内容説明
「激動の20世紀」の胎動を展望した5カ月間の物語
リンドバーグが飛び、アル・カポネが暗躍し、ベーブ・ルースが打つ!
向こう見ずな冒険、常軌を逸した情熱、底知れぬ楽天主義と悪徳に満ちた「大国」の姿を、ベストセラー作家が色彩豊かに描く。
主要米英各紙が絶賛!
「ブライソンは、この時代の溌剌さそのままの筆致で、われわれが抱くノスタルジアを見事に打ち砕いてくれた。」『ニューヨーク・タイムズ』
「ここに、「ひと夏の伝記」を通して語られる歴史という新ジャンルが登場した。」『タイムズ』
「まさに年代物の車で行く愉快な旅――ブライソンはアメリカ史の脇道を走り、寄り道をするたびにすてきな気晴らしを提供してくれる。」『フィナンシャル・タイムズ』
「もっとも気品にあふれた娯楽大作。」『オブザーバー』
[内容詳細]
一九二七年五月二十一日、初夏を迎えたアメリカで、二十世紀を代表する出来事のひとつとなった偉業が達成された。ニューヨークを離陸した若き飛行士チャールズ・リンドバーグがパリに到着、世界初の大西洋単独無着陸横断飛行に成功したのだ。そして夏も終わろうとしていた九月三十日、アメリカはもうひとつの快挙にわいた。ニューヨーク・ヤンキースのベーブ・ルースがシーズン六〇号ホームランを放って大リーグ記録を塗り替え、鮮烈な記憶を人々の心に刻んだ。一九二七年のこの五カ月間、それは二十世紀のアメリカにとっていちばん熱い夏だった。
向こう見ずな冒険、常軌を逸した情熱、底知れない楽天主義と悪徳の栄え――。著者は、一九二七年の夏を駆け抜けた有名無名の人々の生きざまを、ウィットとユーモアを織り交ぜた軽妙な語り口で色彩豊かに描き出し、悲喜劇とも言うべき群像劇に仕立て上げていく。本書は、アメリカという大国が初めて世界の表舞台に存在感を示した五カ月間の、情感豊かな歴史物語である。「ひと夏」という小さな窓から激動の二十世紀の胎動を展望し、名手ブライソンがストーリーテラーとしての真骨頂を発揮した作品。
[目次]
プロローグ
5月 ザ・キッド
6月 ザ・ベーブ
7月 大統領
8月 無政府主義者(アナーキスト)たち
9月 夏の終わり
エピローグ
原注/謝辞/訳者あとがき/写真クレジット/出典に関する注と読書案内/人名索引
[原題]ONE SUMMER: America 1927
[著者略歴]
ビル・ブライソン Bill Bryson
1951年、アイオワ州デモイン生まれ。ノンフィクション作家。言語や紀行、アウトドア、科学など幅広いテーマで数々のベストセラーを出している。邦訳書に『英語のすべて』『ビル・ブライソンのイギリス見て歩き』『ことばが語るアメリカ史』『ドーナッツをくれる郵便局と消えゆくダイナー』『シェイクスピアについて僕らが知りえたすべてのこと』『人類が知っていることすべての短い歴史』などがある。英国在住。
[訳者略歴]
伊藤 真(いとう・まこと)
ノンフィクションを中心に翻訳に従事。訳書にC・R・ジェンキンス『告白』(角川文庫)、E・スレッジ『ペリリュー・沖縄戦記』(講談社学術文庫、共訳)、P・グロース『ブラディ・ダーウィン もうひとつのパール・ハーバー』(大隅書店)、ダライ・ラマ『ダライ・ラマ 科学への旅』(サンガ新書)、R・ゲスト『アフリカ 苦悩する大陸』、R・ニューワース『「見えない」巨大経済圏』、ワン・ジョン『中国の歴史認識はどう作られたのか』(以上、東洋経済新報社)ほか。
*略歴は刊行時のものです