形象の力

合理的言語の無力

近代合理主義の論証言語に対する形象言語の優位と、古代雄弁術の復権を謳い、メタファによる世界再統合の道を探るフマニスム形象論。

著者 エルネスト・グラッシ
原 研二
ジャンル 一般書 >  哲学・思想
おすすめ
シリーズ 一般書 > 高山宏セレクション〈異貌の人文学〉
出版年月日 2016/09/21
ISBN 9784560083086
判型・ページ数 4-6・406ページ
定価 5,940円(本体5,400円+税)
在庫 品切れ・重版未定

内容説明

修辞学の復権 伝説的名著
合理主義を超えて フマニスム伝統の発見

論証では到達できない世界がある。
古代ギリシアの弁論術から近代詩まで形象言語の系譜を掘り起こし、
天啓と洞察、芸術の力の優位を説く。

論証では到達できない認識がある。デカルトの近代合理主義に対して、反論証の系譜が古代弁論術から脈々としてあった。グラッシは19世紀近代文学、ポーの効果理論、ボードレールの倦怠理論、マラルメの芸術言語から説き起こし、古代ギリシアに遡ってソフィストの雄弁術やアポロンの巫女シビュラの託宣、予見者カッサンドラの悲劇を検証して、近代哲学から締め出された修辞学の復権を謳い、さらに現代の動物行動学等の成果も参照しながら、理性では世界が捉えられないと考える系譜としてフマニスムの伝統を呼び戻す。 〈真理〉のみを目指すデカルトを批判したヴィーコは〈真理のようなもの〉をそれに対置する。論証ではなく発見術。世界はメタファによってしか捉えられない。メタファによってこそ世界は再統合され、展開可能となる。ホッケ『迷宮としての世界』を世に送ったイタリアの哲学者・編集者による形象言語論、〈発見術〉原論にしてフマニスム復興宣言。
「博読凄愴なまでの20世紀人文学の一番コアな部分を、20世紀一杯を生き切り、出会った最高の知性たちを次々と叢書に編み切った稀代の編集者が説き来り、説き去るこの伝説の一書の驚愕目次案に読者、まずは戦慄せよ。人文学はこれから始まるのだ」(高山宏)

[目次]
献辞 ヴィルヘルム・シラージ追憶のために
序言

第Ⅰ部 芸術作品に至る道と形象
 Ⅰ 経験的確信の〈背後〉に達する芸術の試み
 Ⅱ 説得術と論理学、形象と理性

第Ⅱ部 言語の十全にして不全であること
 Ⅰ 人間になることとロゴス
 Ⅱ 原初的(アルカーイッシュ)な意味論的言語
 Ⅲ 合理世界の根源たる指示言語
 Ⅳ 記号と精神

第Ⅲ部 インゲニウム——フマニスムの伝統
 Ⅰ 理性と情念の統一
 Ⅱ メタファ
 Ⅲ フマニスムの伝統——〈事(レス)〉と〈言葉(ウェルバ)〉 の一致

原注
訳者あとがき
索引

[原題]Macht des Bildes: Ohnmacht der rationale Sprache

[著者紹介]
エルネスト・グラッシ(1902-1991)
イタリアの哲学者。ミラノ生まれ。ミラノ大学卒業後、ドイツのフライブルク大学でハイデッガーに学ぶ。1948年からミュンヘン大学教授。1955年発刊の〈ローヴォルト・ドイツ百科叢書〉を責任編集、ホッケ『迷宮としての世界』を送り出す。邦訳に『芸術と神話』(法政大学出版局)。

[訳者紹介]
原研二(はら けんじ)
1949年生まれ。東京大学文学部ドイツ文学科卒業。同大学院人文科学研究科ドイツ文学科修士課程修了。大妻女子大比較文学部教授。ドイツ文学。著書に『グロテスクの部屋』(作品社)、『シカネーダー』(平凡社)、『オペラ座』(講談社)、訳書にノイバウアー『アルス・コンビナトリア』(ありな書房)、ズレーデカンプ『ライプニッツと造園革命』(産業図書)など。

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