共和国か宗教か、それとも

十九世紀フランスの光と闇

革命と反動、戦争と平和、豊かさと専制……怒りと幻滅に覆われた十九世紀フランスの現代的意義を論じる、シャルリ以後の新たな思想史

著者 宇野 重規 編著
伊達 聖伸 編著
髙山 裕二 編著
ジャンル 一般書 >  哲学・思想
出版年月日 2015/12/09
ISBN 9784560084809
判型・ページ数 4-6・305ページ
定価 2,530円(本体2,300円+税)
在庫 在庫あり

内容説明

日仏世論の亀裂を乗り越える新たな語り

シャルリ以後の新たなフランス学に向けて
革命と反動、戦争と平和、豊かさと専制……怒りと幻滅に覆われた十九世紀フランスの現代的意義を論じる、新たな思想史。

>編者3名による鼎談の一部をお読みいただけます(PDFファイル・1.6MB)

「十一月十三日、ふたたびフランスを恐怖が襲った。パリ中心部のコンサートホールや北部のサッカー場など、複数の箇所において同時テロ事件が発生した。死者は百二十名を超え、その規模の大きさが衝撃を与えている。……
「共和国か宗教か、それとも」を考えてきた本書にとって、この事件はあらためて、問題の抜き差しならぬ性格を示すものである。衝撃は大きい。ただ、本書の趣旨は、この事件によって何ら変わることはない。挑戦を受けたフランス社会は、自らの拠って立つ原理と精神を再び確認するであろう。それを私たちは研究者として、そして現代社会を生きる一人の人間として、見守っていきたい。
問われているのは、はたして日本社会がこの問題を「他者の問題」としてではなく、「全人類の直面する課題」として受け止められるか、である。問題の根底を十九世紀のフランス社会とその精神に探る本書が、その一助となることを願ってやまない。」
二〇一五年十一月十四日 宇野重規

シャルリ以後のフランス学へ

宇野重規・伊達聖伸・髙山裕二編著『社会統合と宗教的なもの――十九世紀フランスの経験』を刊行して、ほぼ五年が経過する。東日本大震災の混乱のさなか日本社会を支える根本的価値の再検討という問題意識から同書は大革命後の十九世紀フランス社会に辿り着いた。
そこで見出されたのは、まさに〈神々のラッシュアワー〉状況だった。カトリックに代わる新たな精神的支柱を求めて「宗教的なもの」を追いかけた革命後の社会が混迷を深める日本社会と、それこそ結びついた(「宗教」の語源はラテン語の「再び結び付ける」にあるとされる)。
そこで本書である。続編として『共和国か宗教か、それとも――十九世紀フランスの光と闇』を刊行する意味は果たしてあるのだろうか? この点で大きいのは今年フランスを襲ったテロである。
シャルリ・エブド事件、そして編集の最終段階で起きたパリ同時テロ事件は、フランスないしは大革命後の「世俗化した」社会の在り方をゼロから問い直させる事件だった。メーストル、シャトーブリアンからジョレス、モースまで、シャルリ以後のフランス学に向けた野心作。


[目次]
 序章 「宗教的なもの」再考――シャルリ事件を超えて  宇野重規

Ⅰ 反動の後で
 第一章 二つの宗教の狭間に――ジョゼフ・ド・メーストル  川上洋平
 第二章 近代世界という荒野へ――シャトーブリアンと宗教  片岡大右
 第三章 モノに魅惑されたリベラル――ミシェル・シュヴァリエ  髙山裕二

鼎談 シャルリ以後の新たなフランス学に向けて 前篇  宇野・伊達・髙山

Ⅱ 共和国の聖人たち
 第四章 「普遍史」とオリエント――ジュール・ミシュレ  杉本隆司
 第五章 詩人が「神」になる時――ヴィクトル・ユゴー  数森寛子
 第六章 「国民」と社会的現実――マルセル・モース  赤羽悠
 第七章 社会主義と宗教的なもの――ジャン・ジョレス  伊達聖伸

鼎談 シャルリ以後の新たなフランス学に向けて 後篇  宇野・伊達・髙山

 追記――パリ同時テロ事件に寄せて  宇野重規

  索引
  執筆者略歴


[編著者略歴]
宇野重規(うの・しげき)
1967年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。現在、東京大学社会科学研究所教授。同研究所で〈希望学〉プロジェクトをリードするほか、『政治哲学へ』(東京大学出版会)で渋沢・クローデル賞、『トクヴィル 平等と不平等の理論家』(講談社選書メチエ)でサントリー学芸賞。『〈私〉時代のデモクラシー』(岩波新書)、『民主主義のつくり方』(筑摩選書)、『西洋政治思想史』(有斐閣)、『社会統合と宗教的なもの』(編著、白水社)他。


伊達聖伸(だて・きよのぶ)
1975年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。2002年から07年までフランスに留学。リール第三大学博士課程修了。Ph.D.(パリ高等研究院との共同指導)。現在、上智大学外国語学部准教授。『ライシテ、道徳、宗教学』(勁草書房)でサントリー学芸賞、渋沢・クローデル賞。ゴーシェ『民主主義と宗教』(共訳、トランスビュー)、ボベロ『フランスにおける脱宗教性の歴史』(共訳、白水社文庫クセジュ)、『社会統合と宗教的なもの』(編著、白水社)、『シャルリ・エブド事件を考える』(共著、白水社)他。


髙山裕二(たかやま・ゆうじ)
1979年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。博士(政治学)。現在、明治大学政治経済学部専任講師。『トクヴィルの憂鬱』(白水社)でサントリー学芸賞、渋沢・クローデル賞。『社会統合と宗教的なもの』(編著、白水社)、『岩波講座政治哲学3 近代の変容』(共著、岩波書店)、『シャルリ・エブド事件を考える』(共著、白水社)他。

*略歴は刊行時のものです

定価2,530円
(本体2,300円+税)

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