描こうと苦闘する壮絶な執筆過程を自身の手紙等から再現。

著者 井上 ひさし
ジャンル 一般書 >  評論・エッセイ(日本)
出版年月日 2015/10/16
ISBN 9784560084236
判型・ページ数 4-6・396ページ
定価 3,740円(本体3,400円+税)
在庫 在庫あり

内容説明

新国立劇場杮落し公演台本執筆過程の舞台裏

新国立劇場の杮落とし公演を委嘱された劇作家が、笑いの中に戦争の真実を描こうと苦闘する壮絶な執筆過程を自身の手紙等から再現。

「俗に「新劇」と呼ばれ、少し改まって「近代リアリズム演劇」と呼ばれているもの、それはいったいどんな演劇なのだろう。定義しようとする人の数だけ定義があるにちがいないが、とりあえずわたしはこう考えることにしました。「クライマックスが、山場が対話でなされるとき、それを新劇と呼ぶ」と。」(本文より)

戯曲執筆への果てしない格闘

「東京裁判三部作」の執筆過程を記録した『初日への手紙』に続き、「ホテル連作」ともいうべき著者の意欲作の創作姿勢を、前著同様甦らせる。
収録されている『紙屋町さくらホテル』は1997年、新国立劇場開場の杮落とし公演として書かれたものである。初めて現代劇を中心に上演する国立劇場の台本を依頼された著者は、70数年前の築地小劇場に注目する。その杮落としで会場ベルならぬ「銅鑼を鳴らした男」丸山定夫は、「新劇の団十郎」の異名をとる人気役者だった。
丸山定夫は、戦争中各地に慰問する移動劇団「さくら隊」の隊長だったが、人気女優園井恵子らと広島に滞在していた昭和20年8月8日、原爆投下によって被災、玉音放送の翌日死去する。
この事実を背景に、例によって二転三転、最終的な台本になるまでの紆余曲折が続く。
もう一つは2005年に上演された『箱根強羅ホテル』。戦争末期、天皇側近が画策したといわれるソ連との和平交渉にかかわる人々が織りなす捧腹絶倒の喜劇。誰が味方か、あるいはスパイか。二重三重に入り組んだ劇構造を創出するための、著者の格闘が浮かび上がってくる。戯曲の原点を知らしめる好著といえよう。

[目次]
 はじめに
第一部 紙屋町さくらホテル
第二部 箱根強羅ホテル
 付録
 編者あとがき 古川恒一

  折込 長谷川淸、丸山定夫、園井恵子年譜
  折込 物語展開の大きな見取り図

[著者略歴]
井上ひさし(いのうえ・ひさし)
1934年山形県生まれ。上智大学卒。1964年からNHK「ひょっこりひょうたん島」の台本を共同執筆。1969年『日本人のへそ』で演劇界デビュー。1972年『手鎖心中』で直木賞。その後も『吉里吉里人』など小説、戯曲、エッセー多数執筆。文学、演劇の各賞受賞。1984年劇団こまつ座旗上げ。70本に及ぶ戯曲を残した。2010年逝去。

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