内容説明
人物模様と逸話を通して革命家の素顔を活写
最新史料から見える「人間レーニン」とは? 妻や愛人、同志や敵、人物模様と逸話を通して、革命の舞台裏と意外な素顔に迫る傑作評伝![口絵8頁]
ウラジーミル・レーニンは、史上初の社会主義革命であるロシア革命を成功に導き、多大な影響力を及ぼした革命家だ。レーニンは、後継者と目されたトロツキーやスターリンほか、革命同志の誰にも信を置いていなかったという。レーニンとはどのような人物だったのか? 本書は、書簡などの新史料を駆使して、その人間像と真髄に迫る決定版。
1870年、地元きっての名士の家庭に生まれたレーニンは、恵まれた環境で成長する。兄アレクサンドルへの憧憬、その兄の処刑を契機とする帝政への憤怒、欧州各地での反体制地下運動の組織、国外を転々する亡命生活、第一次世界大戦の勃発、封印列車での帰国と権力掌握など……激動のロシアと国際情勢を絡めながら、レーニンの波瀾に満ちた活躍が読みやすく、精彩に叙述される。
全編の通奏低音に、レーニンと妻ナージャ、愛人イネッサとの三人の生活があり、同志的関係で結ばれ、三者ともに心を許し合っていた。本書は、人間模様と逸話を通して、その人生と時代を活写する傑作評伝。作家は『東欧革命1989』(白水社)のジャーナリスト。
[原題]LENIN THE DICTATOR:An Intimate Portrait
[著者略歴]
ヴィクター・セベスチェン Victor Sebestyen
1956年、ハンガリー・ブダベスト生まれ。幼少時に家族とともに難民として母国を離れる。ロンドンの『イブニング・スタンダード』紙で主任論説委員を務め、『ザ・タイムズ』『デイリー・メイル』など数多くの新聞社で活躍。東欧共産主義政権の崩壊、旧ユーゴスラヴィア紛争などを報道。著作『ハンガリー革命1956』『東欧革命1989 ソ連帝国の崩壊』(以上、白水社)は高い評価を受けている。
[訳者略歴]
三浦元博(みうら・もとひろ)
共同通信社を経て、現在、大妻女子大学社会情報学部教授。主要訳書『東欧革命1989』『レーニンの墓 上・下』『情報戦のロシア革命』『ヤルタからヒロシマへ』『廃墟の零年1945』『地獄の淵から ヨーロッパ史1914-1949』(以上、白水社)ほか。
[訳者略歴]
横山司(よこやま・つかさ)
共同通信社ナイロビ、ロンドン、香港各特派員歴任。主要訳書『キッシンジャー回顧録 中国 上・下』(岩波書店、共訳)。