内容説明
【第1回 日本翻訳大賞受賞作品】
チェコの鬼才による斬新な「20世紀裏面史」
現代チェコ文学を牽引する作家が20世紀ヨーロッパ史を大胆に記述。笑いと皮肉のなかで、20世紀という時代の不条理が巧みに表出される。20以上の言語に翻訳された話題作、待望の邦訳。
[内容詳細]
現代チェコ文学を牽引する作家が、巧みなシャッフルとコラージュによって「ヨーロッパの20世紀」を大胆に記述。国内外で反響を呼び、近年出たチェコ文学としては最も多い20以上の言語に翻訳された斬新な歴史‐小説。
66の段落から構成される本書は、タイトルからすると歴史の教科書のように見えるかもしれない。だが冒頭からその印象は裏切られ、直線的な記述ではなく、時代がシャッフルされていることに気づく。あらすじもなければ明確なプロットもなく、記録、実話、逸話、噂話、スローガン、学説などさまざまなレベルの情報がミックスされ、コラージュされるうちに、「世界大戦」「宗教」「フェミニズム」「工業化」「ファシズム」「共産主義」といった20世紀を象徴するテーマや事件が、「マスタード」「ブラジャー」「インターネット」といった日常のささやかなトピックと思わぬ形で結びつく。「ホロコースト」と「バービー人形」のつながりなど、幾多のエピソードを通じて生まれる笑いと皮肉のなかで、時代の不条理が巧みに表出されていく。
虚と実、歴史と物語の境界に揺さぶりをかけ、読者の認識や思考回路を刺激する。「20世紀ヨーロッパ裏面史」、待望の邦訳。