内容説明
ユニクロのTシャツでも話題のカリスマを初紹介!
永遠を織りなす、デザイン哲学。バウハウスに学び、アメリカで人気を博したアーティスト、アニ・アルバースによる珠玉の論考集。(カラー口絵8頁)
「デザインが「私はミスターXの作品です」と叫ぶようなものは悪いデザインです。消費者である私たちはミスターXに興味はないし、ミスターXの個人代表ではなく、自分が使う商品が欲しいのです。」(本書より)
[内容詳細]
アーティストの心得を説く
アニ・アルバース(1899‐1994)は、20世紀のテキスタイル、工業デザイン、版画、ジュエリーの分野で活躍したアーティスト・教師。ドイツのバウハウスで出会った夫のジョセフ・アルバースとアメリカに亡命し、ブラックマウンテン・カレッジやイェール大学などでモダニズムのデザイン教育に携わった。その作品はニューヨーク近代美術館をはじめ有名な美術館に収蔵され、日本でもユニクロのコラボTシャツでその名を轟かせている。
本書は、アニ・アルバースによるデザイン哲学が語られている、珠玉のエッセイ集だ。素材そのものからもたらされる機能美を称えつつも、ものづくりに機械化がすすむ時代において工芸家が求められる心得を説く──バウハウスの精神をもとに、無名性、アートという不変な存在、いろいろな化学繊維の誕生、美術館の建築への関わり、中南米の織物、ジュエリーづくり、触覚の大切さなどを記すアニの文章には、デザインについて普遍的な問題を読者と共有していこうとするシンプルな情熱が貫かれている。そのメッセージは、21世紀初頭の「工学化」した現代においても魅力的だ。
アニ・アルバース(1899-1994)はテキスタイル分野におけるアーティスト、工業デザイナー、教師として知られている。ドイツのベルリンにて生まれ、ベルリンとハンブルグで美術指導を受けた後、ワイマールおよびデッサウのバウハウスにて学ぶ。バウハウスで出会った夫のジョセフ・アルバースとアメリカに亡命し、ブラックマウンテンカレッジやイェール大学などでモダニズムのデザイン教育に携わる。その後は、美術館や大学で講義を行ないながらもフリーランスで制作をつづける。その作品はニューヨーク近代美術館をはじめ有名な美術館に収蔵されている。
[目次]
イントロダクション
デザイン――無名で、時代を超越した存在
新しいテキスタイル
建築におけるテキスタイル――柔らかく平たい素材
手づくりは工業デザインのモデルになれる?
アート制作
スタート
バウハウスの織物
アート――不変な存在
素材とものづくり
織りの構成――太古の織りの謎と現代への提言
視覚構成とデザイン
感触
アーティストたちとの対話の場で
ジュエリーについて
デザインすること
年譜/訳者解説/参考文献
[原題]On Designing
[著者略歴]
アニ・アルバース
(1899年6月12日-1994年5月9日)
本名:Annelise Else Frieda Albers(旧姓Fleischmann)
テキスタイル・アーティスト、工業デザイナー、教師、ジュエリーデザイナー、版画家。ドイツのベルリンに生まれる。ベルリンとハンブルグで美術の指導を受け、ワイマールとデッサウのバウハウスで学び、バウハウスの講師になる。バウハウスで、アーティスト・色彩理論家である夫ジョセフ・アルバースに出会う。アメリカ移住後、1933~49年にブラックマウンテン・カレッジの准教授、その後はフリーランスで制作。ニューヨーク近代美術館、ハーバード大学美術館、イェール大学美術館などに所蔵作品多数。
[訳者略歴]
日髙 杏子(ひだか・きょうこ)
1970年東京都に生まれる。ニューヨーク大学卒業。国際ロータリー財団奨学生として英国の王立芸術大学・修士課程に留学。東京芸術大学大学院造形理論(色彩学)専攻、博士課程修了。現在、多摩美術大学非常勤講師。翻訳書に『色彩の表記』(みすず書房、2009年)。
*略歴は刊行時のものです