内容説明
英国を代表する経済ジャーナリストによる警世の書
リーマンショックからチューリップバブルまで、英フィナンシャル・タイムズ紙の名物コラムニストが語る資本主義の過去・現在・未来!
「資本主義は銀行にハイジャックされてしまった。銀行とはそういう存在ではなかったはずだ。金融システムは再び崩壊するだろう。残された問題は、どれくらいの時間がかかるかだけだ。」(本書より)
次の危機はもうすぐそこに
米国の住宅バブル崩壊を端緒とした金融危機が、世界を未曾有の不況に陥れたことは記憶に新しい。また、経営者やバンカーを中心とした一部の富裕層と市井の人々との間の所得格差はますます拡大しており、私たちが世の中に対して抱く不公平感はかつてないほど強まっている。
果たして資本主義は、本当に理想的な経済体制なのだろうか? 本書は歴史的な議論を総括し、この疑問に対して一定の解を提供している。
著者が本書で繰り返している重要なメッセージは、次の世界規模の金融危機は間違いなく起こり、その規模は前回よりも大きくなるということだ。金融危機は資本主義という制度の中では、もはや遺伝子レベルで刷り込まれてしまっている発作性の疾患のようなもので、著者の言葉を借りれば、「金融危機は現代の銀行業が創り出されて以来、規則的に起きてきた普通の出来事なのだ」。
そして、前回の金融危機を受けた金融業界の混乱が合併・買収(M&A)を促して銀行の合従連衡が進んだことで、危機の深度はさらに深まっている。2007年の金融危機を予見した英フィナンシャル・タイムズ紙名物コラムニストが喝破する資本主義の過去・現在・未来! 日本経済の今後の見通しを示した「日本語版への序文」も必読。
[目次]
日本語版への序文 >立ち読み
序章
第一章 諸悪の根源(事実はそうではないかもしれないが……)
第二章 アニマルスピリッツ
第三章 銀行家によるハイジャック
第四章 産業の衰退、金融の肥大
第五章 詭弁家、経済学者、計算者
第六章 貿易と死の抱擁
第七章 投機――消え去った羞恥心
第八章 債務の力学
第九章 金――六千年にわたるバブル
第十章 芸術に対する気高さ
第十一章 税と成果の分配
第十二章 資本主義、そのありのまま
謝辞
訳者あとがき
註
人名索引
[原題]Capitalism: Money,Morals and Markets
[著者略歴]
ジョン・プレンダー
英経済紙フィナンシャル・タイムズのコラムニスト。英国放送協会(BBC)や英誌エコノミストでも働いていた同国を代表するジャーナリストで、優秀な経済ジャーナリストに贈られるウィンコット財団のジャーナリスト賞を1994年に受賞。金融に強く、2007年の金融危機を予見し、警鐘を鳴らしていたことでも知られる。著書に『道を踏み外す:グローバル資本と正統性の危機』(Going Off the Rails: Global Capital and the Crisis of Legitimacy,2003)、『未来を担う:新しい利害関係の構築』(A Stake In The Future: The Stakeholding Solution,1997)など。
[訳者略歴]
岩本正明(いわもと・まさあき)
1979年生まれ。大阪大学経済学部卒業後、時事通信社に入社。経済部を経て、ニューヨーク州立大院で経済学修士取得。通信社ブルームバーグに転じてこのほど独立。
*略歴は刊行時のものです