内容説明
自らの肉声によって「生の哲学」へと誘う
著者自らが編んだ「論文・講演集」。哲学の方法について論じた「序論」のほか、「形而上学入門」ほかを含むベルクソン哲学入門の書。《新訳ベルクソン全集 第7巻》
「存在しているのは、ただ単に、われわれの内的生命活動の連続するメロディーだけなのです…」
持続をメロディーに喩え、不動に基づく哲学体系に対して変化と創造による〈生の哲学〉を奏でつづけたベルクソン最後の著作であり、前回配本の『精神のエネルギー』の姉妹編ともいえる本書は、新たに書き下ろされた「序論」、肉声を伝えるいくつかの講演記録、加えてテーマを絞った小論文から構成される。
「序論」第一部・第二部は、それぞれ哲学者の知的自叙伝、自らの方法論の解説であり、併せて絶好の〈ベルクソン哲学入門〉となっている。
本文は「哲学に欠けているもの、それは精確さである」という一文で始まる。〈精確さ〉とは、〈1+1=2〉のような事態を想像するかもしれないが、ベルクソンの目には、そのような法則に支配される世界は死んでいると映る。彼はあくまで〈生きているとはどういうことか〉を考え抜き、その答えを〈持続〉に求め、それに至る方法を〈直観〉に求めた。
〈可能的なものと現実的なもの〉、〈哲学的直観〉、〈変化の知覚〉、〈形而上学入門〉他の諸編が〈精確さ〉の意味を、さらに明らかにするであろう。
[目次]
序言
Ⅰ 序論(第一部) 真実性の増大 真実的なものの退行的運動
Ⅱ 序論(第二部) 問題の所在について
Ⅲ 可能的なものと現実的なもの
Ⅳ 哲学的直観
Ⅴ 変化の知覚
Ⅵ 形而上学入門
Ⅶ クロード・ベルナールの哲学
Ⅷ ウィリアム・ジェームズのプラグマティズムについて
Ⅸ ラヴェッソンの人生と作品
原注/付録
[原題]La pensée et le mouvant